41 ザット討伐
「何だありゃあ!?
あんな変異体見た事ねぇぞ!」
桜波がクーシーの毒爪攻撃を避けながら叫ぶ。
「落ち着け!
やる事は一緒だ!
全員、足止め攻撃開始!」
仙道さんがそう言い、俺たちは技や魔法を出し合う。
「雪月花!」
「疾風剣!」
「氷竜!」
「光のニードル!」
総攻撃をかける俺たち…
しかし…!
ザットは俺たちの攻撃が全く効いて居ないようで、触手の刃を振り乱す。
「効いてないぞ!」
「そんなバカな!」
「ちっ!
俺が出る!
雷鳴剣!」
仙道さんの剣に雷鳴が巻き起こり、それでザットを斬った。
斬れた!?
かと思いきや、そこから触手が這い出し、攻撃の手が増えた。
うげぇ…!
まじかよ!
仙道さんの攻撃までも効かず、俺たちの指揮は下がって居た。
「ふぅ…
やはり、そうでしたか…」
ゾードが言い、剣を構えた。
その剣は藍色に光る不思議な剣だった。
「氷流剣・Σ!」
ゾードがそう言い、藍色の剣を僅かに傾けた。
その瞬間、ザットは真っ二つに斬れたのだ…
「ゾード…」
「あんた、一体…?」
俺と仙道さん、いやみんなは唖然とする。
「とにかく討伐は終わりです。
帰りましょう。
そして、少しあなた方に話したい事があります。」
ゾードは言い、剣を腰に仕舞った。
「そうだな、大和ダンジョン委員会に報告が終わったら、俺たちの基地に来ないか?
ゾード、ツキノ、君らには来る権利がある。」
仙道さんは言い、みんなはそれに頷いた。
大和ダンジョン委員会に報告を終え、俺たちは上月区にあるある一軒家に向かった。
そこは、普通の一軒家に見えるが、本棚の裏に隠し階段があり、地下に巨大な空間があった。
巨大なマシンが置いてある部屋、はたまたトレーニングルーム、武器が置かれた部屋、そして、ミーティングルーム…
俺たちはミーティングルームに集った。
「ゾード、説明してくれ。
あれは一体何だったんだ?
あんたは何かを知ってる様子だ…」
仙道さんが言うと、ゾードはみんなを見回しながらゆっくりと口を開いた。
「あれは…
変異体ではありません…」
「!?」
「覚醒体…
そう、覚醒体です。」
「覚醒…体…?」
ルナティさんが言う。
「そうです。
変異体がある変異をさせて少しだけ強くなるのに対して、覚醒体はあの様に触手で覆われ、目玉や手足が腐る事が特徴で、その力は覚醒前に比べ4倍ほどに跳ね上がります。」
「なぜ、あん…ゾード、君は覚醒体を知ってるんだ?」
仙道さんが尋ねる。
「私の惑星は遥か彼方にありますが、それは美しい惑星でした。
人と魔族と植物が共生し、穏やかで美しかった。
しかし、ある時、それまでに無かったダンジョンが増え始めた。
最初こそ、宝探しにと人々は楽しみましたが、そのうち変異体や覚醒体が現れ始めました。
覚醒体は特に強く…
ダンジョンから溢れて人々を襲い始めたのです。
そして、私の惑星は覚醒体によって滅ぼされました…」




