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ある女子高校に通う非リア充二人とリア充一人が恋ばなをしようとした結果

読んでくれてありがとうございます。拙い文章ですが、宜しくお願いします。

とある女子高校の昼休み、二年三組の教室ではいつもどおり生徒達が賑やかにお弁当を食べていた。

私、三沢澄子もいつもどおり仲良しの友達の二人と一緒にお弁当を広げていた。

「それにしても澄子のお弁当はいつも美味しそうね。自分で作ってるんでしょ?」

「うん、今日はオムライスだから手抜きだけどね…。」

「十分すごいよ。美味しそうだなー。一口食べたいなー。」

「もう、伊予ったら。しょうがないんだから。」


仲良しの友達の一人である長野伊予は毎日私のお弁当を欲しがる。まあ一口以上はいつも食べないので、量的には構わないのだが人に食べさせる以上、ある程度のものは作らないといけないので少し面倒である。

「澄子ちゃんは女子力高いよね。羨ましいな。」


そんな私達を微笑ましそうに見ながら、可愛らしい声を出したのは、もう一人の友人の黒木雪穂である。小柄で控えめだが、とても可愛らしい女の子である。

「私に女子力があったら皆あるよ。それに雪穂の方が余程女子力あるじゃない。学校全体を敵に回しそうな言い方になるけど、枯れた女の子が多い女子校で雪穂は珍しく彼氏がいるんだし…。」

「そうそう。雪穂が言うと本当に嫌味よねー。」


伊予も私に同調するとメロンパンに思いっきりかぶりついた。

何気ない行為であったが、伊予の前に置かれた袋の数をみて私は言わずにいられなかった。

「それ何個目?伊予はいい加減菓子パンばかりじゃなくてちゃんとお弁当作ってきなよ。」

「だって面倒なんだもの。澄子私の分も作ってきてー。」

「私はそこまで優しくありません。」

「えーけち。だって雪穂は彼氏にお弁当あげるため頑張って練習してる段階なんでしょ。私に作ってくれる余裕ないじゃない。」

「そうよ。だから伊予は自分で頑張りなさい。おかずぐらいはわけてあげるから、せめておにぎりでも作ってきなよ。」

「うーん、わかったよー。」


伊予のお弁当の話が一段落したところで、私は雪穂に前から聞きたかった事を話した。

「そういえばさー、雪穂の彼氏の話あんまり聞いた事ないな。どんな人?」

「へ?」


明らかに顔が赤くなった雪穂をみて伊予がひゅーと囃し立てた。

「どうせのろけでしょ。いいねー独り身の私達は寂しいですなー澄子ー。」

「現在独り身なのは事実だけどさ、これからどうなるかわからないじゃん。私一回恋ばながしてみたかったのよ。」


顔の火照りが引いてきた雪穂は私の発言に目を丸くした。

「澄子ちゃん恋ばながしてみたかったの?別にいいけど、なんか意外だな。」

「なんかTHE青春的な事をしてみたいんだよね。」


女子高校に通う私は異性との接点がない。しかし、私が見るテレビや雑誌に出てくる『青春』というキーワードにはほとんど『恋』がセットである。私は秘かに『恋』に憧れていた。所詮、恋に恋してるって事だ。まあせっかく近くに『恋』が実った友達がいるのだ。私は一度話を聞いてみたかった。

伊予も始めは物珍しげに私をみていたが、

「へー。そういえば話した事ないね。案外おもしろそうかも。」と乗り気になった。

しかし普段そういう話をしない私達がいざ身構えて恋ばなをしようとするとなかなか上手くいかなかった。

はじめに雪穂が彼氏の話をしようとしてくれたが、照れて言葉につまり、なかなか話が進まなかった。話を振ったのは私だが、いかにもリア充な感じに非リア充の私達は段々微妙な心境になった。

しびれをきらした伊予が話を始めたのだが…。

伊予のほぼ妄想の話を聞いているうちに私はなんだかより虚しい気持ちになった。

「恋ばなってもっと素敵なものだと思ってた。」

「うん、キラキラしたイメージだったのに…。」

「いや、雪穂はキラキラしていた。」

「そうか、キラキラしていないのは私達か…。」

「なんかごめんなさい。」

最終的には非リア充の二人に何も悪くないリア充の雪穂が謝る形で終了した。

「やっぱり恋ばなはさ、うちら三人とも彼氏が出来てからにしよう。」

伊予の言葉に私は同意した。もう虚しい思いはごめんだ。だが、雪穂に視線を向けると不思議そうな顔をしていた。

「うん?雪穂どうした?」

「私達ちゃんとした恋ばなしてないと思う。」

「うん、だから今は出来ないんじゃない?」

ねえと伊予と私は顔を見合せたが、まだ雪穂は納得がいっていないみたいだった。いつも控えめな子なのに珍しい。

「違うの。今の私達皆で出来る恋ばなだよ。例えば男性のタイプとか…。一緒に話す事ができるはずだよ。きっと楽しいはずだよ。」

話しているうちに段々頬が紅潮していく雪穂に私と伊予は目を丸くした。いかにも頑張って話しているという様子だったからだ。

「実はね、皆と楽しく恋ばながしてみたかったの。でも、なかなか言い出せなくて…。だから私、澄子ちゃんが恋ばなしたいって言ってくれてとってもうれしかったの。」

確かに恋人がいる雪穂から恋人がいない私達にそれを言うのは勇気がいるだろう。

「そうだったんだ。そういう事ならまた話そう。」

「確かにさっきは無理してリア充の恋ばなを意識してたからいけなかったのかも。」


雪穂の言葉に私達二人は同意した。

私と伊予は雪穂のようなリア充な恋ばなはできないかもしれない。でも、非リア充には非リア充にしかできない恋ばながあるかもしれない。そして、リア充と非リア充の両方が楽しいと思える恋ばなもあるかもしれない。

そう思っていると、丁度昼休み終了五分前のチャイムが鳴った。

どうやら続きは明日の昼休みになりそうだ。

「じゃあ、明日はリア充一人と非リア充二人の恋ばなをしてみちゃいます?」

「「うん。」」


私の言葉に二人は笑顔で返した。

「楽しみだなー。」


本当に楽しみだと私は心から思った。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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