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第38話 この世界にもオネエはいる

※□※※□※※□※1行×32文字で執筆中※□※※□※※□※

改行などで見辛くなる時はビューワー設定の調節してください

 武器屋は後回しにして、まずは時間のかかる服屋に行くことにした。


「ヴィヴィ、その、そちらから行きましょう。セミオーダーなので時間がかかりますし、今日中に受け取らなくてはいけないですから」

「そうか、替えの下着やら服がまったくないもんね。急いで買い揃えないと」


 そちらは下着のことを指していた。


「その、そちらじゃない方は何なの?」

「動きやすい服ですね。冒険者ご用達の店があるので、そこで揃えるといいでしょう」


 下着は、冒険者用の服飾工房や出店にもあるが着心地を考えると、洋装店、所謂ドレスを仕立てる店の方がよいのだと続けた。


「ただ、高級店はこの格好や魔人族だと入ることができないので、中級店ぐらいになってしまいますね。比較的平民街に近い店だと問題ないはずです」


 なるほど、勉強になる。

 自分で買いに行くときにちゃんと覚えておかないと。

 ほどなく、その中級洋装店についた。

 店先のショウウィンドウには、品の良さそうな服が並んでおり、心が弾んだ。


「うわ、ドアマンがいる……」

「まぁ、警備も兼ねていますからね。さぁ、入りましょう」


 中に入ると、店内は広々としており、結構な人がいる。

 カフェに来たかのようなソファ席が数席用意されており、みんなカタログや生地、サンプルドレスを真剣に眺めながら店員に相談している。

 ゆえにフードを深く被った冒険者のことに気づいていない。

 

「いらっしゃいませ。ご予約はございますでしょうか?」

「いいえ、今日中に出来上がるように彼女の下着を数着オーダーしたいのですが」


 ウィルは、フードを少し持ち丸い耳を見せる。

 拒否されるなら早いうちにとトラブルを避ける為の行動なのだろう。

 店員は「あらあらあら」と軽く驚いた様子で、次に私の方を見てウィンクを一つ送った。


「オーナーに聞いてきますわね。少しそちらの方、失礼しますわ」


 店員は突然ウィルの胸元のシャツの紐を緩めだした、そして!


「「あ!」」


 店員は、ガバッと胸元のシャツを最大限に開き、「このままでいてください」と言われる。

 うわ~~! 何が始まるの!?

 訓練中の騎士が、上半身裸になって筋肉自慢している所は何度も見たことがあるのに!

 中途半端に開く胸元がなんとも言えない破壊力がある。


「ウィル……この店、大丈夫なの?」

「どうなんでしょう……」


 ウィルも少し困惑した表情で答え、その場に立ち尽くしている。

 店員が慌ただしく立ち去った方向から、ズンズン、クネクネとリズミカルに歩いてくる人が見えた。


「あら、その縫い方だめよぉ? メリちゃん教えてあげてぇ。よろしくね。エヴァちゃん、今日誕生日だったのよねぇ。ン~~マッ! 早く帰るのぉよぉ」


 その人物は明るい声で仕事をしている針子に指示を飛ばしながら、クネクネしたお姉さんが歩いてきた。

 

「あら~~! いい男‶お‶ぉお‶!」


 目の前に立ったお姉さんは、ウィルより低いけど190センチはある男性だった。

 男性の存在感に圧倒されつつも、彼女のその優雅な立ち振る舞いに目を奪われた。

 

「ご予約無しなのねぇ。ま~素敵な胸板ぁ。依頼はなんだったかしらぁ」

「オーナー、お連れのお客様の下着オーダーです。今日中の仕上げです」

「私には見えるわぁ。鍛えられた外腹斜筋がぁ。下着オーダーいいわよぉ。だって、他のお嬢様方は素敵になりたくて悩んでいるんだもの」

「ではお連れ様こちらへ」


 店員は柔らかな声で促し、あちらへと案内してくれる。


「え? まって! え? ウィル?」

「ささ、こちらへ。本日はまだ他のお嬢様が悩まれていらっしゃいますので針子が暇しております。早速、計測しますわね」


 なんてラッキーなんだ? なんだよね? ウィル?

 ウィルはジリジリと壁に追いやられてるけど大丈夫なのかな?

 

「大丈夫よね!」


 店員は手を上げて合図を送り、奥から針子さんが出てきた。

 そして、採寸の為に小部屋に通された。

 

「あの、ウィルは何で付いてきているんですか?」

「心配ですので」


 もう、「心配ですので」キリッじゃないよ。

 絶対に逃げてきたんだと思っていたら隣にオーナーがいた。

 

「そうなのよぉ。外で待ってましょうって言ったのにぃ~」


 オーナーは微笑みながら、ウィルの横にぴったりと座っていた。

 大男二人が座るソファがあまりにも小さいことこの上ない。

 

「大丈夫でございますよ。衝立たてますので」


 店員さんが優しく微笑みながら言うけど、衝立1枚で上半身裸になるわけで、その外に男性がいるのはちょっと……。

 ウィルとオーナーは、いつのまにか出された紅茶を飲んでいる。

 テーブルには生地見本が並べられていた。


「ヴィヴィ、良質な生地がたくさん揃っていますよ」


 この世界ではこれが普通なの?

 サササーッと衝立で仕切られ、二人の空間が巧みに仕切られる。

 

「仲良くてよろしいですわね」


 ホホホと年配の針子さんが笑う。

 城でリーナさんに脱がされまくったので、脱がされる事に抵抗がなくなっている自分にびっくりしたよね。

 この世界に来て、まだ13日しか経っていないのに、まるで調教されたかのように適応している自分に驚いた。

 なかなかの適応能力を持っている自分、すごい。

 リーナさん、城で大丈夫かな……。

 リーナさんのことだからきっと大丈夫だ!

 

「えぇ、この生地でしたらぁ……あぁ、そうですわねぇ。ええ、しっかりと……しますわよぉ。レースはこちらとこちらでぇ? ああん、意外に乙女ちっくなのねぇ。ドロ……もお揃いでですわねぇ」

「その組み合わせで5セットほど」


 衝立の向こうからオーナーとウィルの会話が聞こえてくる

 ちょっと待てーい。

 

「ちょっと! ウィルが選ぶんですか?」

「時間節約も兼ねてますので、あぁこれもいいですね。これも2セットお願いします」


 ウィルは冷静に答えながら、次々と商品の中から選んでいく。


「良い趣味してるわぁ。センスがあるっ! 私、ちょっと妬いちゃうぅ。ところで、お揃いの男性用もあるわよぉ」


 オーナーはウィルの選択に感心しながら、冗談めかして言った。

 ごつめの指と指でレースのサンプルを持ちながら!

 

「「お揃い……」」


 フリフリのパンツ!

 そこ! 少し興味が混じった表情を浮かべるんじゃない!

 

「仲良くてよろしいですわね」


 さっきも聞いたぞ、そのセリフ。

 オーナーが「爆速で製作するわよぉ」と言って、ウィルにウインクしていた。

 その横でウィルは淡々と支払いをしている。


 出来上がりは、鐘の音が1回の20時なので今は、下着の出来上がりを待つ間、冒険者御用達の服飾工房に来ている。

 袖がパフのようにふわっとしているワンピースを見つけて、喜びの声を上げちゃった。

 かわいい!

 現実にはこんな服では冒険出来ないだろうけど……、あれ? 冒険者御用達のお店よね?


「このワンピース1枚おいくらです?」


 店員は、ノートをぺらぺらとめくり、ワンピースの金額を探す。


「そちらは1万7502ギリアですね」

「1万7千ギリア? あの銀貨17枚? 約金貨2枚って事?」


 ふぇーん、たかぁーい。


「初心者の冒険者には向きませんが、可愛くていいと思いますよ。男性は熟練者になれば武器や防具にお金を掛けますが、女性は服装にお金を掛けます。しかも、だんだん、実用から離れていくんですよね」

「なるほど……女性の熟練冒険者は、薄着のヒラヒラと」

「絶対ではありませんけどね。ヴィヴィには危険な事はさせませんので、この服も買いましょう」

「私の服と下着だけで、もしかして……」


 聞くのが怖いよ。異世界怖いよ。

 

「21万ギリアほどですね。金貨21枚ってところです」

「金貨21枚……。返すね? よかった王様太っ腹で!」

「大丈夫ですよ。お金はたくさんあるので。それに安い方です。ドレス1着だと安くても50万ギリアしますので」

「その方たちと比べても……」


 いや、お金をたくさん持っているとかそういう話ではなくて。

 十分にお世話になりすぎている。

 そんなお世話になる関係ではないのに……どうしよう。

 まだ、私の手持ち金貨は1枚も減っていない。

【★大切なお願い★】

こんにちは、配信者のヴィオレッタです。

最後まで目を通していただきありがとうございます。


少しでも

「また読んでやるか」

と思っていただけましたら、


広告の下にある【いいね】や【☆☆☆☆☆】ポイントを入れてくださるとめっちゃ喜びます。


最後に誤字や言葉の意味が違う場合の指摘とかもお待ちしております。

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