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第66話 逃げるの、おっそぉぉぉい!

※□※※□※※□※1行×32文字で執筆中※□※※□※※□※

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 チキンチキンは、トテトテと歩き始めた。


「逃げるの、おっそぉぉぉい!」


 チキンチキンはひとまず置いておいて。

 私の身体、どうなってる?

 爆発の衝撃を受けたはずなのに、痛みはないし、体には傷ひとつ見当たらない。


「えと、当たったけどなんともない……?」

「それは【永遠の鎧(エターナルアーマー)】のおかげです。怪我がなくて本当に良かったです」


 ウィルは安心したようにニッコリと笑い、何故かその笑顔にはどこか誇らしげな表情が浮かんでいた。

 え? あ~、なるほど、パッシブ系魔法ってこういうものなのね。

 防御魔法って魔法を設定したときから、何も意識しなくても防御してくれるなんて、本当に便利。


「神斗も【光の盾(ライトシールド)】を張っておいた方がいいよー」


 手を振りながら、軽くアドバイスを送る。

 

「おーー!」


 私の疑卵避けの戦い(笑)を見終わった神斗は、少し離れた別のチキンチキンの群れへと向かいながら、片手を上げる。

 ウィルから【光の盾(ライトシールド)】はアクティブ系魔法スキルと教わった。

 神斗は、助言通り【光の盾(ライトシールド)】を発動し、眩い光が全身を纏うと、足元に転がっていた石を素早く拾い上げた。

 そのまま、軽く狙いを定めると、腕を振るって石を放つ。

 鋭い軌道を描きながら、石は一直線に飛んでいった。

 その石は、チキンチキンの額に正確に命中し、鈍い音とともに軽く体が揺れる。

 私は「あ!」と驚きの声を上げ、神斗も「あ! うわぁ、やっちまった!」と焦った様子で叫んだ。

 チキンチキンは、額に命中した衝撃で大きく体を震わせ、そのままよろめくように地面へと崩れ落ちる。

 思わぬクリティカルヒットで一気に決着をつけてしまった。

 他の魔物であれば、これで良いはずなんだけど、チキンチキンは倒されたことで、体内に残っていた疑卵の行き場がなくなくなりーー。

 あわわわわわわ!

 

「グワーッ!」

「グワーッ! グワーッ!」

「グワーッ!」

「グワーッ! グワーッ! グワーッ!」


 仲間の突然の倒れ込みに反応し、周囲のチキンチキンたちが大きな声で鳴き騒ぐ。

 その鳴き声が響く中、地面に転がったチキンチキンの身体が、不自然に膨らみ――。


 ボンッ!!!

 

 膨れ上がった体が限界を迎え、爆発音とともにチキンチキンが吹き飛んだ。

 

 ビシャ! ビャチャッ! 

 

 肉片が広範囲に飛び散り、まるで赤い霧のように空間を染める。

 続いて、白い羽毛がふわふわと舞いながら地面へと降り積もる。

 

「ううぅう……これはグロい……。本当に爆発するんだ……」

「疑卵には魔力が蓄積されていて、一定時間経つと不安定化し爆発するのです。そして、破裂の際の骨破片で周りのチキンチキンが死ぬと連鎖的に爆発します」

 

 爆発に巻き込まれなかったチキンチキンは疑卵を投げてくるし、爆発の破片が飛んでくるしで大変そうだった。

 

 ドォン! ボンッ!!! ドォン! ドォン! ドォン!

 ドォン! ドォン! ドォン! ボンッ!!!

 ボンッ!! ドォン! ドォン! ドォン! ドォン! ドォン!


 手伝ったらいけないんだよね……。


 「神斗! 頑張れ~!」

 

 私は叫びながら、次々と飛び交う疑卵を目で追う。

 神斗は余裕そうに避けていて、ハッキリ言って凄い。

 正直、見惚れてしまう。

 この群れは25羽ぐらいいて、私が相手した群れの3倍以上の数だ。


「くっ、数が多いな……!」


 ドォン! ボンッ!!! ドォン! ドォン! ドォン!

 ドォン! ドォン! ドォン! ボンッ!!!

 ドォン! ドォン! ボンッ!!! ドォン! ドォン! ドォン!

 

 神斗は軽く息を吐きながら、それでも余裕そうに身をひるがえし、危なげなく攻撃をかわし続けている。

 しかし、流石に吐き出される疑卵が多かったのか、何回か体に直撃した。

 パリンッ!!!

 

 疑卵の衝撃が光の盾を砕く。


「きゃぁぁ!」


 思わず声をあげてしまった。

 砕け散った【光の盾(ライトシールド)】の残骸が、まるで薄いガラスの破片のようにキラキラと舞う。

 【光の盾(ライトシールド)】を形作っていた魔力が、光を受けるたびにきらめきながら、静かに散り散りとなって消えていったのだろう。


「【光の盾(ライトシールド)】が割れましたね。もう、終わりだから大丈夫でしょう。疑卵を消耗して戦意を失ったようです」


 その言葉の通り、爆発に巻き込まれず疑卵をすべて吐き出しきったチキンチキンは非常に遅いながらも逃げ出し始めていた。


「攻撃方法は、疑卵だけなんだ……」


 もう疑卵が飛ばなくなった。

 終わったみたい。

 私はすぐに神斗の元へと駆け寄った。


「大丈夫? 怪我はしてない?」

「当てるつもりがなかったのにうっかり当てちゃったんだよな……で、ちょっとだけ怪我しちゃった」


 神斗の頬には、小さな切り傷が!

 血はほとんど滲んでいないが、爆発の破片がかすめたのだろう。

 傷口はわずかに赤くなっており、皮膚が少し裂けているのが見える。

 

「お姉さんに任せて! 【治癒(ヒール)】」


 すぐに魔法を発動し、手のひらに温かな光を集める。

 ほんのり輝く魔力が指先を伝い、神斗の傷へとゆっくりと染み込んでいく。

 みるみるうちに傷跡は消え、まるで最初から何もなかったかのような綺麗な肌へと戻った。

 【治癒(ヒール)】って、凄い!

 本当に私が治したんだーー。


「ヴィヴィオラ、ありがとう」


 神斗は頬を軽く撫でながら、完全に消えた傷跡を確認する。


「それにしても、凄かった! あの数を避けるなんて!」


「高校の授業でさ、ドッジボールしてたから。それと同じだよ」


 えぇ?

 いくらなんでも、ボールが20数個も飛んでこないでしょうよ。


「さぁ、チキンチキンを2羽づつ持って帰りますよ。カミトさんの倒した群れは――ちょっとやめときましょう」


 血に染まったチキンチキンたちは、弱々しく羽を震わせながら、足元をふらつかせて逃げていく。

 この魔物……繁殖力が強いだけなんだ……。

 そういえば、私の群れは!?

 急いで振り向いたらーー私の目に飛び込んできたのは、のろのろとした動きのチキンチキンの群れだった。

 私が疑卵を吐きださせた群れは、まだ3メートルも進んでなかった。


「逃げるの、おっそぉぉぉい!!」

【★お願い★】

こんにちは、作者のヴィオレッタです。

最後まで目を通していただきありがとうございます。

少しでも 「また読んでやるか」 と思っていただけましたら、

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最後に誤字や言葉の意味が違う場合の指摘とかもお待ちしております。

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