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菜々子 上

太陽の光が直接頭に届いてとてもあづい。プリンみたいになっていたから染めてた部分の髪を切り落としてちょうど黒だけにしたからか、とてもあづい。ショートカットにしたのに、スカートも短いのに、確か今年はちきゅー規模で暑いんだっけ?確かンな事をニュースのおっさんが話してた……きがする。温暖化がどうのこーの言ってたけどそんなん私には分からないわかるとすれば最悪だという事だけ。


「ちーす、菜々子だれてんなー」


「理恵おっそいーゆーいとあーやは?」


東校舎と西校舎を繋ぐ、渡り廊下4階だけは、屋根が無いためこの時期は誰も来ない。わざわざ、暑い所に来るのはバカか物好きか……私達は前者だ。真面目ないい子ちゃんでいることに息苦しさを覚えて校則を破り自由に生きている。周りは、私たちをギャルだ不良だと言ってるけど、今が楽しければいいじゃんと思う。周りに怯えるやつは3年になれば少なくなったけど態度とかでせんせーがうるさいから人目につかないここに逃げてるというのもある。


「綾菜は、ジュース買ってきてる、結衣は彼氏のとこじゃね?」


「そっかぁ」


私達、4人は特に仲がいいと思う。頼れる姉御肌の理恵に清楚系ギャルのゆーい、活発で小さくてその実運動神経抜群の彩、そして今は黒髪だけど少し前まで金髪でバイトに明け暮れていた私。


他にも、ギャルだ、ギャル男、不良だと呼ばれる奴は沢山いる。そんな、中でもウマがあうってんの?で特に仲がよくなった。


「理恵は、眼鏡君のとこいかんでいーの?」


「平気ー、平気ー、あいつガリ勉だから今も図書館にいるしーべったりしてたらめいわくしょ」


眼鏡君は、理恵の彼氏だ。理恵と付き合ってると言われてとても驚いた。眼鏡君ははっきり言えば、地味だ。前に理恵の言っていた好みや理想ともかけ離れているのだ。それに、理恵は、校内でもかなり目立つ位派手なのだ。正直、意外だなと思ったものだ。


「しょーたと彼カノになった」


と言われ、はしゃぐ理恵とてんぱって、どこ見てるのか分からない眼鏡君とのプリクラを見せられて、なんて言っていいのかとても反応に困った。


「篠原は?」


篠原というのは、ちょっと前まで理恵が好きだったやつ。篠原の方が、眼鏡君よりも明るくてカッコイイ。ちょっと、内弁慶で思ったことを言えないのが残念な所なんだけど。答えが分かってるのに、そう聞いた私はひどい奴だろう。


「思いっきり、振って貰った。佐藤さんに、押しかけて好み聞いたのにねー残念」


理恵は、いつでも前を向いている。凄いなと思う、私の憧れなのだ。だからこそ、篠原に振られたと言われた時何て見る目が無いんだとも思ったし、眼鏡君と付き合ったと言われて少し妬んだ。


「おめでとう、いーなリア充」


理恵が幸せならいいんだけどさ。


「ありがとー」


そういった時の理恵はなんというか可愛かった。


「おまたせーゆいっちは?」


回想をしてたら、あーやが来た。ちょ、ジュースを投げるな痛い。しかも、無駄にコントロール上手いから見事に体に当たるし。勿論、顔は狙ってないし勢いもそんな無いのだけども。


「また、彼氏のとこじゃねって話してた」


「ふーん、ゆいっち相変わらずラブラブなんだねー」


ゆーいは、先程も言ったけど清楚系ギャルだ。黒髪にほっそい腕、スッピンでも可愛い顔に女の子らしい高い声。正直、スッピンを晒すとか無理な私から見ると羨ましい。けど、彩の彼氏とラブラブという意見には少し反応に困る。


「そうだねー」


「噂をすれば何とやらゆいっちきたよー」


ガラガラガラと扉を開く音が聞こえた。彼氏とあった後だし、いつもの如く幸せオーラを出して、ちょっと舌を出して可愛く遅れてゴメンネとそれからリア充なんて言ってからかって笑いあってお昼を食べるかと思った、思っていた。


「ちょ、ゆーいどうしたの?」


一番、扉に近いところで座っていた私が一番に気づいたのであろう。笑顔が可愛いゆーいは泣いていたのだ。


「ゆいっち、どうしたん」


あーやも理恵も驚いていた。


「太一に降られちゃった」


「ええっ」


太一とは、前田太一の事で、背が180センチ超えてて声が大きくてチャラ男でそして、ゆーいの彼氏だ。今月で、10ヶ月とゆーいが嬉しそうに話していた2年の頃からのバカップルだったのだ。


「とりあえず、落ち着いて結衣、綾菜水を結衣に渡して」


「あ、あっうん炭酸しか無いけど大丈夫だよね」


「大丈夫」


泣きながら、炭酸ジュースを飲んでむせているゆーい。周りは、ゆーいを慰めている。こういう時私はどうしたら、いいんだろうか。


「どうしてそうなったのさ」


結局、下世話な声かけにしかならなかった。けど、あんなにラブラブで爆ぜろリア充と妬みを抱く2人が別れた理由が気になったのもある。その言葉にビクッと肩をゆらしたがきっとその言葉を待っていたのだろう。ぽつりぽつりと話し始めた。


「太一と喧嘩したの」


「そーいや、ゆいっち喧嘩したこと無い位ラブラブだったもんね」


それは、凄いなと思う。元彼とは、喧嘩はそれなりにした。合わなくて3ヶ月で別れたんだけども、10ヶ月付き合っていて喧嘩無しとか、マジですごい。


「太一にね、盗みを疑われたの……私してないのに……ック、お金何てバイトしてんだから盗むわけ無いじゃん?」


まあ、バイトかけもちしてゆーいかなり稼いでいるって言ってたしな。


「それで、言い合いになって結局太一の勘違いだったのだけど……謝られたけどそれで結衣とはもう付き合えないって私何が悪かったのかな」


「……」


流石の告白に理恵もあーやも言葉を失っている。


ゆーいは、この話だけだと何も悪くなく聞こえる。そりゃ、そうだ。私でもブチ切れる、むしろこっちから振ってやる。


けれど、私は思うのだ。ゆーいは、確かに可愛い。それで男どもも群がってくるけどゆーいが男に対するそれは付き合ってるというよりもペットに対するそれのような感じに思える。


昨日の補習で前田と同じ教室になった時に盗み聞いた事だけど、ゆーいは、可愛くてお弁当とか頼むと作ってくれるし真面目過ぎずチャラく彼女として自慢できるけどキス以上はさせてくれなくて、愚痴も言わせてくれない。男の影がかなり見えていて浮気はしてないだろうけど不安とか……何だか納得してしまったのだ。


だから、あーやのラブラブという言葉にも詰まったのだ。彼氏の方は辟易としているのに、ゆーいは変わらずだったんだろう。勿論前田も悪いんだが。愚痴ってないでゆーいにちゃんと伝えろやと思う。


「ななちゃん?」


あっ、別れたという理由に意識とんでたわ。


「前田も悪い」


そう言うと、ゆーいは目を丸くして、その姿も可愛いな。


「ありがとう」


と笑った。下手な慰めよりもゆーいには、こっちの方が良いだろう。そこまで弱くないのだゆーいは。


「結衣、放課後焼肉行くよ」


「りえっち、いいねそれヤケ食いだ」


「あーやがヤケ食いする必要なくね」


「突っ込まなくていーよ、なあゆいっちいいでしょ」


「勿論」


どうやら、完全には吹っ切れてはないけど前を向けたようだ。


プシュ


あーやが買ってきた炭酸ジュースは、すっかり熱くなっていた。


「ぬるっ」


だけど、それも今日だけは気にならなかった。


まだ続きます

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