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第30話 -神斗side- 勇者認定式

※□※※□※※□※1行×32文字で執筆中※□※※□※※□※

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 見知った騎士が呼びに来た。

 俺に訓練という名の傷をつけたやつらだ。

 そして、俺が断った訓練を無理やりさせたやつらだ。

 ヴィヴィオラは何か言いたそうだったけど、黙って彼らに従ってついていってる。

 横を歩いている騎士達は、ヴィヴィオラを低俗な目つきで見ていて不快感を覚える。

 ろくでもないやつらしかいない。


 二人で入れと言われて謁見の間に進むと、中央の場で片膝つくように指示された。

 ヴィヴィオラは少し斜め後ろにいる。

 なんで横じゃないのかな?


「あっ」


 ヴィヴィオラが片膝付く際、グラグラと揺れているなと思ったらバランスを崩して横に倒れた。

 俺はすぐに手を伸ばして支えようとしたが、間に合わなかった。

 

「フウ。俺、ヴィヴィオラさんと一緒でよかったです」

「えっ、何? 片膝をつくのって意外に大変なんだよ!」


 冗談で怒っているヴィヴィオラの口が尖っているのを見て、俺は少し笑ってしまった。

 顔を正面に向けると、美香と愛美に目が止まった。

 この式典に興味がないのか指を眺めては薄い笑みを浮かべている。

 突然、美香がこっちを見遣った。

 目を細めて良くない笑みを浮かべた気がした。

 でも、もう関係ない。

 これが終われば美香とは物理的に距離ができ、もう会うことが一生なくなるはずだ。

 

 ツトムさんがおそらくヴィヴィオラに手を振ってきた。

 単なる知り合いとなったからなのか、他に他意があるのか。

 なんとなく不快だったのでヴィヴィオラを静止した。

 王都で彼の従者にならないかと提案してきたツトムさんへの断りの手紙はちゃんと書いたらしい。

 でも、神殿はこの国でかなり地位が高そうなので、ヴィヴィオラがツトムさんの役に立つとかの理由で連れて行かれるかもしれない。

 あまり、仲良さそうに見せない方がいいだろう。

 多分、それで不快なんだ。

 

 緊張感がない式典中、ヴィヴィオラとコソコソとやり取りをしてなんとか時間が過ぎるのを待っていた。

 途中、意味の分からない水を飲まされたけど。

 もう式典も最後だろうか、貴族たちの歓声が広間に広がり、王様が威厳たっぷりに上段から降りてくる姿を見つめながら、俺の心は重くなった。


「この剣は、わが王国に伝わる勇者にたくす聖剣、聖封の剣。ま、つまりは、これを持つ勇者殿には頑張っていただきたい、ということじゃな!」


 俺は、使命とやらをするつもりがないから王様が持つ国宝の聖剣を貰ってもなと。

 それでも、聖剣という異世界お約束のような剣に興味が無いわけでもなく、あれが聖剣なのか? 何が凄いのか? 内心ワクワクしていた。


「神斗君、あの剣、本当にすごいのかな?」


 ヴィヴィオラの問いかけに、俺は聖剣へ視線を向け眉をひそめて食い入るように見た。

 いつも訓練で使用している剣がある。

 その剣は今も帯剣しているこの剣なのだが、武器庫に初めて行った時に同じものが10本あった。

 さすがに「……あの剣、まさか」と口からこぼしてしまったが確信がないので濁した。

 王様が聖剣を俺に渡そうと近づいてきた瞬間、第一王子が割って入る。


「少し、お待ちください、国王陛下!」

「なんじゃ、ジルベルト……」

「彼、勇者は我が第1騎士団の者。わたくしが聖剣を授けたく思います」

「あぁ、そうじゃな。まぁ、この剣、誰が渡してもよかろうて」


 王様は、許可を貰ったため近寄ってきた第一王子に聖剣を渡した。

 王族の後ろに控えていたミカが目に映り三日月のような笑みを浮かべた気がした。

 俺はその光景に舌打ちした。

 更に、腰に差している剣とあの聖剣が同じものであることが確信に変わる。

 ガードの部分、所謂、柄の部分が同じなのだ。


「本当にどうしようもない国だな」


 確かに国宝の聖剣なんていらないって思っていたけど、自分がいつも使っている剣のレプリカを渡すなんて意味がわからんだろ。

 今、腰にさしている剣がレプリカなのか?

 どこまでもバカにしている。

 第一王子が重々しい雰囲気を漂わせながら、俺に聖剣を授けようとする。

 周囲の者たちが息を飲む中、俺は聖剣を受け取ろうと手を伸ばす。

 

「すまぬな」


 なんだ?

 その瞬間、第一王子が邪気を含んだ笑みを浮かべ、剣の刃がキラッときらめき、風を切った。


「ーークッ!」


 俺は間一髪で仰け反り、刃を避ける。

 咄嗟に後退し、第一王子から距離を取る。

 ヴィヴィオラが心配の悲鳴を上げた。

 しかし、第一王子はそのまま剣を振り切り、鋭い音と共に目の前が赤く染まった。

 首のない身体から血が吹き出し、悲鳴が室内に響き渡る。


「ヴィヴィオラ!」


 俺は叫び声を上げ、血の気が引いて青ざめたヴィヴィオラに駆け寄る。

 ヴィヴィオラの意識が遠のきざまに、ロング副団長が彼女の目を覆うのを見て、俺はホッとしたと同時に無力感に襲われた。


 第一王子がヴィヴィオラの足元にあった国王の頭部を無価値な物を雑に扱うかのように掴み上げる。

 顔を突き合わせながら、冷たい目で見下ろし、淡々と言い放った。

 

「早く、その座を受け渡せば良かったものの。無駄に引き延ばして、結局はこのような結末を迎えることになった。……父上、王国はこの私にお任せください」


 貴族たちはこの場から我先にと逃げているなか、第一王子の笑い声が謁見の間に響き渡った。

 その笑い声は、広間の隅々まで響き、恐怖と混乱をさらに煽り立てた。


「神斗さん、ついてきてください」


 ロング副団長がヴィヴィオラを抱きかかえている。

 俺は考えるもなく後に付き従ったが、謁見の間に入ってくる騎士と出ていく貴族の押し寄せる人波に阻まれて、離れ離れになってしまった。

 ヴィヴィオラの姿が見えなくなると、俺は焦りと不安に包まれた。

 大混乱の中で何とかして二人を見つけようとするが、押し寄せる人々によって思うように進むことができない。

 気を失ってしまったヴィヴィオラの安全が心配でならない。

 心の中で祈るようにヴィヴィオラの名前を何度も呼び続けた。

【★大切なお願い★】

こんにちは、配信者のヴィオレッタです。

最後まで目を通していただきありがとうございます。


少しでも

「また読んでやるか」

と思っていただけましたら、


広告の下にある【いいね】や【☆☆☆☆☆】ポイントを入れてくださるとめっちゃ喜びます。


最後に誤字や言葉の意味が違う場合の指摘とかもお待ちしております。

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