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22話:洞窟の街

 一行は、途中の街で短い休息をとりながら、まる一日かけて馬車で移動した。

 到着を告げられたのは、ほとんど深夜だ。馬車から降りたとき、アマリアはすっかりくたびれていた。強行軍だったのもある。何より、車内でまったく眠れなかった。


 オルヴェステルは寡黙な男で、あれからずっと、彫像のように黙りこくっていた。雑談のひとつも無い。

 そのくせ、飽きもせずアマリアのことをじっと凝視してくるので、非常に居心地が悪かった。自分の身だしなみでも崩れているのかと思って尋ねても、返事は「いいや」の一言のみ。

 木窓を締め切った薄暗い車内で、氷色の彼の目だけが、魔族特有の燐光をはなつ。面接試験か何かだろうか。


 それに近頃、アマリア自身も変なのだ。外套を借りたあの日から、彼の特有の澄んだ香りや、手の指の骨ばった輪郭、前髪を払うささいな仕草まで、やけに気になって、目で追ってしまう。


 前世では女友達と遊んでばかり、現世では聖王女としての勤めばかりで、彼女は家族以外の男性と親密になったことがない。

 有り体に言えば、アマリアは、異性というものを初めて意識し始めたのである。


 調査や実験で忙しくしているときや、大事な話をしているときは、目の前の課題に集中していることができる。

 だが、そういった目的の無い場では、胸の内で奇妙な熱が渦巻いて、アマリアをとんでもなく消耗させた。


 よたよたした足取りのアマリアに自然と腕を貸しながら、オルヴェステルは困ったように言った。


「道中、寝てくれて構わなかったのだが……」


(誰のせいだと!)


 との叫びは、内心に留め、アマリアは曖昧に笑みを返した。遠巻きにその様子を眺めるネノシエンテは、満足げににんまりしていた。


 洞窟は、木々に覆われた暗い山肌に、ぽかりと口を開けていた。天に(またた)く星の他には、灯り一つもありはしない。外界から見咎められぬよう、人目を忍ぶ隠れ里だ。

 先導するネノシエンテが、教えてくれた。


「『アウン・ラプ』と申しますのは、私どもの神話において、『冥府の川』を指す古語でございます。地底に広がる死者の国へと、魂を連れ去る大河ですわ。洞窟内の無数の地下水流がそれであると、先人たちは考えたのでございましょう」


「冥府の川の洞窟……ですか」


「中は湿って、すべるところもございます。足を取られて水流にでも落ちますと、凍えますし、どこへ流れ着くか分かりません。ご注意くださいませ」


 洞窟の中は、(かがり)()や松明が置かれていない。ガス爆発や一酸化炭素中毒の危険性があるからだろう、と、アマリアは前世の知識で納得した。代わりに、岩壁にへばりついた無数のヒカリゴケが、ほんのりと淡く辺りを照らしていた。

 神秘的な光景だが、熱源がないので肌寒く、ぞくりと体の芯から冷える。無数に枝分かれした闇への道は、まさに異界へと続くかのようだ。


 魔族たちは手分けして、滞在のための支度をてきぱきと整えた。蟻の巣のように広がる部屋の木戸を開け、それぞれ中を掃除して回る。アマリアも、はたきを借りて手伝った。

 (あなぐら)の家々は、天然の地形を利用していて、人が作った普通の建物とは、やや異なる。壁も床も完全な平面ではなく、丸みを帯びて、独特な雰囲気だ。

 遅い時刻ではあったが、見慣れぬ様式の住居を巡るのはじつに興味深い。アマリアは作業を楽しみ、夢中になって働いた。


 一段落ついた頃、涙の大公軍の兵が、アマリアを呼びに来た。寝室の支度が整ったから、休んでほしいとの勧めだった。

 案内された部屋に入る。床には分厚い(じゅう)(たん)が敷いてあって、木の寝台もゆとりのある広さだ。火は無くとも、すこし重ね着すれば暖かく過ごせるだろう。

 良い部屋を用意してくれた兵に礼を良い、アマリアは荷解きに取り掛かった。

 ……取り掛かろうとして、止まった。


(ここに運んでもらった荷物、多くない?)


 まとめて置いてある鞄の量が、明らかに一人分ではない。自分の持ち物でないものが混ざっている。

 振り分け間違いだろうか。誰かが困っているかもしれない。去っていった兵を呼び止めようと急いで飛び出し、アマリアは戸口で誰かにぶつかった。


「あいてっ」


「……大丈夫か」


 よりによってオルヴェステルである。

 彼の後ろの兵が、にこりと笑った。


「こちらの部屋になります、陛下。明日の朝食は『(せい)(ふう)()』にてご用意いたしますので、お好きな時間にお越しください。ごゆっくりどうぞ」


 案内を済ませて去る兵の足音が完全に聞こえなくなるのを待ってから、アマリアはこっそり尋ねた。


「……あの、わたくしたち、同じ部屋、ですか?」


「そのようだ」


 なんてことだ。そういえば夫婦であった。


 案の定、荷物の半分は彼のものだった。今からでも別室にできないかとおろおろしたが、さすがにこの時間からもう一室用意させるのは心苦しい。

 そのうえ、ネノシエンテにとっての二人は、熱く愛し合う新婚夫婦。あの様子では、自領の部下たちにも、大喜びで話しまくったに違いあるまい。


 アウン・ラプ洞窟に滞在する間は、甘んじて同室を受け入れるほかない。


 動揺するアマリアを(しり)()に、オルヴェステルは互いの持ち物をさっさと仕分けて、言った。


「私は椅子で寝る。寝台を使うといい。ネノシエンテらの前ではごまかす必要もあろうが、そこは受け入れてくれ。構わないな?」


「はっ、はいっ」


「もう遅い。早く寝なさい」


「はい! あ、き、着替えなくては……」


「廊下に出ている。終わったら声をかけてくれ」


「お、お、お手数おかけします……」


 向こうは完全に落ち着いている。うろたえているのはこちらばかりだ。

 恥ずかしいやら、申し訳ないやらで、寒いはずの(いし)(むろ)なのに、アマリアはすっかり赤くなっていた。


(ああもう、さっきまでへなへなしてたくせに、急に大人なところ見せないで。どっちか片方にしてよ!)


 ぼすんと枕に頭突きする。それが無茶な八つ当たりだという自覚は、あった。




 緊張して眠れないかと思ったが、熟睡であった。疲れた体は正直である。


 朝食のために連れ立って向かった『清風の間』は、洞窟内だというのに、天井がぽっかり開いていて、晴れた空が見えていた。

 広間というより、公園のようだ。丸テーブルや木の椅子が、日差しのもとに並んでいる。時折、風が秋の草葉を運んでくるので、アマリアは説明されずともこの空間の名の由来を知った。


「素敵な場所ですね。花の季節なら、なお心地よさそうです」


 オルヴェステルも、目を細めて言った。


「そうだな……。ここは皆が気に入っている。外の空気が入って火も使えるから、調理場や工房は、こういった場所にまとめて設けられる。いつも人がいて、賑やかだった」


 清風の間に差し込む朝日は、天井穴の付近に枝葉を伸ばす木々に遮られ、穏やかだ。太陽のもとで凶悪にしかめられるオルヴェステルの目つきも、ここでは優しい。見つめてしまったのがばれたくなくて、アマリアはあわててそっぽを向いた。


 岩壁がちょうど(ひさし)になっている場所では、魔族(ナイトメア)たちが集まって朝食を作っていた。

 食事の支度は、手間取っているようだった。王夫妻の来訪に気づいた魔族の一人が、あせって言った。


「おはようございます、魔王陛下、王妃殿下。申し訳ございません、ご用意までいま少しかかります」


「何か、問題が起こったのですか?」


「いえ、そういうわけでは……」


 どういうわけだろうか。首を傾げるアマリアに、オルヴェステルは小声で言った。


「……彼らは、本来、料理人ではない。魔術師なのだ。術にかけては比類なき技を有する、優れた知恵者たちだが、反面、こうした日常の手仕事は不慣れであることが多い。責めてやるな……」


「なるほど、専門外なのですね。ちなみに、これまでも同じ用件で、皆さま洞窟にいらしたと思うのですが、そのときはどのように……?」


「ここへ来るのを遅らせていた。ふだん、私は午前に眠る。……今朝の我々は、早起きしすぎたな」


 魔術師たちは、申し訳なさそうに頭を下げている。道理で、王城のジョサムたちが、必死に食べ物を持たせてくれたはずだ。切って煮るだけ、混ぜて焼くだけのそれらにさえ、魔術師たちは手間取っている。

 そういうことならばと、アマリアは笑顔で腕まくりした。


「今回は、わたくしがお手伝いいたします!」


「え!? いえ、そういうわけには!」


「ご安心ください。神国では、巡礼者のために、たびたび炊き出しを行っていました。大人数用の料理は得意中の得意です!」


「あわわ……へ、陛下、いかがいたしましょう……」


 オルヴェステルは、静かに一度まばたきして、うろたえる魔術師に言った。


「……私も手を貸そう」


 アマリアと魔術師は、声を揃えて「ええ!?」と叫んだ。その横をすっとすり抜けて、オルヴェステルは平然と調理場に入っていった。

 意外にも、手際が良かった。他の魔族から献立を聞き出して、人々の作業状況を見やると、必要な仕事を自分で見つけて、手早く取り掛かっている。刃物の扱いも、火の扱いも、周りのあぶなっかしい魔術師たちより断然落ち着きがあった。


(しょ、庶民派だ……)


 びっくりして眺めていると、「うふふ」と背後で笑い声が上がった。ネノシエンテであった。


「おはようございます、アマリア様。陛下のお姿、意外でしたか?」


「おはようございます。……ええ、とても……」


「懐かしいですわ。昔は、ああだったのですよ。陛下はお母上とふたり暮らしで、お小さいうちから、しっかりしておいででした。(おん)(とし)(とお)を数える頃には、家政のほとんどをてきぱきとこなしておいででしたわ」


「へえ……。ちなみに、陛下のお母様は?」


「愛情深く、意欲にあふれ、何事も果敢に取り組んでおられましたが、おそれながら、いずれも不得手でいらっしゃいましたね……」


「な、なるほど……」


 アマリアはもう一度オルヴェステルを見た。手際よく作業をこなしながら、隣の魔術師がもたつくのを、慣れた様子でフォローしてさえいる。


「ところで、ネノシエンテどのは料理なさらないのですか?」


「そうしたいのはやまやまですが、私は調理場に立入禁止だそうです。何故でしょうね?」


「さ、さようで……」


 にっこり笑顔のネノシエンテである。アマリアは、「いけない」とつぶやいて気まずさをごまかし、負けじと自分も調理場に乗り込んだ。


 心得のある人物が加われば、それほど時間はかからなかった。あらかた作り終え、そのまま配膳まで始めようとする二人を、「せめてあとは我々が」と魔術師たちが懇願して止めた。


 食卓に並んだ朝食は、心なしかいつもより食欲をそそった。働いたあとの食事は、うまいものだ。景色の良い出先で食べるという、キャンプ気分も手伝っている。出汁(だし)で炊いた雑穀、ぴりりと塩辛い焼き魚とピクルスは、懐かしい日本食を思わせて、アマリアは幸せにそれらを味わった。

 オルヴェステルは、干し肉と豆類のスープを(さじ)ですくいながら、静かにつぶやいた。


「自分で料理をしたのは、久しぶりだ。案外、手が覚えているものだな」


「昔からなさっていたとうかがいましたよ。生活の一部だったのでしょう? そう忘れませんよ」


「生活、か……」


 スープを飲んで、彼はしみじみと目を閉じた。


「その言葉もまた、久しいな」


 アマリアは、食事する彼を眺めながら、思った。


(この人、今まではどんなふうに暮らしてきたんだろう。何が得意で、何が好きで、何を目指していたんだろう。

 知りたいな。王でなく、遺族でもなかった頃の、オルヴェステルという人のことを……)


 食後、ネノシエンテが二人に告げた。


「我々は準備がございますので、しばしごゆるりとお過ごしください。アマリア様はアウン・ラプが初めてですから、見て回るのもよろしいかと」


 アマリアはオルヴェステルと目を合わせて、うなずいた。『呪い』について調べるチャンスだ。二人は連れ立って、洞窟都市の探索に乗り出した。


 案内されたのは、畑だった。

 先ほどいた清風の間よりも、ずっと暗い。天井や壁に空いた穴は小さく、かすかに光が漏れる程度だ。しかし、この空洞には幾つもの鏡が設置されていて、貴重な太陽光を何度も反射させ、地面に敷かれた土を見事に照らしていた。

 「地下洞窟は、人の生活に向かないが、それだけこの街には多くの工夫が凝らされた」と、オルヴェステルは言った。


「人も、その他の生命も、光と熱を愛する。この洞窟は暗く冷たいが、それでもこうして、先人たちは知恵を絞った」


 アマリアは、素直に歓声をあげた。見たことのない様式だ。洞窟内は地面も石なので、(れん)()()(どめ)の壁を組み、その内側に、外界から持ち込んだ土を敷いていた。すでにここには人が住まず、管理する者も無くなっていたが、雑草の種も吹き込まないこの畑では、かつて育てられていた作物が()(ほう)()に茂っていた。


 しゃがみこんで、そのひとつに触れる。青みがかった、手のひら大の野菜だ。特に(しな)びては見えない。料理すれば食卓に出せそうだ。

 オルヴェステルも、隣に実っていた同じ野菜に手を伸ばし、もいだ。


(ふし)(うり)だな。(つる)が短く、地に臥せるように育つ。世話する者もいないのに、よく育っている……。皮が薄く、そのまま食べられるが、一般的には塩で漬ける」


「へえ……」


 布で軽く拭いた臥瓜を無造作にかじるオルヴェステルを見て、アマリアも(なら)ってかぶりついてみた。かりっとした歯ごたえで、みずみずしい甘みがある。


(おいしい! 丸っこいけど、胡瓜(きゅうり)に似てる)


 アマリアは、しばし調査を忘れ、臥瓜の味に夢中になった。途中ではっとして振り仰ぐと、オルヴェステルが目を細めて笑んでいた。


「気に入ったか」


「う……はい……」


「それはよかった。私も、臥瓜は生が好きだ」


 アマリアは、顔を赤くして立ち上がり、早口でそれをごまかした。


「ええと、ここでは、呪いの影響は見受けられませんね! 他にも同様の畑があれば、拝見したく存じます!」


「ああ。ひと通り回ってみようか」


 仔猫でも眺めるような目で、オルヴェステルはほほえんだ。アマリアはそれが無性に恥ずかしかった。


 二人は、他にも数ヶ所の畑を巡ってみたが、どこも植物は健康で、放置されて荒れている以上の、『呪い』特有の不調は見られなかった。

 アマリアは考えこんだ。


「確かに、ここには『呪い』の影響が無い……。とすると、魔族が集団で暮らしているだけでは、マナの枯渇は起きないはずです。古代迫害時代には有り、アウン・ラプには無くて、現代の地上には有るもの。何でしょう……?」


 次の畑へ向かって歩いていると、ふと、今までになく明るい場所に差し掛かった。

 そこには、ちょうど人が通れるほどの脇道があり、道の先は地上へと続いていた。窓のようにぽかりと開いた洞窟の出口からは、日が差し込み、外の森林の景色が見える。


「居住区は地下深くに設けられるが、先の広間や畑といった施設類は、山肌付近に設けられる。このあたりは外へ通じる()(みち)も多い」


 説明してくれるオルヴェステルの声は、アマリアの耳には届かなかった。彼女の目は、小径の外、そこから覗く山野の景色に釘付けになっていた。


「……枯れてる」


 彼女は駆けた。

 洞窟の出口の草花は、間近で見ても、明らかに黒々と枯れていた。それだけではない。虫の一匹も見当たらない。そして、このような自然の領域でありながら、枯れた草木の跡地には、(あと)(がま)となる別種もない。


「これは……『呪い』、か?」


 後を追ってきたオルヴェステルにうなずいて、アマリアは祝詞(のりと)を唱えた。


「天に(ましま)す父なるアドゥマよ。あなたの娘イェラの(すえ)より、(かしこ)み申し(たてまつ)る。イェラの如くに命を癒やす、天与の恵みを授け(たま)え」


 狙ったのは、一本の立木だ。それは、乾いた綿のように、ぐんぐんマナを吸った。当たりだ。


(なぜ? ここは山の奥地、今は誰も立ち寄らない。魔族も、それ以外も……)


 思案にふけるアマリアに、オルヴェステルがひそやかに耳打ちした。


「調査は終わりだ。人が来る」


 予言通り、ひとりの魔術師が、洞窟内から二人を呼びに来た。ネノシエンテたちの支度が整ったとのことだった。

 年老いたその男魔術師は、周りの景色を見渡して、「やあ、懐かしいなあ」と伸びをした。


「ここはね、休憩所だったんですよ。もしかして、ご覧になったかなあ。近くに魔術工房があるでしょう? 開発が佳境になると、うちらはそこに、朝から晩までこもりきりでね。こっそり工房から脱走して、ここで茶を一服して、息抜きしてたんでさあ」


「魔術師の、休憩所……ですか」


「そうです、そうです。魔術の研究開発ってのは、なかなか体力勝負でね。そのくせ、うちらは揃って、痩せっぽちの頭でっかちなもんで、試作なんかやってると、必ず倒れて、鼻血吹きながら目を回しちまうんでさあ。だから、しょっちゅう此処を溜まり場にしてました。おっと、また無駄話ばかりしちまった。失礼しました、それじゃ、清風の間に戻りましょう」


 ほがらかで打ち解けた雰囲気の(こう)(こう)()だ。アマリアは、先を歩く魔術師の背を追いながら、問いを投げかけた。


「あの辺りは、昔から草木が枯れていたのですか?」


「うん? ああ、そうですよ。どうしてでしょうねえ。花見ができなくてがっかりだと、よく仲間内でぼやいていました」


「そうですか、昔から……」


「農場管理者たちには、お前らが何かしたせいだろうと、よくからかわれましたよ。

 まあ、うちらは連中に煙たがられてましたからね。何せ、働き詰めの魔術師ってやつは、みんな寝不足で、目玉ばっかり人一倍ぎらぎら光らせて、その辺でくたばって眠りこけちまいますからね。近所の畑の連中からは、夜中に魔術師に出くわすと心臓に悪いと、大評判でした。ははは。

 そのうえ、いつだったかな、新しい畑を作ろうという話が持ち上がったときがあってね。魔術師連中も術を提供したんですが、どうも上手く行かなくて、邪魔ばかりしちまいましてね。魔術師ってのは役立たずだと、鬱陶しがられてたわけでさあ。

 職人連中には大人気だったんですがねえ、うちらも。農場とだけは折り合いが悪くってね……」


 話好きのその魔術師の言葉を、アマリアは頭の中に刻みつけた。

 ここに、重要な何かがある。そんな予感がした。

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