105 始まりから次
人為的に送り込まれた覚醒融合体はICチップにネストと書いてあったらしい。
ネスト、かぁ…
最初のがスタートン、そして次がネスト…
まるで始まりから次までを示唆しているみたいだ…
「実験覚醒融合体、という訳ですか…」
ゾードがアロマを準備しながら、そう言った。
「あぁ、ゾード、お前は実験覚醒体は以前の惑星には無かったって言ってたよな?」
「えぇ、確かにありませんでしたね。
それに…
もしも、大和ダンジョン委員会が実験覚醒融合体を作り出したとしたなら…
次の手は大体予想がつきますね。」
「次の手って?」
「それはまだ言えませんが、血みどろの戦いになることは、まず間違いないでしょう…」
ゾードは不穏なことを言って、瞑想の中に入っていった。
しかし、それはそれとして、俺たちにはダンジョンでレベルアップするしか対抗策が無いので、その日もダンジョンに向かった。
今日はダンジョン・エクレアだ。
俺たちはドローンカメラを飛ばしながら、ドラゴンやフェンリルの背に乗ってダンジョンを駆けていく。
だいぶ時間の短縮になっている、と思う。
ガンドワーフが現れて俺たちに銃を発砲していくが、そのほとんどはゼンファーファやシャニル、ルールゥのバリアによって阻害される。
地下6階まであっという間に辿り着いた。
そして、ボスの間に入ると、そこには覚醒融合体がいた。
「リザードマンとクーシーの覚醒融合体うさ!」
ウラウサがそう教えてくれた。
確かCOCOダイバー局でも指定されている、コードナンバー01366のリーゼだ。
「よっしゃ、やるぜ!」
俺たちはリーゼを囲むようにフォーメーションをとった。
まずは、リーゼの顔面にサニーがパンチをぶちかます。
わずかにリーゼが後退した瞬間、俺の無の境地が発動。
無属性の歪みが現れ、そこに剣を突き刺した。
剣は空間を移動し、リーゼの尻尾の付け根に突き刺さる。
「ジョーカー!」
「任せて★!」
ジョーカーのサイコロが転がっていき、それは大きな鎌になった!
「マジカルサイズ(`・ω・´)!
切り落としちゃうよーん♡」
ジョーカーは触手を叩き斬りながら、リーゼとの距離を詰める。
そして…
大きく鎌を振りかぶり、リーゼの首を落とした。
「燃えちまえ!
炎獄!」
触手だけが蠢く、リーゼの死体をゼンファーファが強力な炎で燃やした。
こうして、ボス戦は無事に終わった。
「お疲れ!」
「ま、及第点、という所でしょうか…?」
ゾードの採点は相変わらず手厳しい。
そして、俺たちはいつものほのぼの屋敷に帰って行ったとさ。




