EPILOGUE
この小説には、連載を通して性的表現(同性愛含む)・グロ表現・鬱展開・キャラクターの死等を含みます
これらの表現・展開を含んだ記事には、頭に注意書きを載せます
ですが、その記事を飛ばされた場合、その内容についての上記の表現を避けたまとめなどは用意いたしませんので、ストーリーが分からなくなる場合があります
「続きが読みたい!」とのせっかくの声を頂きましても、どうしようもございません
なお、著作権は放棄しておりません
無断転載・無断引用等はやめてください
以上の点をご理解の上、お読みください
ケラケラと笑う男がいた。
男は問うた。君たちは鏡合わせなのかい? と。
一人は肯定し生きた。
一人は否定し死んだ。
男は死体を撫でて思う。否定し死んだ男の死体を撫でて思う。
なんと愚かなのだろうと。なんと愚かで美しくて儚いのだろうと。
腕がない男は背中から生えた結晶の羽で死体を撫でる。
生まれ、形を定められ、そのせいで歪に生きた死体を。
死体は欠けている。ボロボロと欠けている。
男の結晶の羽が死体を映す。ある羽は幼い空色の髪をした幼児を。ある羽は漆黒の髪で微笑む子供を。ある羽は空色の髪を自慢げに晒す少年を。ある羽は黒く染まった髪のように黒く染まった心を持った青年を。ある羽は機械の様な黒く黒い影である青年を。
ケラケラと笑う男がいる。
死体の欠けた部分を眺めながらケラケラ笑う男がいる。
ケラケラと笑う男がいる。
死体を我が子のように愛でる男がいる。
「愚かな愚かな僕の子供たち。賢者なんて呼ばれて狂わされてしまった僕の子供たち。あぁ、僕は狂ってほしくはなかったよ。僕の何が欠けたとしても守りたかったよ。神なんて脆弱なものの力程度に狂った子孫たち。あぁ、愚かで愚かな子孫たち」
「一人狂えば全て狂うのかな。だからこんな子を生み出してしまうのかな。あぁ、愚かで愚かな子孫たち」
ケラケラと笑う男がいる。
死体を愛で、死体を踏み、死体を見上げる男がいる。
男は黒やら銀やら金やら空色やら、様々な死体に囲まれて笑う。
「あぁ、愚かで愚かな子孫たち。何も悩まなくていいのにね。狂わなくともいいのにね。死ねばみんな一緒さ。僕が愛でてあげよう。失った腕の代わりに、この狂って狂った石ころの羽で」
ケラケラと笑う男がいる。
神を超えた男がいる。
全ての元凶の男がいる。
男はケラケラと笑う。
欠けた死体を見て。完全にこちらに来ていない欠けた死体を見て。
ケラケラと笑う男がいる。




