第43話 暗闇の音の正体!?
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ガサッと、静寂を破るように森の中から音がした。
その音は、暗闇に隠れた何かが動いたようで、不意打ちの恐怖が襲った。
「何の音……? だ、誰?」
ワッと背筋に寒気が走り、一瞬にして体が硬直した。
どうしよう……ウィルがもたれた木の後ろは暗い森が広がっているから、人ではないよね。
まともな人間なら、暗闇の中で用を足すとしても、松明やランタンを持っているはずだ。
それがないということは、そこにいるのは人間ではない可能性が高い。
購入したばかりのダガーを握りしめつつ、ウィルを起こそうとした。
「ヴィヴィオラさん、俺です。神斗です」
「え! か、神斗君? 本当に神斗君なの?」
突然の声に驚きながらも、その声が聞き覚えのあるものだと気づいた。
探していた神斗君の声に涙が溢れそうになった。
「ヴィヴィオラさん、泣かないでください……。無事でよかったーー」
神斗君は困ったような表情で、私の顔を見ながら言った。
私は「うん、うん……私は無事だよ」と頷きながら、彼の言葉を受け止めた。
神斗君はホッとした表情を浮かべて、一歩一歩私に近づいてきた。
「心配したよ……よかった、会えて」
「すいません……」
神斗君の顔には、深い疲れと衰弱が色濃く現れていた。
きっと、あの日の勇者認定式から一睡もしていないに違いない。
「といっても、私、気絶していたんだった……ね」
自分の無力さに少しの自嘲を込めて言葉にした。
よかった、本当に。
会えて、ラッキーだ。
あぁ、虎さま、ラッキー全振りありがとうございますと心の中でお礼を言った。
神斗君は目を閉じて、「うんん……」と弱々しく呻いた。
「えぇぇ? どうしたの? 怪我してるの?」
「すい、ませ、ん……。あの」
神斗君の口から絞り出された言葉の続きは途切れ、緊張が解けたのか、倒れるように寝てしまった。
彼の身体に疲れが一気に押し寄せ、限界を迎えたのだろう。
彼の表情は疲労と安堵が交錯していた。
わぁ、脱力した人ってこんなに重いんだ……。
予想以上の重さに驚きながら、その場で何とか支えようとする。
「あぁぁ無理無理無理! おっもももーーい!」
思わず声を上げながらも、神斗君の重さを支えながら、ゆっくりと腰を下ろし、敷物の上に座った。
不本意ながら膝枕のような恰好になってしまったが、今は仕方がない。
お、重い! どうしよう……まったく動けそうもない。
手持無沙汰の手は無意識のうちに伸び、なんとなく神斗君の髪を優しくなでた。
髪をなでると、彼の安心した表情が少し緩んで見えた。
ふと横を見ると、隣のパーティの5人は涙を流してこっちを見ている。
感動した様子でハンカチを握りしめ、鼻をすすりながら、私たちを見守っているようだった。
え!? なんにもないからぁ!?
あっ、監視魔法のアクセサリー!
すっかり忘れてた!
神斗君のことに気を取られて、監視魔法のアクセサリーの存在を完全に忘れていたことに気づいた。
居場所がバレるなんてことになったら大変。
私はピアス、神斗君はバングル。
急いで見た神斗君の手首にはバングルがついていなかった。
ちゃんと捨てたーー!
えらいぞ! 神斗君。
本当にめちゃくちゃ、しっかりしてる!
高校生の男の子ってこんなにしっかりしてるんだ。
それとも、神斗君がしっかりしているだけ?
私は自発的な行動が今のところないのかも。
ウィルがいるのでどうしても甘えてしまう。
いや、自分から甘えているのでなくて……。
そう、地図が見たいなと思ったら、地図が渡されるって感じ。
仕方がないじゃん!!
………………
…………
……
はぁ。
そういえば、交代する時間何時だっけ。
時間わからないのってこまるなぁ。
やはり懐中時計欲しいかもね。
大小の兄弟星を見ながらつぶやいた。
静寂と共に、夜はさらに深みを増していく。
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
交代の時間が来たらしく、ウィルが目を覚ました。
彼の目がゆっくりと開き、周囲の状況を確認し始めた。
ウィルは神斗君が私の膝枕で寝ているのを見て驚きの表情を浮かべた。
彼の目が大きく開き、驚きと疑問が交じった表情が顔に浮かんだ。
「どうしてこんなことに……」
険しい顔を一瞬した気がしたけど、それは気のせいかな。
「いや、神斗君が疲れ切って倒れてしまって……」
「会えたことはわかってましたが……」
「え? 起きてたの?」
「えぇ、ヴィヴィに何かあるといけませんから」
ウィルは真剣な表情で答えた。
神斗君はまだ深く眠っており、起こそうという気持ちにはならなかった。
「私はこのまま寝るね」
神斗君の疲れが見て取れたので、無理に起こすことは避けようとした。
しかし、ウィルは躊躇なく彼を横に転がした。
おおぉ!?
結構強引だね!
でも神斗君は全く起きる気配がなかった。
神斗君の疲れが深く、どんなに動かされても目を覚まさなかったようだ。
そのおかげで、私は足のしびれから解放されたのはよかったけど。
ウィルは私を毛布でぐるぐる巻きにし、自分の身体に引き寄せた。
……? 何が起こっているのか一瞬理解できなかった。
……?? どういうつもりなのか全くわからなかった。
……??? さらに混乱は深まり、頭の中が真っ白になった。
「寒いでしょう?」
「え? えっと、寒いかな?」
「こうすれば、安全ですので。ゆっくり休んでください」
「あ、うん。眠れるかなぁ?」
私自身もよくわからなかったが、とりあえず答えた。
座っているウィルの足の間に座らせられている状況なんだけど。
寝るには彼にもたれかからないといけない。
こんな状況で寝るなんてできるのだろうか?
いや、寝れないよ!
心の中で反発してみるが、心とは裏腹に体は慣れない事が多くて眠くてもう限界に近い。
何? 私、ウィルの生き別れの妹なの?
過保護過ぎない?
チラッとウィルを仰ぎ見る。
ウィルは、真面目に周りを警戒しているようだ。
隣のパーティの5人は、私たちの状況を見て興味津々、面白そうにニマニマと微笑みながら私たちを見守っていた。
もう!!
うーん、うーん、うーん。
考えても埒が空かないので、心を無にしてしっかり寝ることにする。
自分の疲労を感じながらも眠りに身を委ねる決心をした。
思考が途切れ、疲れがピークに達した。
意識がぼんやりとし始め、まぶたが重くなっていった。
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こんにちは、配信者のヴィオレッタです。
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