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引退配信は365日後! 召喚された国から逃亡して年下勇者と年上副団長と気ままに冒険します  作者: シロイロ ネココ
56ー99 キャラバン・ジゼニア

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第76話 やっぱり気になるよね

※□※※□※※□※1行×32文字で執筆中※□※※□※※□※

改行などで見辛くなる時はビューワー設定の調節してください

「ねぇ、神斗。この辺りでしない?」


 薬草の群生もしているのが見える。

 太陽に照らされた葉が生き生きとしていて、私にはまるで自然の宝庫のよう。

 ずんずんと歩を進める神斗の足が止まった。

 神斗は森の方へちらり、ちらりと視線を送り続けている。


 クスッ

 きっと、あの罠のことが気になって仕方がないんだね。

 私が高校生だったら、「男子~、やめなよ~」って止めるのが定番なんだろうな。


「森に近づくだけだよ。森へは入らないからね。それに調査班の人達も来てないし」

「うん、わかった!」


 そんなに嬉しくなることなんだ。

 神斗の表情には、好奇心と冒険心が滲んでいるようだった。

 でも、トラブルに巻き込まれるのは厄介だ。

 今回の相手は〖罠を設置した人〗ーーつまり、魔物や動物とは違う。

 知能を持ち、狙いを持って罠を仕掛けている以上、より慎重に動かなければならない。

 万が一戦闘なんかになったら、大変。


「ここでいい? ヴィヴィオラ」


 目の前には森の入り口が広がり、街道が一直線に伸びている。

 この位置なら、森へ向かう調査班の姿もしっかりと把握できる。

 彼の中で妥協できる場所を見つけたようだ。


「そうだね。ちょっと待ってね。【探索(サーチ)】……」


 うん、あるある、ヒール草が。


「チキンチキンは……【探索(サーチ)】……。え!? ……これは。……そうだね。もう少し森の近くへ行った所に座り込んでいるのか、2群れいるね。ざっと数えて50羽ぐらいいるよ……」


 森の方を指差しながらため息がでた。


「ダメだからね! 森まで入ったら!」


 なんで、森近くで休んでいるの。


「オッケー! 倒し終わったら呼ぶから。疑卵届かない範囲にいて」


 私は私で受けた依頼を進めないと。

 薬草……宝の山!

 慎重に手を伸ばしながら薬草を摘み始める。

 

 夢中になって薬草を採取していると、「ヴィヴィオラ!」と神斗の声が響いた。

 彼の声はどこか満足げで、戦闘が終わったことを知らせるものだった。


「うわぁぁぁ……」

「チキンチキン45羽ぐらいかな? それと卵持って帰ろう。【収納(アイテムボックス)】に入れておけば、良いしね」


 目の前には、討伐された大量のチキンチキンが横たわり、その横には卵がずらりと並んでいる。


「凄いねぇ……。【収納(アイテムボックス)】」


 近くのチキンチキンにそっと手を触れ、魔法を発動する。

 まるで初めから存在していなかったかのように、チキンチキンの姿は掻き消えた。。


「ん?……あれ?」

「どうしたんだろう? 卵、半分しか入らなかった」


 【収納(アイテムボックス)】を確認し、原因を探るように目を細めた。

 卵27個としか頭に浮かばない。


「ヴィヴィオラ。もしかして、無精卵と有精卵の違いなんじゃない? 【収納(アイテムボックス)】って生き物は入れられないんだよね?」

「無精と有精? ……卵にそんな違いがあるなんて知らなかった」

「卵が孵化する可能性があるものが有精卵。『生きている』ものとして認定されてるんだと思うな。今、【収納(アイテムボックス)】に入っているのが無精卵で、俺らがいつも食べている卵」

「なるほど……。じゃあ、この勇者が狩り尽くした群れも、有精卵と逃げたチキンチキンのおかげで、時間が経てば元通りになるね」


 残った卵の山をじっと見つめる。


「元気で育つんだよ~」

「魔物なんだけどな」


 「益虫ならぬ益魔物ってことで!」と話をしているときに、調査班の一団が台車を引きながら森へ入って行った。

 

「調査班が来たね。思ったより人数が多いな……」

「そうだね。よかった! ちゃんと調査してくれて。それじゃあ、私たちはお昼ご飯にしよう?」

「そういえば今日の昼飯、俺が捌いたオークのとんかつサンドらしいよ」


 神斗はどこか得意げに言う。


「オーク……。みんな当たり前のように食べてるけど、豚とか猪の獣人じゃないんだよね?」

「いや、違うらしいよ。ちゃんと魔物なんだってさ」

「じゃあ、いつもの魔物肉だ」


 不安が、ふっと溶けるようにホッとした。

 獣人種(ビースト)の共食いなんて嫌だもん。

 【収納(アイテムボックス)】ら敷布を取り出し、丁寧に広げる。

 地面の感触を確かめながら腰を下ろし、ゆっくりと周囲を見渡した。


「……気になる?」


 神斗の視線は、私を透り越した向こうの森の入り口に注がれている。

 実際に罠の被害に遭った以上、それを仕掛けた者が何者なのか、どんな目的で仕掛けたのか、気になるのも仕方がない。


「まぁね……。あっ……」


 曖昧な口調のまま視線を動かしていた神斗だったが、ある一点で目を止めると、肩をわずかに強張らせて息を飲んだ。


「どうしたの?」

「ヴィヴィオラ、動かないで……ガビルたちだ。7人が、二手に別れて森に入っていく」

「え!? 本当にガビル? やっぱり、あの罠はガビルたちの仕業だったんだ……」


 ジゼニアに到着する前の日の夜。

 砂糖の実のおじさま冒険者が「『獲物を横取りするつもりだったんだろう?』って金品を要求してくるんだ。しかも倒した獲物をギルドまで運ぶ手伝いもさせられる」と話していたっけ……。


「多分だけど、罠を回収に来たって感じじゃないよ。剣を抜いて森へ入って行った……しかも、話し合う様子もなく、まっすぐ罠の方へ向かってるかも」

「えぇ? ちょっと待って、剣って言った?」


 もしかしたら、戦闘になるのかもしれない。

 心臓が一瞬だけ強く跳ねた。


「でも、Bランク2パーティいるんだから大丈夫だよね?」

「隠れて様子を見てみよう」

「うぅ……やっぱりそうなるんだ……」


 やっぱり、こうなるよねーー。

 胸の奥で小さなため息が渦巻く。

 危険な予感がじわりと広がっていくのを感じながら、そっと食べかけのサンドイッチを【収納(アイテムボックス)】の中へしまった。

【★お願い★】

こんにちは、作者のヴィオレッタです。

最後まで目を通していただきありがとうございます。

少しでも 「また読んでやるか」 と思っていただけましたら、

広告の下にある【いいね】や【☆☆☆☆☆】ポイントを入れてくださるとめっちゃ喜びます。

最後に誤字や言葉の意味が違う場合の指摘とかもお待ちしております。

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