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第63話 薬草採り放題

※□※※□※※□※1行×32文字で執筆中※□※※□※※□※

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「ゴホン、ドキドキするー。魔力を込めてーー【探索(サーチ)】!」


 ポワン・ポワンと白く優しく発光しているところが数1,000箇所。

 わぁ、幻想的。

 広大な草原が思わず息を呑むほど美しく、光輝き心が奪われる。


「ものすごい、多いなぁ。でも、全部ヒール草じゃないよね?」


 好奇心と不安が入り混じりながら、光の点々を目で追った。


「薬草全てが反応したのかもしれませんね。近くのたくさん光が集まっている場所に連れて行ってください。何が光っているのか確認しましょう」

「それなら、神斗が探している辺りの左側かな。あの辺り、光が一際強い気がする!」


 周囲を見渡しながら、光が強く集まっている場所を目指して歩き出す。

 足元には大小様々な草花が揺れ、微かに漂う花の香りが、生命の息吹を全身で実感させる。


「あっ、これはヒール草じゃないや」


 肉厚の青緑色をした葉が、空に向かって堂々とまっすぐ伸びている。


「ヒール草ではないですが、【鑑定(アナライズ)】を試してみましょう」

「【鑑定(アナライズ)】!」

 

 ★マナ草

  薬草 MP回復ポーションの原料

 

 これはマナ草らしい。


「MP回復ポーション……マナ草だった」

「折角なので少しだけ残して採取しましょう。【収納(アイテムボックス)】に入れればいいですから。手に触れながら【収納(アイテムボックス)】と唱えてみてください」


 腰のベルトから鋭いダガーを素早く抜き取り、マナ草の根元に刃を当て丁寧に切り取った。

 う~ん、やっぱりダガーだけだと少し手間がかかるな……。

 鎌を使えばもっと効率よく刈り取れそうだ。

 これが、冒険者たちがこの手の採取をめんどくさがる一因なんじゃない?

 明日は、今日の報酬で採取用の道具を買おう。

 鎌とか、ハサミとか良いかも!

 

 ある程度収穫がまとまったところで、遂に【収納(アイテムボックス)】に入れてみる。

 

「【収納(アイテムボックス)】……あっ!」


 手に触れていたマナ草数十本がふっと手元から消え、その消失はまるで魔法のように神秘的だった。

 いや、魔法なんだけど!

 次の瞬間、頭の中にその名前と正確な数が鮮やかに浮かび上がった。


「この魔法サイコー!!」


 声を上げながら、大きな喜びが全身を駆け抜ける。


「あまり目立たないようにしてくださいね。この魔法はとても貴重ですから。無属性魔法は、その多様性からして非常に重宝されます」


 そういえば、今回セットした10個の魔法のうち、なんと半分の5個が無属性魔法。

 そのラッキーさに思わず胸が高鳴る。

 

「ウィルと私、そんな貴重な属性持ちが一緒だなんて怖いものなしだね!」


 無属性魔法、本当にラッキー過ぎる。

 次の光の固まりの場所に向かったら、ビンゴ!

 そこには予想を超える数の薬草が群生していた。

 ヒール草を見つけた!

 ヒール草を慎重に観察して、柔らかな葉をそっと指で触れ、花のついていないものを丁寧に選別する。

 そしてダガーを取り出し、根元に向かって一つ一つ慎重に刈り取った。

 

「ヒール草を見つけたので、次はヒール草を意識して【探索(サーチ)】を試してみてください」


 難易度高いな?

 挑戦へのわくわくする気持ちを魔力に込め、「ヒール草はどこだ?」と心の中で強く念じ身体がほんのり温かくなるのを感じながら「【探索(サーチ)】」と口にした。

 すると、先ほど数1,000箇所に広がっていた発光箇所が、一瞬にして10分の1程度にまで絞られた。

 

「ほんとにぃ?」


 半信半疑のままウィルに視線を向けるが、心のどこかで期待が膨らんだ。

 私はウィルのにこやかな笑みを浮かべ「連れて行ってください」の言葉に促され、近くの光っている場所へ向かった。

 すると、そこには本当にヒール草が群生していて、胸が高鳴った。

 さらに別の場所へ足を運んでみると――なんと、そこにも見事にヒール草が生い茂っていた。

 

「薬草採りの名人になっちゃう!」


 それからは夢中でいろんな薬草を刈り取り、葉や茎の感触を確かめながら次々と【収納(アイテムボックス)】に収納していく。

 満足感と達成感が、採取作業を一層楽しいものに変えていった。


 ヒール草  127本

 マナ草    36本

 キュア草   14本


 依頼採取はもちろんのこと十分な成果。


「神斗! ヒール草はどんな感じーー?」

「あと、5本ぐらいかなーー! ヴィヴィオラはーー?」


 神斗の元気な声が返ってきた。

 凄い! こんな広い草むらの中からヒール草を自力で探せている!

 

「終わったよーー! そっち行くねーー!」


 ウィルと二人で軽やかに足を運び、神斗がいる場所へと向かう。

 

「頑張ったね。なんだか、私の魔法を使ったせいでズルしたみたいな気分だよ。神斗は残り5本、すごいね!」

「魔法も神様からのプレゼントだろ? 俺はそのかわり戦えるし!」


 神斗は誇らしげに胸を張り、その言葉に自信が滲み出ていた。

 

「そうですよ。持つものは人それぞれ異なります。神様はきっとお互いに支えながら、この世界で楽しく旅をしていけるように願っているのではないでしょうか?」

 

 私は「そうだね」と笑った。

 では、お役にたてるように【探索(サーチ)】を唱える。

 私は「向こうに生えてるよ!」と神斗を誘導する。

 誘導ぐらいはOKよね!?

 そうして無事に神斗は最後のヒール草を採取することができた。

 ちなみに神斗が採取したヒール草も、私の【収納(アイテムボックス)】に大切に収納しておいた。

 ギルドへ持ち込む頃には萎れる可能性はあるが【収納(アイテムボックス)】に入れておけば採取したての品質を完璧に保てる。

 そうすれば、ギルド側で採取したてのように品質が良いと認めてもらえ、報酬が上乗せされる可能性が高いらしい。

 この薬草採取依頼だけで、しばらくの収入の不安が一気に解消された。


「うん、そうだ。みんなに伝えないと!」

「みんな? あぁ、配信?」

「そう! この世界でちゃんと生きていけるのかみんな心配してたから。ヒール草だけで12束は採れたんだよ? 1束500ギリアとしたらーー」


 その時だった。

 突然、不自然な音が微かに耳をかすめた。


「……あれ、今、何か聞こえた?」


 低く響く金属の擦れるような音や草を踏みしめる音。

 それは、遠くから徐々に近づいてきているかのようだった。

【★お願い★】

こんにちは、作者のヴィオレッタです。

最後まで目を通していただきありがとうございます。

少しでも 「また読んでやるか」 と思っていただけましたら、

広告の下にある【いいね】や【☆☆☆☆☆】ポイントを入れてくださるとめっちゃ喜びます。

最後に誤字や言葉の意味が違う場合の指摘とかもお待ちしております。

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