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アリステア王国存亡記  作者: ぞなむす
第二章・四カ国会議
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第一話・人は城、人は石垣、人は堀。できる国家は一つの生き物③

久方ぶりの投稿

「そういえばカイトとオルテンシアはどうするんだい? 彼らもそろそろ役職についてもいいんじゃないかな?」


 遊ばせておくのも勿体無いしね。とライナスは続けた。


「彼らも机上で学ぶより経験を積むべき時ですからね。カイトは私に、オルテンシアはイキシアにつかせようと思います」


「その理由を問うても?」


 ウィルの問いに、顔の前で手を組んだアルベルトが答えた。


「先日行った『ゲーム』でわかったことですが、カイトには少々冷静さが足りません。いえ、攻撃的に過ぎると言った方がいいでしょうか。反面、しかるべき方向に伸ばしてやれば私のようなにわかよりはるかにいい軍師となるはずです」


 イキシアを破っておいてにわかとは。ウィルは心の中で苦笑した。


 確かに軍事学をきちんと学んでいないという点ではアルベルトはにわかと言えるだろう。しかし王国随一の将を打ち破るだけの発想力と応用力を持つ人間をにわか軍師と果たして呼べるだろうか。


 ウィルの内心に恐らく気付いていないアルベルトが続ける。


「ゆえにこそ私の下で学ばせたい。他の誰かの余計な思想に毒されず、確実に長所を伸ばす方法で学ばせてやりたい。それに、政治についても学ばせたいのです。もし私がいなくなった場合に、宰相という役職に就くことのできる人間を今の内に作っておかなければ」


 世の中、何が起こるかわかりませんからね。続けられたその言葉は明らかにウィルに向けられたものだった。疑いがあるのがありありと分かる。ここまで露骨だと逆に警告と受け取るのがいいのだろう。


 裏切れば、承知しないぞと。


「ふむ……」


「オルテンシアはもともと軍事に興味を持っています。それもイキシアと同じく将としての勉強をしているそうです。ならばイキシアの下に付けてやるのが一番でしょう」


「オルテンシアもあまり落ち着きがあるとは思えないけれど」


 それはまぁ、年が年だし仕方ないことではあるのだが。彼女はまだ、10をようやく越えたところなのだ。


「それにオルテンシアは私に依存している傾向があるようで。ならば私から少々離した方がよろしいかと」


 傾向どころではないのだが、そこはアルベルト。心情の機微に疎い彼がそこまで気付いただけで上等である。


「まぁ二人に関してはアルベルトに任せるよ。それじゃあ、それぞれ仕事があると思うから会議はここまでにしよう」


 その言葉に三人は同時に立ちあがり、それぞれ順に部屋を出た。


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