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Black Night have Silver Hope   作者: 空愚木 慶應
日々というもの
3/90

賢者の物語


 この小説には、連載を通して性的表現(同性愛含む)・グロ表現・鬱展開・キャラクターの死等を含みます

 これらの表現・展開を含んだ記事には、頭に注意書きを載せます


 ですが、その記事を飛ばされた場合、その内容についての上記の表現を避けたまとめなどは用意いたしませんので、ストーリーが分からなくなる場合があります

 「続きが読みたい!」とのせっかくの声を頂きましても、どうしようもございません

 

 なお、著作権は放棄しておりません

 無断転載・無断引用等はやめてください

 

 以上の点をご理解の上、お読みください

 



 大昔のことです


 栄えた文明が滅び、一度人間は滅びてしまいました

 

 それでも長い長い年月をかけて再び《人間》は栄えるようになりました

 地形も変わり、過去の文明とは全く違う、新しい世界と言ってもいいほど変わりました

 全てが変わった中、一度滅びた人間だけは変わりませんでした

 自らの地位を確かな物にするために他人に害を与える者

 他人を慈しみ、守ろうとする者

 一人で生きようとする者

 他人と共にいるため、自らを偽る者


 人間だけが変わらない世界が、人間に対して悲鳴を上げるのも時間の問題でした



 《 昔々、あるところに四人の兄弟がいました 》


 《 長男は無口で自己主張をあまりしませんでしたがしっかり者でした 》

 《 長女は無口な兄に代わり、妹弟たちに指示を出す指揮官でした 》

 《 次女は元気で純粋無垢。何事にも興味を注がれるものでした 》

 《 次男はイタズラが大好きで兄姉にイタズラを仕掛けては楽しむ者でした 》


 《 冬の寒いある日、四人の兄弟はある森で迷って帰れなくなってしまいました 》

 《 どうしようか迷った挙句、長男はその場で体力保持することを勧め、長女はこの極寒の中で眠ってしまわないように歩き続けることを提案し、次女は森の木々に興味津々で話を聞いておらず、次男は近くの泉の水でも兄姉たちにかけてやろうと泉へ向かってしました 》

 《 次男がいないことに気づいた長男は歩みを進めようとする長女を呼び止め、四人一緒にいる必要性を話しました 》

 《 長女もそれに納得し次女に事情を話して次男を探すことにしました 》

 《 ですが探しても探しても、どこにも次男はいません 》

 《 もしかして次男だけ先に森を抜けたのではないかという疑いを持ちかけた頃、長男は視界の先に光り輝く泉を見つけました 》


 変わらぬ人間たちの下へ賢者が四人、やってきました

 その者たちは神の森よりやってきたと言われています

 賢者たちはそれぞれ違う、すばらしい力を持っていました

 人々はその力にすがり、その力を持つ賢者たちを崇めました


 賢者のうち一人はおとなしく自己主張しませんでしたが、人々を支える強さがありました

 賢者のうち一人は力強く人々を指揮し、人々に安定を与えました

 賢者のうち一人は人々に興味を持ち、自らが人々を知ろうと努力しました

 賢者のうち一人はカリスマ性を発揮し、多くの人々を魅了しました


 四人の賢者は人々にそれぞれ力を分け与えました

 賢者のうち一人は協力する力を

 賢者のうち一人は守る力を

 賢者のうち一人は今までになかった力を

 賢者のうち一人は耐える力を

 その後、三人目の賢者が与えた力だけが魔力として現代にも残りました


 《 次男を探して泉にたどり着いた兄妹たちはその光景に驚きました 》

 《 冬の森は雪に覆われているはずなのにその泉の周りだけ草木が茂り、花が咲きほこっているのです 》

 《 そして呑気に泉のそばで花を摘んでいた次男も三人の姿を見て嬉しそうに笑いました 》

 《 長男が次男の手を握り帰ろうとすると突然泉からキレイな水晶が現れました 》 

 《 次女がその水晶に興味を示し水晶に見入ってしまい、次男も花冠を作るのだと長男の手を振りほどきました 》

 《 ですが長男と長女にとってこの場はとても気持ち悪いものでした 》

 《 一刻も早くこの場を離れたい長男と長女はそれぞれ次男と次女を何とか説得しようとしましたが次男と次女は一切動きませんでした 》


 《 時間が過ぎ、空が暗くなってきた頃 》

 《 やっと次男が花冠を作り終え、次女が水晶から興味をなくしました》

 《 急いで長男が次男を連れて、長女が次女を連れてその場から去ろうとしたとき、水晶が兄弟たちに話しかけてきたのです 》



 時がたち、人々はそれぞれの賢者を信じる者によって集団で暮らすようになりました

 その集団は国となり敵対するようになりました

 その国の長に立つ者は四人の賢者でした



 《 長男は朝日を見つめて離れた妹弟たちのことを考えていました 》

 《 長女は夜空を見渡して離れた兄弟たちのことを考えていました 》

 《 次女は沈む夕日を見下ろしながら離れた兄弟たちのことを考えていました 》

 《 次男は昼の空を見上げて離れた兄姉たちのことを考えていました 》


 《 明日には殺し合うかも知れない愛しい兄弟たちは今、何をしているのだろう、と 》




  ――知ってる?この世界に名前があることを――

  ――この世界で唯一、私の支配から逃れた人間の名――

  ――それがこの世界の名前となった――

  ――この世界の名は   ――

  

  ――私の力をあげる――

  ――そして私の主になる運命――

  ――人間には過ぎた力だけど――

  ――私の主になるのなら必要な力――

  ――神の力と呼ばれるものを――

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