4話「天空都市と魔法都市」
車はどんどん空高く昇っていく
僕はそれをずっと眺めた
「す、すげぇ……」
どうなっているのか分からないが、車はいつの間にか雲の上に来ていた
「奥村殿、もうすぐ着きますからね。」
運転手は僕に優しくそう言った
はい、と返事をしてすぐ窓から外を覗く
本当に魔法使いなんだ僕は…
車は空高くに来ていて、雲の上にいる、はずだった。
「あれ…?さっきまで雲の上じゃ…」
外はまるで何処かの街のように賑わっていた
いつの間にか地上に車は降りていて普通に道路を走っている。
「ここは雲の上の天空都市です。魔法都市はここから離れた場所にあります。」
運転手は僕に説明をしてくれた
「この天空都市を守り、支配して下さっているのは天空神、魔法都市を守り、支配して下さっているのは魔法都市の中心部にある魔法石のお陰です。」
まぁ言ってることは分からないけど凄いんだな。
適当に返事をしつつ今向かっているのはどこか聞くと、天空都市の船着場だそうだ
そうだ、魔法都市までは船で行くんだった
「魔法都市までは船で何日かはかかります。しかしまぁ…大きな豪華客船ですので飽きないと思いますよ。私もその昔そこに乗りましたから」
何かを思い出すように、僕に語りかけてくれた運転手さん。
彼も魔法使いなのだろう。
車が右に曲がった。
運転手さんは魔法使いになって何年なのだろう。
随分と老け込んでいるが、何処か若々しい。
あれ、運転手さんと何処かで会ったかな…?
見た事があるような…
「運転手さん、名前を教えてもらっても良いですか…?」
何となく、僕は聞いた
「私の名前ですか?奥村殿も珍しい人だ、私の名前を聞くなんて。そうですねぇ…分かりました。私の名前はメイ・ルーリです。」
…何故名前を言うのを躊躇ったんだろう。
少し疑問に感じたが、僕はお礼言ってそのままにした。




