89 何度目かの会議
次の日、COCO基地での何度目かのナンバーズ会議が行われた。
俺、ミア、ジョーカー、ゾード、サニーはもちろんよろず♾️として、ナンバーズとして出席した。
「みんな、集まってもらってすまないな。」
相変わらず仙道さんが主導する。
「さて、みんな何故ナンバーズ会議が開かれているか?
もう十分分かっているはずだ。
巷では、昨日のニュースが何度も放送され、一般人の噂のまとになっている。
そう、地上に現れたリザードマンの覚醒体だ。」
仙道さんはナンバーズ達を見渡しながら、一度そこで言葉を切った。
「何かわかったんですか?」
俺がそう切り込むと…
仙道さんは苦々し気な表情でこう続けた。
「昨日のリザードマンの覚醒体の死体を我々は回収する事に成功した。
そして、その死体はこのCOCO基地の倉庫におかれ、我らが有能なる研究者の水瀬進によって解剖された。
結論から言おう。
これは、事故では無く、誰かが人為的に起こした事件だ。
リザードマンの覚醒体の首筋には電流制御チップが埋め込まれていたんだ…
おそらく…
大和ダンジョン委員会の仕業だろう…
COCOダイバー局のある南月区に放たれたのも、俺たちに対する宣戦布告のつもりだろう。」
仙道さんはまた言葉を切った。
「でもよぉ、大和ダンジョン委員会は覚醒体の実験をして、なにをしたいんだろうな…?
ほら、目的って言うかさ…」
桜波が言う。
確かに、大和ダンジョン委員会のもくろみはいまだに分からない。
「それは…
分からない…
話を少し戻す。
リザードマンの覚醒体のチップには、スタートンとコードネームが刻まれて居た。
コードナンバーは000だ。
つまり、スタートンは数百の覚醒体の実験の始まりの一体だと意味して居るんだ。
おそらく今後も…
覚醒体の街への放出は続くだろう…」
「うーん、何だか大変な事になってきたわね。」
ルナティさんが言う。
「今はまだ、覚醒体の実験も完璧では無いのだろう。
スタートンは完全に制御されていたとは言えない。
ただ…
今後…」
「しかし、ニュースになってから出動していたんじゃ、一般人への被害は避けられないでしょうね。」
ゾードが口を挟む。
「確かにそうだが、今は放出先を特定する技術はウチには無い…
ナンバーズはいつでも街に出られるようにスマホを確認してくれ。
こちらでニュースを監視して、何かあればすぐに近くのナンバーズに電話する。
今日はそこまでしか言え無いが…
一般人に犠牲を出してはいけない。
俺たちは大和ダンジョン委員会とは、華魔鬼凛とは違うんだ。」
そして、ナンバーズ会議は解散となった。




