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第68話 初めての依頼完了

※□※※□※※□※1行×32文字で執筆中※□※※□※※□※

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 今日はジゼニアの門の前には列はできていない。

 門番たちは槍を立てかけ、暇を持て余した様子で雑談に興じている。

 門番は「おかえり、ヴィヴィオラちゃん。怪我はないかい?」と聞きながら光沢のある珠に差し出してくる。


「ただいま~。なんともなかったよ」


 ギルド票と滞在票を差し出すと、門番が確認しながら頷き、街への通行を許可してくれた。


「名前憶えられてるんだ?」

「本当ですね。どこで知り合ったのですか?」

「え? 何が? 門番の人? ジゼニアに来た時に門で案内してくれただけだと思うよ?」


 神斗とウィルは、口を尖らせ、不満げに視線を交わした。


「なれなれしいですね」

「プライバシーの存在はないのかな」

「ちょっと、私、コミュ障気味だから、向こうから親しくしてくれるのはウェルカムだよ!」


 そんな軽口をしながら門からの通路を抜けると、一気に活気溢れる街の喧騒が目と耳に飛び込んでくる。 その中でもちろん向かう先は、冒険者ギルド。

 

「おおぉ、意外と早かったな!」


 ナザル・ギルド長は目を輝かせながらこちらを迎える。

 

「どうだ? 楽しかったか?」


 ナザル・ギルド長は口元をわずかに吊り上げニヤリと笑う。

 疑卵爆弾の事を言っているらしい。

 

「まぁまぁ、でしたね」


 神斗は余裕そうに応じる。

 実際、本当に余裕だったんだと思う。

 神斗はレンギア王国で勇者としての訓練を経験していて、そこでの訓練は色んな意味で過酷だったと聞いたから。


「ヴィヴィオラはどうだ? 怪我はないか?」

「んー、大丈夫。ーーでも、襲ってこない魔物を殺すのはなんか……、なんというか、ジゼニアに来るまでに倒したホーンラビットよりも心にくるというか……」

「なるほどな。命の重みを感じるのは良いことだ。それにしても、ウィルヘルム。どこのお嬢さんを攫ってきたんだ?」


 ナザル・ギルド長は表情を崩し、からかうような口調で聞いてくる。


「レンギアの城からですね」

「ええ? なんだって? 冗談だよな?」

「レンギアの城から来たのは事実だけど、攫われてないです!」


 慌てて両手を振りながら訂正する。

 ふぅと息を吐き、「なんだ、そういうことか。驚かせないでくれよ」肩の力を抜きながら、安堵の色を見せる。

 どさくさに紛れて、城を出ただけだよね? ……まぁ、気絶してたけど。

 あれ? はたから見たら攫われてる?


「それで、何羽ぐらいの群れだったんだ? 多ければ多いほど面白いからな」


 ナザル・ギルド長は「ガハハハ」と豪快に笑う。


「俺は20数羽、ヴィヴィオラは7羽ぐらいかな」

「20数羽か! それは初っ端から頑張ったなあ。じゃ、まずは先にチキンチキンから貰うか」


 神ナザル・ギルド長は神斗の肩にずっしりとのしかかるチキンチキンを見て言う。

 お嬢ちゃんの分はどこだ? という顔をするので【収納(アイテムボックス)】から出そうとする。

 

「ヴィヴィ、待ってください」

「ん? うん?」


 ウィルは身を乗り出し、ナザル・ギルド長にそっと耳打ちする。


「ああ、まじか……。めったにお目にかからないのに凄いな。すまんすまん、中で貰うか。そこから中に入ってこい」


 ナザル・ギルド長は軽く顎をしゃくると、カウンターの職員に「任せたぞ」と短く告げ、そのまま奥の部屋へと足を踏み入れた

 中には大きな4メートルはある作業台が中央に置かれてあった。

 

「うわっ……大きい、作業台!?」


「解体台ですね」


 使い込まれた木の表面には、無数の傷跡が刻まれ、ここでどれほどの解体作業が行われてきたかがひしひしと伝わってくる。


「俺たちは移動するから小さな方だな。他の冒険者ギルドの解体台はこの数倍はあるぞ。よし、ここに乗せろ。」


 私は【収納(アイテムボックス)】からチキンチキンを2羽、と神斗から預かっていたもう1羽を取り出す。

 神斗は担いでいたのを乗せている。


「これまた鮮度がいいな。魔石はいらんのか?」


 ウィルが「えぇ」と頷き返す。

 

「じゃあ、それも査定にプラスしておくな」


 ナザル・ギルド長は、【収納(アイテムボックス)】から出したチキンチキン3羽を、じっくりと見定める。


「それにしても【収納(アイテムボックス)】持ちとは運がいいな。稼げるぞ。何より、大物をそのまま持ち帰れるのは他の冒険者にとっては夢のような話だ」


 ナザル・ギルド長は唸るように言いながら腕を組む。


「魔物は大抵大きいからな。普通の冒険者は重要な部位と魔石を抜き取るだけで、残りは手放すしかない。本当ならもっと活用できるのに、持ち帰れないって理由で捨てちまうわけさ。だが、お前たちは魔物の残りも全部持ち帰れる。それに鮮度も保てるから、売る時の査定額も上がるってわけだ。こいつは、まさに冒険者にとって最強の武器だな」


 ナザル・ギルド長は、最後に「それにしても、2人も無属性がいるなんて……反則みたいなパーティになるなぁ」と呟くように言った。

 その隣で我関せずの熟練解体士が無駄のない動きで手際よくチキンチキンを捌いていく。

 まるで芸術のような流れる手さばきで、肉、骨、皮が次々と分けられ、あっという間にバラバラになっていった。


「そうだ、薬草もここで出してくれ。たしか……ヒール草だったな?」


 確認するように私を見てくる。

 

「20本を2人分……ギルド長、沢山採ってきたんだけど、それは別で提出したほうがいい?」


 40本のヒール草をきっちりと整え、4束にまとめて調理台の端へと慎重に並べる。

 ナザル・ギルド長が「合わせて買取するから出してくれ」と言うので他の薬草取り出し、机の上へとだした。


「キュア草もあるのか! おお、ありがたい! ここれがあるだけで薬師どもに文句言われなくてすむわい」


 笑いながら薬草を手に取り、軽く指先で葉の状態を確かめていた。


 今はカウンターに戻ってきている。

 周囲には依頼を終えた冒険者たちが報酬の計算を待っており、カウンター周辺は活気に満ちていた。

 ナザル・ギルド長が奥の解体場から戻ってきた。

 手には帳簿が握られ、ギルド長の表情には満足げな余裕が浮かんでいた。

 

「待たせたな。まず、神斗はチキンチキンの報酬3,000ギリア、品質と魔石買取によるプラス査定130ギリア。ヒール草1,000ギリア、プラス査定100ギリア。合計で4,230ギリアだな」


「おおぉ」と拍手する。


「次はヴィヴィオラだ。チキンチキンの報酬は2,000ギリア、こちらも品質と魔石買取によるプラス220。薬草は8,000ギリア、プラスは800ギリア。合計で11,020ギリアだな。初依頼で1万ギリア超えるとは大したもんだ!」


 初めてこの世界で自分で稼いだお金。

収納(アイテムボックス)】と【探索(サーチ)】のおかげで、思った以上の報酬になった。


「このお金で打ち上げに行こう!」

「冒険者らしくっていいじゃないか! ここは酒場が併設していないからな。おすすめはガルガミラの丘亭の肉料理だな」


 ガル……?


「……ガ……ガル? えと、ガルなんとかに、連れて行ってください」


【★お願い★】

こんにちは、作者のヴィオレッタです。

最後まで目を通していただきありがとうございます。

少しでも 「また読んでやるか」 と思っていただけましたら、

広告の下にある【いいね】や【☆☆☆☆☆】ポイントを入れてくださるとめっちゃ喜びます。

最後に誤字や言葉の意味が違う場合の指摘とかもお待ちしております。

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