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第32話 -ジェイクside- 平民騎士の願い

※□※※□※※□※1行×32文字で執筆中※□※※□※※□※

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「おい、ジェイク! 副団長から呼び出しだぜ。何やったんだ?」

「なんもやってない……」

「お前がやったことは、魔人族と付き合ってる事ぐらいだよな。ハハハハハハ」


 武器庫で自分達が使用した武器を磨いて、最後に脂を塗布するところだった。

 第5騎士団の備品整備は、自分達でしなくてはいけない。

 第1から4は貴族や豪商などの子息が在籍し、整備は担当任せだが、平民騎士の集まり第5は備品整備担当をつけてもらえないからだ。

 

「うるせぇ。行ってくる」


 お前がこれをかわりにやれと雑巾を投げつけた。



ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー



「ザニックス副団長! ジェイクです」


 室内から「入れ」と声がし、「失礼します!」とドアを開けて入る。


 入室すると副団長の執務机の前にランドルーがいた。

 また第4騎士団の尻ぬぐいかなと記憶を巡らしていたが違うのか。

 第5騎士団の中でも元貴族という異色の彼を見て、お互いの共通な事「魔人族」で呼び出されたのだと確信した。


「二人、揃ったな。5日前、勇者召喚が行われたのを知ってるな?」

「はい」

「まぁ、噂ですけどね」


 召喚が行われたなんて通達はきていないけど、4日前から訓練をしているのを見た。

 第1騎士団に一人、ロング副団長付が一人。

 第4騎士団のディーンが、二人は身体の関係だとか騒いでいたのを思い出す。

 みんなが口々に、勇者だったらやりたい放題だの、魔人族と関係持ったら出世はないだの好き好きに言っていた。

 

「異世界人の中に魔人族様がいる。その魔人族様が王都に見学にいきたいそうだ。でそこでーー」


 魔人族と結婚したランドルーと同棲している俺が選ばれたわけだ。


 この国では、魔人族がいないこともないが関わり合うことを良しとしない。

 歴代の国王陛下が魔人族を嫌っているからだ。

 事のはじめは、建国の父といわれる冒険者だった国王がパーティ内のエルフにフラれたことから始まった。

 そのエルフはパーティ内のビーストと付き合ったんだっけな?

 エルフが悪いんじゃない。

 国王が調子乗って、行く先行く先で女をつくり、パーティ内でもハーレムを作る。

 そして、毎夜毎夜、国王を取りあって喧嘩するのを(ツマミ)に酒を飲む。

 そりゃ、普通の感覚のやつは呆れるわ。

 死ぬまでそのエルフに恋焦がれ、ビーストを呪ってた国王から子へ魔人族ヘイト教育を、そして国民にも浸透させたのだ。

 今は時代を経て、厳しいヘイト、迫害時代からかなり緩くなった。

 とはいえ、根強い差別は浸透してしまっているから簡単にはなくならない。

 俺のように情報を得るチャンスがたくさんあるからだ。


 ランドルーは「いつです?」淡々と仕事を遂行し、ザニックス副団長は「明日」という。

 え? 明日?


「ロング副団長と勇者も一緒だ。ロングには首輪があるし、危ないことはないだろう。まぁ、なんだ、勇者の息抜きに付き合ってやれ」


 ロング副団長の首にある隷属の首輪は、禁止している事をすると強い呪いにより抵抗すればするほど雷が脳を焼ききるものだ。

 禁止事項は知らないが、かけてある魔法の解除禁止や命令の拒否の禁止などと言われている。

 ロング副団長が声を発することが出来ないのは魔法をかけられているから。

 元来ロング副団長は、強力な魔法を使える。

 しかし、声を発することができないので魔法を使うことができないのだ。

 魔法は魔法名を唱えなければ使えない。



ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー



 王都見学、スライム討伐と2回。


 魔人族ヴィヴィオラさんと勇者神斗様は、とても良い人だった。

 いや、普通の人だったかな。

 驕るわけでもなく、俺が平民というのも気にしていない。

 スライム討伐という初歩的な事も真剣に興味津々に取り組んでいた。

 ロング副団長がご執心なのにはびっくりしたが、魔人族のビーストはお気に入りが見つかると一目憚らず、盲目的にその人を愛する。

 それを考えると、ロング副団長は律しているのか、その域でないのか。


 一番心配なのは、ヴィヴィオラさんが魔物討伐ができるのか? ということだ。

 スライム討伐は、一先ず難なくできた。

 聞いたところによると、彼らの世界には魔物なんていないそうだ。

 遠征中には、人型の魔物も出てくるだろう。

 魔王討伐にはロング副団長がついていくらしい。

 まぁ、ロング副団長なら大丈夫か。

 彼が受け持つ仕事は、この第5騎士団200人であたる仕事を1人でこなす、しかも短時間で終わらせるという。

 魔王ってロング副団長みたいな奴なんだろうな。

 だってさ、隷属の首輪で魔法が使えないはずなのにアイテムボックスを使って森の中でヴィヴィオラさんとティータイムを楽しんでいた。

 あれは絶対、アイテムバッグではない。

 スライムを切るときも、よくわからない属性を剣に付与していた。

 風でもない……、天からの雷?


「俺もその遠征のタイミングで辞めるか」


 流石に遠征は、勇者神斗様とヴィヴィオラさん、ロング副団長の3人だけって事はないだろう。

 一緒に連れて行ってもらう事はできないだろか?

 彼女と二人で国をまたぐには不安がある。

 その点、勇者神斗様は剣を握って少しなのにかなりの強さだし、ロング副団長は言わずもがな。

 ヴィヴィオラさんは…………優しい。

 彼らに頼みこんで彼女と雑用係をして、差別の少ない国へ渡る。

 城勤めの騎士という平民憧れの職業は、高給取りなのでお金の蓄えはある。

 他国で一から生活をしても大丈夫だ。


「ん……何? まだ、起きてたの?」

「あぁ、ごめん。もう寝るよ」

「私は、あなたのそばにいるだけでいいの」

「ん、あぁ」


 おやすみのキスをする。

 この国で暮らすには、うさぎのビーストである彼女に負担がかかる。

 彼女の両親は、耳を隠せば人族と変わらないビーストだった。

 サンドイッチ屋をしていたが、色々あって他国に移り住むと言って出て行った。

 もちろん、彼女も連れていくはずだった。

 でも、彼女はこの国に残った。

 俺と生きていくために。

 外出が出来ない彼女は窓から入ってくる景色だけが世界だ。

 大きな垂耳から髪、頬のビロードのような被毛をなでる。

 出会った頃のように、太陽の下でキラキラと光る目を見たい。

 それは俺の願いでもあるんだ。

【★大切なお願い★】

こんにちは、配信者のヴィオレッタです。

最後まで目を通していただきありがとうございます。


少しでも

「また読んでやるか」

と思っていただけましたら、


広告の下にある【いいね】や【☆☆☆☆☆】ポイントを入れてくださるとめっちゃ喜びます。


最後に誤字や言葉の意味が違う場合の指摘とかもお待ちしております。

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