私のお家
私の家はおんぼろだ。築四十年と言っていたから結構なお爺ちゃん、お祖母ちゃん物件である。
でも、私の家はここなのだ。
「ただいま~」
扉のドアノブを回し、家に入る。キイキイという音が耳障りだが仕方がない。
おかあさんは私に見向きもせずに料理をしている。今日はなんだろうか?昨日は生姜焼きで、今朝はスクランブルエッグだった。
テレビはついてない。私はおかあさんの邪魔にならないようにテレビをつける。チャンネルはニュースだったので、すぐさまクラスで流行っている番組に切り替えた。
「な、何!?」
おかあさんはこちらにやってきた。リモコンを操作し、テレビを消してしまった。
「あっ………」
「全く、気味が悪いわ」
確かにあの番組に出てくるモンスターは苦手な人が多いけど、心優しく地球を守ってくれるいいモンスターなのだ。
でも、おかあさんが苦手ならしかたないか。また機会を見計らってみよう。夜中になぜか知らないけど、再放送があるからね。
しばらくはチラシの裏に落書きをして過ごす。こんな貧乏なお家じゃあこれしか娯楽がない。けど、私は空想や想像して遊ぶのが好きだから中々飽きない。他の子はどうだか知らないけど。
やがて美味しそうな匂いがしてきた。唐揚げだ。今日は唐揚げとサラダ。他にもコーンスープがある。あかあさんはご飯を盛って、二階に上がる。
二階にはおにいちゃんがいる。おにいちゃんは変わった人で夜中にしか出歩かないし、トイレに行くときは人の気配をうかがっている。いつもはパソコンの前に座ってちっちゃい女の子向けのアニメ見たり、ゲームをしている。
ゲームをしているときのおにいちゃんは怖い。ちょっとでも気に入らないとすぐに物に当たる。流石にパソコンにはあたらないみたいだけど、いつまでもつのやら。
「隆志、ご飯よ」
おかあさんはドアを二回ほどノックしてご飯を廊下に置く。その後、一階に降りていくのだ。
おにいちゃんはそれを察知してご飯を部屋に入れる。そしてパソコンをしながら食べるのだ。部屋にはスナックやチョコ菓子の袋が転がっており、分別もせずごみが突っ込まれた袋がある。
「仕方ないなぁ」
おかあさんが嘆いていたよ。私は袋を解いて分別する。ついでに部屋も多少片づけた。前に全部片づけしたらおにいちゃんとおかあさんが喧嘩したからね。だから少しだけ。足の踏み場程度に。
「ただいま~」
帰ってきたのは壮一君だ。
「おかえりなさい。ご飯は温める?」
「うん。おなかペコペコだよ」
壮一君はニコニコ笑ってあかあさんと席に着く。いただきますと挨拶をして、唐揚げを頬張るのだ。
「お母さんの唐揚げは世界一だね」
「大げさよ。それより、今日ね」
壮一君と話しているおかあさんは機嫌がいい。と言うか、表情が優しい。おにいちゃんにはもう向けない表情だ。
おかあさんはおにいちゃんを心配している。いつまで遊んでいるのか不安なんだって。
壮一君はそれを笑ってはいるけど、おかあさんと同じように心配している。
「隆志は一体いつになったら」
「そんなに心配?」
「そりゃね、私がいなくなったらどうする気なんだか」
「………そうしたら僕が何とかするよ」
「その前にあの子から離れてください。………あの子とは相性が最悪なんだから」
「そう?ならそうするよ」
ごちそうさま。最後の一粒、一欠けらも残さずご飯が空になっていた。
おにいちゃんも同じように綺麗に食べるから、やはり家族といったことか。壮一君は明日も早いんだ。とシャワーを浴びに行った。
「おやすみなさい」
おかあさんは寝室の明かりを消した。おかあさんは寝付くのが早い、しかも一度寝たら中々起きない。大きな音は別にして小さな音なら大丈夫だ。
壮一君もそれを知っている。
壮一君はベットから抜け出して、庭に向かう。庭には小さな木でできた板がまるでお墓のように、じゃなかった。お墓があった。名前はない。
壮一君はその墓に向かって楽し気に少し話して、また寝室で眠るのだ。
「さて、テレビ見よーっと」
退屈な時間は終わり。さて、そろそろ私の時間だ。今日は何だろう。むぅ、地球に遊びに来た宇宙人と仲良くなるもかえる話だった。
そういえば、私がこの家に住み始めたのもこっちに遊びに来て、壮一君と仲良くなってからだったなぁ。住み始めてから壮一君は遊んでくれなくなったけどね。
「そういえば、私、壮一君に教えてなかったな。名前」
台所からペンを持ち出して板に名前を書いた。案外書けるものである。
「でーきた。さて、早くしないとCM開けちゃう!!?」
さて、これが終わったら何して遊ぼうかな?おにいちゃんが寝ていたらパソコンでも借りようかな?楽しみだなぁ。




