= 金銀の賢者の一族と石の僕 =
この小説には、連載を通して性的表現(同性愛含む)・グロ表現・鬱展開・キャラクターの死等を含みます
これらの表現・展開を含んだ記事には、頭に注意書きを載せます
ですが、その記事を飛ばされた場合、その内容についての上記の表現を避けたまとめなどは用意いたしませんので、ストーリーが分からなくなる場合があります
「続きが読みたい!」とのせっかくの声を頂きましても、どうしようもございません
なお、著作権は放棄しておりません
無断転載・無断引用等はやめてください
以上の点をご理解の上、お読みください
「あいつらのことだ。きっと『負けてしまおう。目立つ前に』と思ってる。そしてそれは失敗するだろう。なんて言ってもなぁ。オレ、調べたんだよ。前川兄弟について。あいつらの名前面白いぜぇ?人間の名前とは思えねぇからな」
「何が言いたい。わざわざ隣に座ってきてまで何を言い出す?」
「何が言いたいとな。何も言いたくはないさ。ただ、特に目的もなくおしゃべりしましょうってことだよ。客席は目立つからな」
「客席が目立つのではなく、お前が目立っているんだろう?峰本連夜。この羅沙大栄帝国において、銀髪の青年」
「はっはー!お前は馴染もうとしてるみたいだな!なんて言ったって、髪の色を染めてんだからよ!周りよりは暗めだけど、その色なら紺色だっていえるんじゃね?正確には藍色って感じだけどな」
「…前川兄弟の話ではないのか」
「あぁ?あーそうだったな。名前だっけ。そうそう、人間離れしてるんだぜ?茂とこの弟妹よりはマシかもしれねぇけどな。ま、別々に話すときが来たら教えてやるよ。それよりオレが調べたことってのは、前川兄弟と松本姉妹、面識あるんだよなぁ。それも最悪の形で。最悪っての、想像つくか?」
「キセトに害が出ない限りおれの知ったことではない」
「おうおう。キセトはモッテモテだな。本人は自覚ないようだけど。にしても、立つとわかるけど身長たけぇなー。ちょっとの間お前を探してたわけなんだが」
「話を元に戻せ。無駄話を聞くためにここにいるわけではない」
「オレの話はずれてもいないぜ。冗談は混じってるけどな。んで、次のターゲット探しか?ミラージュの件はお前的にはどうだったんだよ?成功でよかったのか?結果的に誰一人捕まってないし、進展もない感じだけど」
「峰本連夜にそれを話す理由がない」
「つめてぇ!じゃ、交換条件としようぜ?お前はなんかキセトが大事みたいだし?オレの質問に答えてくれないってなら、オレはオレが知る限りのキセトの秘密をしゃべる。べらべらと、利害とか考えずに。相手も無差別に」
「それは本人に確認したことだ。キセトは自分のことについて外部に漏れることをなんとも思っていない。むしろ、自分のことを知られることで人々が混乱するかもしれないということのほうが、気になっているようだな」
「本人はそれでいいかもな~。でも傷つかないわけじゃない。キセトは自分が傷つくだけで終わるならそれで良いとか思ってる自己犠牲野郎だ。お前はキセトがそれでいいと思ってたら、キセトがいくら傷ついてもいいと思ってるわけだ。冷たいし酷いやつだな。まっ、あのキセトと付き合うとそうなるだろうけど」
「………。ばらす、と言ってもどうばらすつもりだ?口で誰かに言うだけで信じてもらえる内容だとでも思っているのか?」
「そこでさっきの話題だ。松本姉妹の『最悪の形』。あいつら、前川兄弟に買われたことあんだよ。あっ、変な意味じゃなくて労働力としてな。あいつらが現役奴隷だったころなんてまだ十代前半ぐらいだろうし、なにより松本姉妹の奴隷登録に性奴隷は入ってないんで。あいつらは労働用奴隷だったわけだし?」
「…それがどうやってキセトにつながる?」
「松本姉妹が奴隷とばれたときに、『じゃナイトギルドの他の隊員は?』ってなるだろ。そんなとき、隊長でもあるオレの口からさらりと言ってしまえばいい。焔火キセト君も元々は奴隷ですよ、ってな。それを黙っておくか口にするかはオレ次第だろ?だから、交換条件にしないか、っていう平和的な交渉」
「お前はおれに何が聞きたい。そこまでして、おまえ自身が友人と認めるキセトを脅しに使ってまで、おれに何が聞きたかった?」
「焔火キセトの過去について。部分的には知ってるんだけどな?全部つなげて知りたい。奴隷だったとは知ってる。だがなぜ奴隷になったのか。毒病だとは知ってる。だがあの化け物がどうやって毒病になったのか。黒獅子だったことは知ってる。だが不知火の民から好かれていない理由はなんなのか。あげたらきりがない。志佳嬢に聞いたらお前に聞けだとさ」
「キセト本人から聞きだせ。『石家よりも友を』。そういったら大体話し出すだろう」
「『セキケより友を』?なんだそりゃ。それにキセトが話すわけないだろ。お友達とか言っても嫌われてるし?オレに弱みになるかもしれない過去の話なんてキセトがする分けない」
「ならこの話は終わりだ。おれがお前にやる情報はその言葉だけだ。見事に使ってみろ」