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アリステア王国存亡記  作者: ぞなむす
第一章・新王選定
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第一話・始めるための初めの会議②

「私達に争いをしろというのか!?王位を争う血生臭い争いを!!」


 彼の発言に真っ先に声をあげたのはイキシアだった。将軍として一番多く戦場に立つ彼女だからこそ、争いの醜さはこの場の誰より知っている。


「そんなことをすれば国家は疲弊してしまうでしょう。今でさえ四ヶ国は危うい均衡の上で成り立っているのです。内乱でその均衡を崩し、我が国が大戦の引き金を引く真似をする訳にはいきません」


 続いて声をあげるのはアルベルトである。彼はイキシアと違い、政治的な観点から争うことの愚を主張する。


 二人の意見を聞いたキースは大きく頷いた。


「確かに普通に争えば少なからず国家は疲弊する。が、その規模を最小に抑えられたなら?」


「何かしらの方法があると?」


 うすうす感づいているアルベルトは、会話を進めるためにキースに先を促す。それを受けて、彼は机に両肘をつけその上に顎を乗せた。


「簡単なことだ。ゲームにすればいい」


「「「「「「ゲーム?」」」」」」


 アルベルトを除いた6人が疑問の声をあげた。


「そう、ゲーム。内紛ではなく、な」


「ルールを決めてやれってことか?何でもありで殺り合うんじゃなく?ハハ、いいねぇ面白そうだ!!」


 カイトが諸手をあげて賛同する。が、彼のように享楽的な性格でない他の兄弟は眉を寄せる。ライナスとアルベルト以外は、だが。


 表情を変えず笑顔のままライナスは言う。


「具体的にはどういう風にするのかな?」


「フラッグ、というゲームを知っているか?」


 フラッグ。アリステア王国の庶民に親しまれているゲームの一種である。簡単に説明すると、まずは何チームかに分かれてそれぞれの陣地を定め、自分の陣地に目印となるもの(主に旗)を置き、チーム内でオフェンスとディフェンスを決める。


 そしてオフェンスが相手の陣地にある目印を自分の陣地に持ち替えることで勝利となる。ディフェンスはそれを防ぐためにオフェンスにタッチする。タッチされたオフェンスは一度自陣に戻らないと目印の奪取に向えない、というものだ。


 これが基本的なルールだが、これで奥が深いゲームである。たとえばオフェンスは相手ディフェンスに触れられないが、それを利用して仲間のディフェンスで相手のディフェンスを抑える等色々抜け道のあるゲームなのだ。


 正攻法だけでは勝てず、かといって奇策ばかりでも負けてしまう。綿密な作戦とその場の判断が決着を分けるシビアさが戦争に近しいものがあり、子どもたち、特に騎士に憧れる男の子たちに大人気のゲームだ。


「あぁ、知ってるよ。子どもたちがよくやる遊びだろう?」


 ライナスの言葉にキースは頷き、


「そうだ。そのルールを使う」


 詳しく言えば、


「・目印にはライナス兄上とアルベルト兄上のそれぞれの名の入ったフラッグを利用する。

・フラッグを奪取し、自陣に持ち帰れば勝利という点は『フラッグ』と同じ。

・陣地にはそれぞれアルハブラ砦とクランスター砦を利用する。

・部隊にはそれぞれの親衛隊を使用することとする。

・オフェンス、ディフェンスは定めず、実戦形式で行う。真剣の使用も可。

これらの条件で勝負をする。もちろんのことながら、不正が発覚した場合は強制的に負けとなる」


 アルハブラ砦とクランスター砦というのはアリステア王国でも有数の要塞である。と言っても、クランスター砦はアリステア王国が建造したものではないのだが。


「一つよろしいでしょうか?」


 キースからの説明が終わると同時にアルベルトが挙手をして尋ねた。


「何か?」


「私からも条件をつけさせてもらいたい」


 キースはわずかな時間逡巡した後で一つ頷いた。


「ありがとうございます。私からの条件は

 ・開始は二日後にすること。

 ・ゲームに使用する期間は三日間、その間に決着がつかなければ将軍であるイキシアが付いていないほうの勝利とする。

 これらの条件を加えて頂けるのならそのゲーム、乗ってもいいですよ」


 彼らは一人につきおよそ200人の親衛隊が与えられている。その中でも第一王子と第二王子は300の兵を持つことを許されている。しかし、アルハブラ砦もクランスター砦も王子らがちょうど半分に分かれた800人では長い期間の防衛が不可能なほど大きな砦である。


 たった800では城壁の全てに兵士を配置できても物資の供給や伝達する係が不在となってしまう。つまり大は小を兼ねないのだ。


 これらを考えると三日間で落とすというのは不可能ではないし、移動と準備に二日というのも、王都から砦への距離を考慮すると、800人が移動する時間と体制を整えるのに妥当な時間と言ったところだ。


 そしてイキシアはこの七人の中で唯一生の戦場を経験している。彼女がついた側が有利になるのは自明である。


 ゲームの公平性を鑑みてもこれらルールは適用されて然るべきである、とキースは考える。必ずしもイキシアがアルベルト派に着くとは限らないのだから。


 だが、この兄の言うことだ。容易に受け入れてはならない。何か裏の意味があると考えるべきだ。


(本音を言うならば突っぱねてしまいたいところだが……それでは『ゲーム』への参加を拒否されかねないか)


 キースがその案を受け入れるかどうか悩んでいると、


「双方が守りに入った場合、必然的にゲームが長引いてしまいます。他国に隙を見せることになりますし、何より父の亡骸を長い間放置することになります。それでは父に申し訳が立たないでしょう」


 アルベルトの補足にキースも一応納得し、いかにも渋々といった風ではあったが、その条件を受け入れることにした。


「いいだろう。その条件も追加する。他には何かあるか?」


「あんまりルールを追加しても窮屈なだけですしねぇ。それでいいんじゃないんですかぁ?」


 クロノスは賛同の意を告げる。そして、


「そうですね。それでいいでしょう」


 アルベルトも首肯する。が、


「待って下さい」


 待ったをかけた者がいた。

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