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第56話 キャラバン・ジゼニア到着

※□※※□※※□※1行×32文字で執筆中※□※※□※※□※

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《キャラバン・ジゼニア1日目ーケルンジリア20日目ー》


 飾り彫りが見事な木の門の前に到着した。

 赤色を基調にした門には金色や白色の華やかな彩色が施され、商売の賑わいを表しているかのように壮観だ。

 その運搬が容易な構造の組み立て式の木の門の周りには、多種多様な人々が並ぶ雑多な列ができている。

 

「ここが、キャラバン・ジゼニアかぁ……」


 自分たち以外に魔人族がいる……。

 レンギア王国にいたときには、馬番の犬さんやカホーさんくらいしか見かけなかった魔人族……。

 アレ? 魔人族って全くいない?

 もしかして、みんなが頭からフードを深く被っていたから気づかなかったのかな?

 ジゼニアの門から、自分たちの横を通り過ぎて行く人々の尻尾が気になる。

 肉厚の尻尾に整列した鱗。


「ねぇ、神斗! トカゲ人間っぽい人がいる! もしかして、トカゲじゃなくてドラゴンとか? 凄い!」

「ホントだ。やっぱ異世界なんだなぁ。魔人族の奴隷……、の中にはいなかったから初めて見るや」


 この世界の初心者である私と神斗は、ファンタジーに出てくるような人種に興奮がとまらない。

 中には人族とのハーフと思しき人もいる。

 その人たちの肌には、ところどころに鱗が見える。


「お二人さん、こちらに並びますよ。さぁ、ヴィヴィ、こちらへ」

「うわっ」

「そんなに手を引っ張ると、ヴィヴィオラの腕がとれますし、寒くないのでマントの中に入れないでください」


 ハハ……。

 恥ずかしいのでマントの中から出させてもらった。


「腕は痛かったですか?」

「大丈夫だよぉ。でも、ウィルのマントの中は温かいよね。筋肉のおかげなのかな?」

「どうせ、俺は筋肉ありませんよ」

「いや、初めて会った時より逞しくなったよ! 神斗もそのまま育ってくれれば良い筋……」


 やだー!!

 前の前の前に並んでいる人族の筋肉めっちゃ凄い。

 大きい盾を背負ってるからして、タンク職なんだろうなぁ。


「なんだろう、この世界の食事のせいなのかな? 冒険者はみんなそこそこ良い筋肉ぅぅぅ」

「ダメです」

「ダメだよ」


 目隠しされそうになった。

 酷くない?


 私たちは列の最後尾に並んだが、すぐに、私たちの後ろにも続々と人々が並び始め、その列はあっという間に伸びていった。

 行列に並ぶ冒険者たちは、それぞれ色褪せた地図を広げ、身振り手振りで次の目的地を語り合う者もいれば、傷だらけの盾を磨く者もいた。

 商人たちの荷馬車もひっきりなしに横を通過していく。

 めっちゃ、ジゼニアって人気みたいだ。


 ジゼニアは数か月ごとに移動するにもかかわらず、その周りは土壁で囲まれている。

 レンギア王都の高くそびえる城壁とは異なり、申し訳なさそうな高さ2メートルほどの土壁。

 さらに、土壁から5メートルほど離れた場所には、天幕がいくつも張られている。

 レンギアの王都では防衛のため、城壁の近くに天幕を張ることは禁じられていたが、ここジゼニアではそのような規制はなさそうだ。


「それにしても、この2メートルほどの土壁だったらどこからでもジゼニアの中に入ることができそうなのに、皆きちんと門を通るなんて、不思議。お行儀がいいんだね」

「あ~確かに、この高さならどこからでも入れるよな~。でも、移動しながらなのに壁があるのもスゴイけど」


 神斗も私と同じことを感じたみたい。

 土壁前では、子供が枝を剣に見立て冒険者ごっこをしている。


「ジゼニアの中では、どんな行動をするにも冒険者ギルドまたは商人ギルドの証と、ジゼニア滞在証の二つが必要です。その二つがなければ水一滴さえも手に入れることができません。ですので、土壁を越えて不正に侵入しようとする人はいないのです」

「へぇ~。違反する人がいないんだ」


 水一滴も手に入らないなんて徹底している。

 ジゼニアに入らない御者風の男たちが淡々とした手つきで、輝く馬具を丁寧に磨いていた。

 商談をする主人の帰りを待っているのだろう。


「もし違反が見つかれば、商売した人は家族もろとも即座に追放されますから」

「厳しいね」

「信頼関係がなければ、旅商人としての活動は難しいんです。魔物から身を守るために協力しなければなりませんからね」


 ジゼニアの仕組みに感心しながら話していると、突然ジゼニアの門番に呼ばれた。


「お待たせしました、3名ですね。こちらにどうぞ」


 ようやく、自分たちの順番がきたみたいだ。

 さすが商売の国、門番も丁寧に案内してくれる。


 門番が「滞在証とギルド証を出してください」と言いながら、手を差し出した。

 ウィルがその2つを持っていないことを伝えると、門番は右前の天幕へ行くように指示した。


 天幕内に入ると、事務員が温かい笑顔で「ようこそ」と迎えてくれた。

 事務員の背後には、天井から吊るされたランプが暖かい光を放ち、壁にはびっしりと規約が貼られていた。

 ウィルが事務員の前に置かれている、キラキラと内包物が舞っている特徴的な珠を指さす。

 直径20センチほどの珠。

 異世界でなければ、オモチャのように見える珠。

 そういえば、ステータス確認の時は青い珠だったな。

 この世界、得体のしれない珠ばっかりだね。

 ウィルがスッと、その珠の上に手を乗せる。

 なんだろう?

 ただ手を乗せればいいのかな?

 次は私の順番だ。

 私は恐る恐る手を伸ばし、不思議な珠の上にそっと手を乗せた。

 

「なにも起こらない……、神斗もどうぞ?」


 神斗も同じように珠に手を乗せたが、やはり何も起こらない。

 

「犯罪歴は問題なしですね。それでは、滞在日数とギルド証の提示をお願いします」


 珠についての説明はないんかい!

【★お願い★】

こんにちは、作者のヴィオレッタです。

最後まで目を通していただきありがとうございます。

少しでも 「また読んでやるか」 と思っていただけましたら、

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最後に誤字や言葉の意味が違う場合の指摘とかもお待ちしております。

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