嘘をやめるまで、あと3秒
短いお話です。
初めて書いた小説になります。
私の実体験をもとにしたお話です。
気軽に読んでいただけたら嬉しいです。
心春は、よく話を少しだけ盛ってしまう。
本当は大したことじゃないのに、
「昨日ね、テスト満点やってん!」
「この前、駅で芸能人見たかも!」
そんなふうに、つい言ってしまう。悪いことをしてるつもりはないのに、言ったあとに少しだけ胸がチクっとする。
ある日の昼休み。親友と三人で話していた。
「この前の数学のテストどうやった?」
「え、私?98点やった!」
本当は、84点。でも気づいたら口が動いていた。
「えー!すごいやん!」
「ほんまに?今回むずかったのに」
そのとき、後ろの席の男子が言った。
「え、84点やろ?テスト返ってきたとき見えたで」
一瞬、空気が止まる。
「……え?」
「98点って言ってなかった?」
「あ、えっと…その…」
言葉が出てこない。
「また?前も似たようなことあったよな」
「なんでそんな嘘つくん?」
「……ごめん」
「もう、何が本当かわからん」
そう言って、二人は去っていった。教室に残されたのは、心春ひとり。
(なんで言っちゃうんやろ…)
嘘をつくつもりなんてないのに、気づいたら口から出ている。(もうやめたいのに)
放課後、一人で帰り道を歩く。スマホを見ても連絡はない。(嫌われたかも…)胸がぎゅっと痛くなる。
「もう嘘つきたくないのに…」
そうつぶやいて、公園のベンチに座った。
そのとき、後ろから声がした。
「それ、嘘ついちゃうやつ?」
振り向くと、同じ学校の制服を着た女の子が立っていた。
「…聞こえてた?」
「ちょっとだけ」
その子は隣に座る。
「私、紗奈」
「…心春」
「さっきの話やけど、私も同じ。つい盛っちゃう。ほんとはそこまでじゃないのに」
「……わかる」
「で、あとから後悔する」
「めっちゃする」
二人は少し笑った。
「今日もやらかした?」
「友達と喧嘩した」
「うわ、それはきつい」
「もう嫌われたかも」
少しの沈黙のあと、その子は空を見ながら言った。
「私さ、嘘つくの直そうと思って一個だけやってることあんねん」
「なに?」
「“盛りそうになったら、三秒黙る”」
「三秒?」
「口が勝手に動く前に止める。そしたら、意外と本当のこと言える」
「……できるかな」
「最初は失敗するで。私もまだ普通にやらかすし。でも、一人で悩むよりマシやろ?」
心春は小さくうなずく。
「……やってみる」
「じゃあ今練習な」
「え?」
「今日のテスト何点やった?」
心春は口を開きかけて、止めた。
一秒。二秒。三秒。
「……84点」
「普通やん」
二人で笑った。
「なんか…ちょっとスッキリした」
「やろ?嘘つかん方が楽なんよ、ほんまは」
⸻
次の日の朝。教室に入ると、二人はもう席に座っていた。目が合っても、少しだけそらされる。(やっぱり怒ってるよな…)
昼休み、二人が席を立つ。
「……待って」
振り返る二人。心春は深く息を吸う。
一秒。二秒。三秒。
「昨日…ごめん。私、ほんとは84点やった。98点って言ってもうた。気づいたら言ってしまうねん。でも、直したい。ほんまにごめん」
少しの沈黙。
「……うち、正直ムカついた」
「うん…」
「信じてたし」
「……うん」
ため息がひとつ落ちる。
「でもさ、今ちゃんと言ったやん」
「前やったら誤魔化してた気する」
「……たぶんしてた」
「じゃあ、次また盛ったらその場で言うわ。“はい嘘〜”って」
「それいいやん」
「めっちゃ恥ずいやん!」
少しだけ、空気がやわらぐ。
「その代わり、正直に言う努力して」
「……うん」
「84点普通にすごいやん」
「なんで98に盛るねん」
思わず笑ってしまう。
「ほんまやな」
胸の奥の重たいものが、少し軽くなる。
⸻
その日の帰り道、公園の前を通ると、あの子がいた。
「どうやった?」
「……84点って言えた」
「お、三秒作戦成功やん」
夕焼けの中で、心春は少しだけ前に進んでいた。
この作品はAIと一緒に作成しました。
自分の中の気持ちや体験をもとに形にしています。




