表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

旅立ちへの準備

 秋の収穫の忙しさが一段落した頃、ケヴィンは遂に旅に出る事を決意した。叔父のブルーノが背中を押してくれ、叔母のアラーナは少し悲しそうな顔をしたが、反対はしなかった。

 旅に出る。

 簡単に言葉にしてみたものの、ケヴィンは具体的に何をしなければいけないのかを考えた。

 最初は徒歩での移動。

 この村から徒歩で最寄りの街までどれくらい掛かるのだろうか。

 ケヴィンはこれまで他の村や街に出掛けたことはない。出歩くのは村の周りの森や山だけである。

 先ほど夕食を終えて、部屋のベッドに寝転がり、旅支度について考えていた。

 地図が必要だ。

 装備もいる。

 金も必要だ。

 すぐに出発する必要はない。

 準備がいる。

 ケヴィンは考え事をしながら、そのまま眠りに落ちてしまった。


 いつも通りの朝を迎え、いつも通り畑に向かう。

 ブルーノやアラーナに旅に出たいと話をしたが、具体的にいつ出発して何処に向かうとか、そこまでは話していない。否、まだ何も決まっていない。

 農作業で体力には自信があるけれど、戦う力も必要だ。

 「叔父さんは、剣術とか得意なの?戦士だったんでしょ」

 昼食時に尋ねた。

 「まぁ、レベル12くらいだったかな。現役の時は。今はどうだろうなぁ」

 「うーん、それは強いの?」

 ケヴィンはレベルの感覚が全く分からない。

 「あっ、そうか。取り敢えず、冒険者ギルドに行って、登録証をもらいなさい」

 ブルーノはバッジを見せてくれた。

 特殊な魔法による加工がされているらしく、そこに登録された冒険者の情報が随時更新されていくらしい。

 「詳しい説明はギルドで聞きな。この小さな村にも、冒険者ギルドはあるから」

 「酒屋のディアスさん?」

 「そうだ。代行業務をしている。それに、彼も冒険者だったからな」

 「へぇ〜、ディアスさんも戦士だったのかな?」

 「確か、斧が得意だったと思うが」

 農作業を終えてから、ケヴィンはブルーノと別れ、帰宅する前に酒屋のディアスのところに向かった。旅立ちへの第一歩だ。

 酒屋を覗き込むと、お客はまだ誰もいない。小さな村の酒屋なので、見知った顔しか来ない。

 「いらっしゃい。あっ、ブルーノのとこの」

 「ケヴィンです」

 「珍しいな。お使いかな?」

 「いや、あのう、冒険者登録がしたくて」

 「おっ、いきなりだな」

 そう言って、ディアスは笑った。

 「そうか、もうそんな歳になったか」

 ディアスは奥に消えて、すぐに戻って来た。手には何かを持っている。

 登録用紙のようだ。

 「まずはここに記入を、新米冒険者さん」

 「試験とかはないの?」

 「無いよ。登録すればなれる。ただ、冒険者になっただけでは、何も変わらないよ」

 ディアスは微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ