第45話 -カホーside- 魔王なのですよ!
※□※※□※※□※1行×32文字で執筆中※□※※□※※□※
改行などで見辛くなる時はビューワー設定の調節してください
「わぁー!! 嫌なのですよ!」
「カホー、万が一です」
「万が一って、これの方が面倒ごとに巻き込まれるのですよ!」
「では、レンギア王国に通報しますね」
「なっ!? この男、魔王なのですよーーーー!」
ロングに神殿騎士とバレたのが運のつきなのですよ……。
顔を両手で覆って逃げたが、その両手を引きはがし石を乗せられる。
手渡された石、魔石を眺める。
キラキラしてるのですよー。
男なのに輝いている石が好きなのは別におかしくないのですよ。
「カホー、早くしてください。ヴィヴィが待っています」
「せっかちな男は嫌われるのですよ」
ちらっと視線を向け、応接室を見る。
ヴィヴィオラ殿は、ソファにチョコンと座り、離れたダイニングルームにいる私たちを見ているのですよ。
はぁ、しぶしぶなのですよ……。
魔石に魔力を流し、魔力を登録する。
この魔石には、【転移】の魔法が刻まれているのですよ。
【転移】は、【転移】の魔石を持つものが、魔力登録した者の元へ直接、転移ができるのですよ。
一人用ではあるが、距離関係なく飛べるバカみたいな、誰が作ってんのです? な代物ですよ。
つまり、魔力を登録したこの魔石を使って、いつでもロングがカホーの前に現れるってことなのですよ!!
この【転移】の魔石はダンジョンでしか見つからない大当たりのお宝なのですよ。
だから、とってもお高いのですよ。
そんな代物で転移してくるなんて、絶対、問題ごとなのですよ。
「もう一個、お願いします」
「はぁぁ!? こんな高いもの、どんだけ持っているのですよ!?」
「さあ、早く」
ロングは、こんなにせっかちな男だったのです?
ロングは勝手にお湯を沸かし紅茶を入れて、ヴィヴィオラ殿に渡しに行っている。
「この茶葉……ちょーお高いやつなのですよ……」
なんなのです? あの男。
隷属の首輪以前は、寡黙な男だったはずなのですよ。
何があったのです? あの男。
以前の担当は、約10年単位でしか見つけらないので聖女様に怒られるって嘆いでいたのに、カホーの担当になった途端に奴隷になって5年も目の前にいるのですよ。
意味がわからないのですよ、あの男。
渡された魔石に目を落とした。
はぁ、しぶしぶなのですよ……。
「ありがとうございます。カホー」
「ロング。あの、神殿には……、あのババァ……、ゴホン。逐一情報流せなんて頭がおかしいから、帰りたくないのですよ……」
「逐一ですか?」
「……実際は、1年に数回なのですよ」
「大丈夫です。私の情報を売っていることは、これで帳消しにしてあげます」
「これも神殿騎士として、立派な任務なのですよ……」
ハハハ、ハハハとロングが笑う。
怖いのですよ。
その笑い方、目は笑ってないのですよ。
確かに、それは悪いと思っているのですよ?
お給金と自由があるからと引き受けた自分が悪いのですよ……。
「聖女に伝えてもらってもいいですよ? ロングは〖伴侶〗を見つけたと」
「ヴィヴィオラ殿が、そうなのです? まじです? もう片足、棺桶に突っ込んでるのですよ、あのバ……。それ、報告したら聖女が墓に入ってしまうのですよ!? ……本当に〖伴侶〗なのです!?」
ロングはニッコリと笑う。
こ、この男! 冗談を言ってるのですよ!
あっぶないのですよ。
うっかり、聖女に引導を渡した神殿騎士になってしまうところだったのですよ。
「そ、そういえばですよ。もう、神殿騎士は辞めるつもりなのですよ」
「辞めるのは、少し待っててください。私に情報が入らなくなってしまいますので」
「でも、欲しいのが西国であれば、別の者が適任なのですよ」
ハハハ、ハハハと再びロングが笑う。
それもバレてるのです?
……良いこと思いついたのですよ。
ロングについていけば、命の保証はあるのですよ!
「あの例えばなのですよ。一緒に旅とかどうなのです?」
「え? ヴィヴィとですか? 二人で世界を見て回るのが楽しみですよ」
ロングはニコッと笑う。
二人で……。
ヴィヴィオラ殿しか目に入らんのです!?
「今、『楽しみ』とか言ったのです?」
「えぇ」
「オエー!!」
鉄仮面かと思うぐらい1ミリも笑わなかったのに、顔が緩んでるのですよ。
ザワザワッと羽毛が逆立つ。
ぐわぁぁ! 気持ち悪いのですよ。
これが、ビースト種の呪いのような執着……。
あ、でも、人族にもたまにいるから……。
「ち、違う……。もう一人追加とかはどうなのです?」
「もう一人ですか? ……今から行く先で一人増えるかもしれませんね」
オオォン……、目の前のフクロウが仲間になりたがっているのが見えないのです?
ロングってこんなに曇り眼だったのです?
「これは私の魔力を登録してあります。どうぞ」
「わぁ、キラキラしている~。じゃない! いらないのですよ!」
なんでこんな簡単に、高価な【転移】の魔石を渡してくるのです。
こんなもの貰ったら、こき使われるのですよ。
「どうせなら、ヴィヴィオラ殿に渡すのですよ!」
「ヴィヴィにはおいおい。今渡すと重いので」
「ちょっと邪魔だけど腰バッグに入るのですよ!」
なんて、過保護な男なんです!?
今のところ、一方通行みたいなのです。
ヴィヴィオラ殿は、チョコに夢中みたいなのです……よ!?
「それ、カホーのチョコ!……暗殺者ギルドに依頼して手に入れたのに……」
この男、勝手にチョコを! 隠しておいたのに!
ここまで気持ちが重たいと逃げられる……逃げられればいいのですよ!
バーカ、バーカ!
ついでと、入れられた熱い紅茶を飲む。
あっ、美味いのですよ。
流石、高いお紅茶。
「そういえば、カホー。あなた【変身】を使用してますね」
ブゥーーーッ!!
勢いよく吹き出した。
「な、なんのことです!?」
「フクロウで熱い紅茶を飲むのは、ダメですね」
やっぱり、バレてるのです!!
この男はどんだけ知ってるのです?
「素は、ーーですよね?」
「ぎゃあああああああああ!?」
「私ならその【変身】魔石、融通できますよ。ダンジョン産しかないですから高価でしょう?」
「魔王なのですよーーーー!」
【★大切なお願い★】
こんにちは、配信者のヴィオレッタです。
最後まで目を通していただきありがとうございます。
少しでも
「また読んでやるか」
と思っていただけましたら、
広告の下にある【いいね】や【☆☆☆☆☆】ポイントを入れてくださるとめっちゃ喜びます。
最後に誤字や言葉の意味が違う場合の指摘とかもお待ちしております。