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第40話 王都脱出は上から?下から?

※□※※□※※□※1行×32文字で執筆中※□※※□※※□※

改行などで見辛くなる時はビューワー設定の調節してください

 食堂でファイヤーリザードのワイン煮に舌鼓を打った。

 よく煮込まれた肉はホロホロと崩れ、焼きたてのパンと見事にマッチした。

 思ったほど魔物食は悪くないと思ったよね。

 うーん、そうじゃない。違うな。

 ここに来てから、お城で食べる料理のほとんどが魔物の肉を使ったものばかりだったと気づいた。

 どうやら、この世界では食べるために家畜を育てるという概念はないらしい。


「肉になる魔物がたくさんいますので、労力をさいて育てることはしないですね」


 しかし、牛乳やチーズを作るための牛を育てる村は存在するらしい。

 部屋で十分に休憩を取った後、私とウィルは旅の支度を済ませ、部屋を後にした。

 時刻は夜もかなり遅く、だいたい22時ぐらいだろうか?

 やっぱり懐中時計欲しい……

 私は、ダガーと腰バッグに地図とお金。

 弓と矢筒と矢は、すべて不思議リュックにしまわれた。

 必要な時に使えない弓……。


「ウィル、門は閉まっているのですよね?」

「ええ、門は閉まっています。でも大丈夫です、安全なルートを知っているので心配しないでください」


 そう言いながら歩いていく。

 大通りも路地裏も予想外に人々で賑わっている。

 多くの人々が酔っぱらっていて、その騒々しい様子のおかげで私たちが目立つことはなかったのかもしれない。


「一体何時から飲んでいるんだろう? こんなに酔っていて……」

「冒険者たちだと、朝が早いので基本早めに飲み始めますね。冒険者ギルドには酒場が併設されているので、依頼完了報告後すぐに飲み始めるのが多いですね」

「なるほど、稼いだお金をそこで使うと! 冒険者ギルドもなかなか商売上手ですな」


 私は「フォフォフォ」とおじいちゃんの真似をしながら歩いた。

 ウィルは「そのしゃべり方は何ですか?」と笑ってくれた。

 話しながら歩いていると王都からこっそり逃走するという緊張感がない感じがしていたけど、話している方が周囲から浮かないのかも。

 だって、誰もこちらを気にしないもの。

 ウィルは大通りを離れ、暗く狭い路地へとどんどん進んでいった。

 王都を囲む第二城壁が次第に目の前に迫ってきて、その巨大さに圧倒された。

 壁は高さ20メートルほどの石壁だ。

 その石壁の上の通路を見回りの警備隊が松明を持って歩いているのが見えた。

 私たちは路地の突き当たりにある古びた家の前にたどり着いた。

 ウィルが無造作に扉をノックした。

 扉についていた小窓がカタンと音を立てて開き、中からひそひそとウィルに話しかける声が聞こえた。

 扉がゆっくりと開き、中に入るようにと促された。

 どうやらこの家は、魔人族が秘密裏に住んでいる場所のようだ。


 私たちを迎えてくれたのは、フクロウの魔人族カホーと紹介された。

 がっつりフクロウだなぁ。

 見た目はまさにフクロウそのもの、羽やくちばし、鋭い目つきが印象的だ。

 手足があって羽もある。

 しっかりと手足があって羽もある。

 うん、深くは考えるのはやめよう。


「わぁ、カホーさん! 立派な羽ですね」

「えぇ、自慢の羽なのですよ」


 胸を反らして、その鳩胸……。

 カホーが羽を広げると、その大きさはおよそ3メートルもあり、その迫力に圧倒された。


「出会いの記念として、この美しい羽根を贈るのですよ」

「駄目ですよ、カホー」


 ウィルが素早く羽根を横取りし、その手でしっかりと握り潰した。


「それは君にあげたわけではなく、ただの贈り物なのですよ」

「あぁ、ウィル、羽根がパラパラになってしまう……」


 ウィルは「これでいいんです!」と少し怒った様子で強く言い切った。


「羽根を贈るという行為は、バード種の求愛行動ですからね!」

「求愛……?」

「いやいや、これはただのプレゼントなんですよ?」


 カホーは「ハハハ」と大きな声で笑う。

 そ、そんなに簡単に求愛行動をするなんて、この世界は本当に恐ろしいわ。


「特に君の目はキラキラしていて、僕の心にぐっと響いたんですよ」


 カホーはズイッと顔を近づけてきて、私の目をじっと見つめてきた。

 どうやらカホーはキラキラしたものが好きで、いつまでも見ていたいらしい。


「カホー、そろそろ本題に入りましょう。仕事の話をしてください」

「はぁ……、せっかちな男は嫌われるのですよ?」

「はい!?」


 いや、こっちを向かないでください。

 そんなに真剣な顔で見つめられると困る。


「上から行くか? それとも下から行くか? どちらの方法でも今、大丈夫なのですよ」

「上からだと?」


 ウィルが眉をひそめ、まるで理解できないと言いたげな怪訝な表情を見せた。


「君は勝手に城壁を飛び移って飛び降りてもらって、ヴィヴィオラ殿は僕が抱えて飛ぶのですよ」

「飛ぶ!?」

「飛びません!!」

「飛ぶと楽しいのですよ?」

「飛ぶ!!」

「飛びません!」

「じゃあ、カホーさんがウィルを抱えて、そのウィルが私を抱えて飛んでもらえればいいんじゃない?」


 我ながら素晴らしいアイデアが浮かんだ!


「オエ~! 男はごめんなのですよ。簡単に城壁を越えられる男をなんでわざわざ抱えて飛ばなきゃいかんのです?」


 カホーは「勝手に壁なんて越えればいいのですよ」とペッペッペッと唾を飛ばした。

 ウィルはあの高い壁を簡単に越えれるんだ。


「さぁ、そんな男のことは気にせずに、飛ぶのですよ」

「飛んでもいいかな?」

「ダメです」


 ウィルは即座に反対した。


「この胸羽に触れるのですよ。ふわふわでしっとり、すべすべしていて柔らかいのですよ。夢見心地のうちにあら、もう王都外ってなるのですよ」

「鳥さんの胸羽……飛ぼうかな?」

「ダメですよ……下から行きましょう! 地下を借りますね」

「町並みとか夜空を見ながら飛ぶのは、それはそれは本当に素晴らしい体験なのですよ。愛がパッと芽生えるのですよ」

「愛に飢え過ぎでしょ……やっぱり飛ばない」

「これはこれは手厳しいのです」


 下から行く方法。

 この家からは、王都の外へ続く地下水路を通って出ることができるらしい。

 私たちは地下へと続く階段を降り、地下室にある巨大なワイン樽を慎重にどかして、床のタイルを剥がすと、そこに地下水路への入口が現れた。

 カホーさんに別れを告げ、ウィルが持った松明の明かりに導かれながら、後ろを歩いていく。

【★大切なお願い★】

こんにちは、配信者のヴィオレッタです。

最後まで目を通していただきありがとうございます。


少しでも

「また読んでやるか」

と思っていただけましたら、


広告の下にある【いいね】や【☆☆☆☆☆】ポイントを入れてくださるとめっちゃ喜びます。


最後に誤字や言葉の意味が違う場合の指摘とかもお待ちしております。

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