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カップラーメンが出来上がらない

作者: 束間由一



 今日の昼もカップラーメンだ。

 今日のヤツはコンビニで買った高いヤツで、その名を「麺神」と言う。


 スープは後入れのタイプで、かやくだけ麺の上に開けてお湯を注ぐ。

 最近はこのタイプが結構多いが、後にスープを入れたから美味しくなっているような気がしないのは、俺の気のせいなのだろうか?


 「ニューススクランブル」を見ながら待つこと5分。俺は、カップの紙蓋を開けた。

 湯気が顔に吹き付ける。冬になるとこれが気持ちいい。


 割り箸をパチンと割って、まずは麺をほぐそうとする。

 普通なら、ふわふわと麺は広がる。ハズだった。


 しかし、箸で触れると、その麺はカッチカチのままだった。

 お湯を入れる前と変わっていない。いや、もっと硬くなっているようにすら見える。


 俺は、カップの横にある造り方が書いてある部分を見た。

 確かに熱湯5分とある。そして入れたのは水じゃない、間違いなく約90度の熱湯だ。


 俺のした事は間違っていないように思われた。

 では、この異常事態は何なのか?


 分からぬまま時間は流れる。

 しかし、麺はふやけて伸びることなく、やはり硬いままの状態を維持していた。


 そして30分くらい経って、俺は1つの結論に至る。

 このラーメンは硬くなった状態が完成なのだ。従来はお湯を入れれば柔らかくなるのがカップラーメンだった。それが普通だった。しかし、これはその常識を覆さんとする意欲的な新型ラーメンだったのだ!

 お湯を入れて硬くなるラーメンとは、確かに画期的極まりない。298円で俺は新たなるラーメンの世界へ誘われたのだ。素晴らしい!


 俺は箸をとり、遂にそのラーメンを掴もうとした。

 しかし、ラーメンは塊としての体を崩さず、それはつまり重くて掴みどころがなく、箸をすり抜けてドボンとスープの湯に戻ると、跳ね返った汁が俺の顔にかかった。





 

 


  











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