第53話 レベルUP!ラッキー全振り大正解
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「なんかピロロン? って聞こえたんだけどなんだろう? まるでゲーム音みたい」
「それはジョブがレベルUPした音ですね」
「俺はパッパラパッパーパーみたいなラッパ音だよ?」
「感じ方は人ぞれぞれみたいですね」
レベルUP?
なんだって!? 異世界怖いよ~!
突然、システム音するんだもん。
ハイテク過ぎるんじゃない?
考えてみればステータスだってシステムじゃない。
不思議な力が働いているとしか思えない。
「よかったね、ヴィヴィオラ。レベルUPだよ。ステータス確認してみなよ」
神斗はさりげなく肩にポンとたたいてきた。
んんん、自分のステータス……ステータスと頭の中で想像しながら「ステータス……」と呟くと、それがすぐに目の前に浮かび上がる。
[名前]ヴィヴィオラ
[年齢]22歳
[種族]???
[ジョブ]???レベル1 ☆UP1
[固有スキル]星の加護、配信
[HP]023 ☆UP1
[MP]231 ☆UP9
[魔法属性]生活、無、聖、魔
ジョブレベル0がレベル1に上がっている!
レベルが1あがるとHPとMPがあがるみたい!?
UPした数字を見た限りちょっとしょっぱい、しょっぱいですね!
合計で10しか上がっていなく、期待してたほどの成長じゃないのが少し残念。
HPが意地でも上がらないゾという強い意思を感じる。
「HP1とMP9あがったみたい」
「俺はこの前レベル2になったけどHPとMP合わせて9だったからすごいじゃん。前はHP22だったよね? HP23かぁ……低すぎーー!」
神斗は冗談めかしてからかってくる。
「もう! 言わないで!! 恥ずかしい!!」
ぐぬぬぬ……。
HPが上がらないのは、たまたまだよね?
ジョブ勇者の神斗が9UPと考えると、10UPはかなり上々なんじゃない?
私がステータス確認している間に倒したホーンラビットをウィルが素早く【収納】に入れてくれた。
私は2匹、神斗は10匹、ウィルはどの藪から襲ってくるか指示してくれるので0匹。
「このHPとMPの上がり方、ジョブ由来のパラメーターから来ているのかな? 虎さまがさーー」
「虎さまって何?」
「あーー。そうか。えっとね。私が神様って呼んでいる人のこと。虎の姿をしていたんだよね」
神斗は、「虎ねぇ……」とつぶやき、ウィルの耳をじっと見る。
ウィルの耳は、虎の耳に似ているけど、色が違う。
そもそも、全身がもふもふでない。
「違うよ、こんな感じの人」
私は枝で、地面に絵を描いていく。
服から出ていた箇所は、全部〖虎〗だったよね。
「虎の魔人族なのかな? 城の馬小屋の馬番さんいたでしょ? 犬の魔人族さんと同じ全身もふもふな感じ。私やウィルみたいに耳や尻尾だけが動物じゃなくて、全身が動物。虎が人間みたいに二本足で立っている感じ」
プッと神斗は笑い出した。
絵がお気に召したようですね!
上手に描けたのに! もう!
「でも、不思議なのは、王様は女神様からお告げもらったって言ってたのに、虎さまは絶対性別は男性なんだよね……」
「神様だから、性別ないとか?」
「ありうるかも」
星の管理者と紹介されたけど、私たちから見れば神様だもんね。
神様って何でもありってイメージだし、雌雄同体であってもおかしくない。
「……女神と虎の姿の神様は、同一ではないですね」
「「そうなんだ」」
「……虎の姿をしているのは〖旧神〗ですね」
「「そうなんだ」」
貴族様が『ビーストは旧神に愛された種だったっけか?』って言ってたのを思い出した。
旧神様は自身に近い魔人族を愛していたと。
「虎さまは旧神様なんだ。アレ? 女神様はもしかしてあの女性じゃないよね?」
「なんかいたんだ。それっぽい神様が」
「神殿に行けばわかります……」
「女性の神様が途中で来たんだよね。虎さまは元同期って言ってたけど、私は元奥様か元彼女か元パートナーか、どれかだったんじゃないかと思う」
「違います! 単なる元協力者です」
「「そうなんだ」」
元協力者かぁ、役割分担で星を育てていたのかな?
虎さまが魔人族を、女神様が人族を育成とか? ちょっと安直かなぁ。
「……神話があるのです。この世界の成り立ちについての」
「「そうなんだ」」
今度、本屋に行ったときに探してみようかな。
前回は地図と[ある検察官]シリーズのことで頭がいっぱいだったし、この世界の伝説を読むのもおもしろそうだよね。
「それで、虎さまがどうしたの?」
「虎さまがさ、ジョブはテンプレートなんだって。勇者を選べば、固有スキルはコレ。聖者を選べばコレって決まっているみたい」
なるほど? と神斗は考えているようだ。
私は続けて話をする。
「だから、他のパラメーターも決まってる気がするんだよね」
「それだったらさ、剣士ってジョブだったら、量産型みたいに全員同じにならない?」
「そこで、LUKのパラメーターが関係してくるのかなと」
「……」
「LUK? 運ってこと?」
ホーンラビットの血で他の魔物が寄ってくると面倒なので、場所を移動することにした。
面倒というところがウィルの強者っぷりをあらわしているよね。
「そう! LUK値が同じでも、レベルUPしたときの上昇率が違うのかなぁと」
「あ~、運だもんね」
「ヴィヴィは凄いですね……」
「あと、ゲームじゃないから、サボれば筋肉が消失するのと一緒でSTR値とかも常に上下しているのかも」
「確かに……爺さんになったら、誰でも衰えるものだよね」
ここは現実の世界、ゲームと違うはず。
鍛えれば筋肉はつくけれど、老化と共にその筋肉は衰えていく。
死ぬまでムキムキの老人なんているはずがない……そうだよね?
「私のHPとMPの上がり方がさ、勇者の神斗よりも上でしょ。考えられることは、虎さまにお願いしたラッキー全振りのおかげなのかなと、思うんだよね」
「ラッキー全振り? LUKのこと?」
「配信とラッキー全振りにしてくれないと召喚に応じないって言った」
「そんなわがまま言ったんだ」
「こんな顔してた」
虎さまは、超絶めんどくさそうな顔してたと絵を描くと、神斗は「アヒャッハッハ!」と笑い転げるように笑った。
私、この世界で絵を学ぼう……。
ウィルは、昼食を作る為の火を起こし始めた。
「うん、で、そのラッキー全振りで10UPってことか」
「だって、最高ジョブの一つの勇者より数値が上ってそれしか考えられないもん」
「なるほどね~。前から気になってたけどちょこちょこ〖ラッキー〗って言うのは、そのせいなんだ」
「ちゃんといい事あったら『ラッキー』って口に出していこうと思って」
神斗は「言霊みたいでいいんじゃない?」と、前日のスープをかき回し始めた。
今日の昼食は、干し肉入りスープにパンを浸しながら食べるらしい。
私は、干し肉を追加で入れる係。
「ラッキー全振りにしてくれたから、魔法属性も貴重な属性で、魔法が使いやすいようにMPもたくさんもらえるんじゃないかなと」
「それにしてもMPに偏りすぎじゃない?」
「そもそも、LUK値に偏ってるからね」
「どう思う? ウィル」
「えぇ……と……そうですね。……神のみぞ知ることでしょうね」
ウィルは静かに答えた。
そりゃそうだ。
虎さましか知らないよねと私は同意する。
「さぁ、食べましょう」
森より断然歩きやすく、昼間は明るい森林と草原の境目。
硬い干し肉がスープで柔らかくなり、肉の繊維に合わせてホロホロと崩れる。
魔物が襲ってこなければ、ピクニック。
【★お願い★】
こんにちは、作者のヴィオレッタです。
最後まで目を通していただきありがとうございます。
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