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内務局員アンナはお掃除をがんばります!  作者: 朝日 橋立
一章め 内務局員アンナです!
5/10

五話め お祭りですよ!

 革命広場と呼ばれる場所がある。

 そこは皇帝の頭を落としたり、プレブレーニエ社会主義連邦の建国宣言がされたりもしたらしい。

 私はその時にまだ生まれていないので写真しか見たことはない。


 さて、その広場は現在お祭りが開かれている。

 今日は革命記念日でお仕事がなければ私もあの中に居たことだろう。

 そう! 不運なことにお仕事を命令されたのである。


「あれはなんだ?」


 このように問いかけてきたのはジェール共産党の幹部、ルートヴィヒさんだ。

 私は彼の護衛と、不本意ながら観光案内をしている。

 彼が観光をしたいなんて言っていなければ、もう既に仕事は終わっていたというのに。


「えっと、あれは革命闘士の廟です。赤軍の戦死者を奉るためのものですね」


「私は城塞から見る雷帝大聖堂が好きだったのだがね」


「まだちょっとは見ることができるらしいですよ」


 城塞、ようは党指導部の本拠地から大聖堂の間に廟がある。

 ルートヴィヒさんはそれを嘆いているらしかった。


「さあ、あっちに行こう」


 ルートヴィヒさんが示したのは雷帝大聖堂の方だった。

 これは随分前の皇帝が建てたらしいと聞いている。

 つい先日勉強したので間違いはないはずだ。


「宗教画を見に行くんですか?」


「いや、私は雷帝が好きでね。小さい頃はよく雷帝ルートヴィヒと名乗っていたものだよ」


 雷帝……。

 噂に聞く程度なのだが、とてもすごい魔法が使えたらしいと聞く。

 内陸部のカートランドと呼ばれる街を、その魔法で吹き飛ばしたらしい。


 しかしその伝説も、あまり信じられない。

 皇帝なんて見栄を張るものだ。

 それに、火薬に淘汰される程度の力なんだから、強いとは到底思えない。


「君は似たようなことはしていないかな」


「私ですか? ……記憶にある限りはないですね。あんまり魔法もできませんし」


「何を使えるんだ?」


「えっと、ちょっとした怪我を直すことと、音を小さくするくらいです」


「それは良いことだ」


 ルートヴィヒさんは聖堂を見上げながら言った。

 聞くところによると、ここは旧体制に関する博物館になっているらしい。

 聖堂というが宗教的組織としての機能は廃されている。

 そもそも宗教自体が許されていない犯罪だ。


 時折まだ宗教を信じている人がいるのだが、あれはもうすごい怖い人達だ。

 何だか目に厭な光がある。

 私は子供だからと許されることもあるのだが、他の局員さんに自爆攻撃をしかけた瞬間は驚いた。


「ルートヴィヒさんはどのような魔法が使えるのですか?」


 私からも話しかけないと、と思い立って問いかける。

 宗教画を見ていた私は、依然としてそちらに視線を固定したままだ。


「小さな火を起こす魔法だよ。戦地だと大活躍するものだったよ」


「戦地ですか?」


「大戦の前に兵役をしてね」


 大戦というのは、いうなれば世界大戦である。

 随分と人が死んだらしい。

 記憶の彼も世界大戦は、とても凄惨だったと言っている。


 思えば、記憶の彼はとても色んな知識がある。

 戦争についてとか、お仕事、勉強とかいろいろなことを教えて貰ってる。

 彼はホワイトカラーだったというから金持ちだったのだろうか。


 すると銃の知識が沢山あることも不思議だ。

 彼が過ごした場所は、殺し合いでもしてたのだろうか。


「君の魔法と同じで、使いどころが難しいのだけれどね。そう何回も使えるものではないから」


 ルートヴィヒさんはそう言う。

 というのも、魔法はたくさん使うととても疲れる。

 身体のエネルギーを使ってるから当然なのだが、これは才能が有れば違うらしい。


 それから幾許か話をしながら大聖堂を歩いた。

 宗教画を含めて興味はなかったが、見ていると面白いものだった。


 内務局に入ってから、恩師に色々と教えてもらった成果が出ていることも感じる。

 絵画とか音楽とか、あとは他の芸術も楽しくはなかったが、知識になっていることが分かるとやはり嬉しい。


「君、名前はアンナだったかな。この後の予定は?」


 党幹部の所へ送り届けたところで、ルートヴィヒさんは問いかけてきた。


「革命広場の見回りをする予定です。お祭りですから不埒な人も出てきてしまうのですよね」


 この国の人は大酒飲みが多い。

 普段それで問題が起こっている。

 酔っぱらいは恐ろしくて、撃つと脅しても中々止まらない。

 そんな酔っぱらいを頑張って止めるのが次のお仕事だ。


 これが失敗したら私の首が飛びかねない。

 今回のイベントは外国人もたくさん来る。そのため外交問題になりえるのだ。


「そうか。君みたいな優秀な少女と出会えてよかったよ」


「ありがとうございます」


 褒めてもらえるのは単純に嬉しかった。

 握手をしたところで、彼は私に何物かを握らせた。


「それじゃあまたいつか会おう」


 広場の方に歩いてから貰い物を見る。

 それはちょっとしたお駄賃だった。


 チョコレートとクッキーがどっちも買えそうだ。

 今日の楽しみが見つかって少しいい気分になった。

カートランドという地名が出ましたが、これはカザン的な都市です。

あと何回か作中に名前が出ると思います。

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