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第25話 彼女たちは怖い、特に……

※□※※□※※□※1行×32文字で執筆中※□※※□※※□※

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 ザワザワと食堂の雰囲気が変わった。

 何事だろうと振り向くと、遠くからこちらに歩いてくる二人の姿が見えた。

 誰がいるんだろう……んん?

 ミカとマナミだ。

 彼女たちは普段、二階席の個室で食事をしているため、一階に降りてくることはめったにない。

 二階席は、高位貴族の騎士たち専用の食事場所であり、一般貴族と平民の人々とは別格の空間だ。

 彼女たちがこちらに向かってくるのを見て、多くの人が一斉にざわめき立つのも無理はない。

 彼女たちはただ通り過ぎていくだろうと私も多くの人も思っていたが、意外にも私の目の前に立ち止まった。

 私の心臓は一瞬で跳ね上がり、周囲の視線が一層集中するのを感じた。

 ミカが淡々とした声で問いかける。


「ヴィヴィオラさんだよね」

「え? あ、うん。……ミカさんとマナミさん、初めまして?」


 私は少し戸惑いながら答えた。

 いや、会ったことあるでしょ私、でもミカも確認しているからお互い様か、と内心で思った。

 

「喰ったって本当?」


 マナミが前のめりで問い詰めるように言う。

 その際、隣のレンタスさんが椅子からはじき出される。

 あぁ、彼は腹痛から回復したばっかりだったのに……。


「あ? え? 食った?」


 私は驚きと混乱で自分の前にある食べかけのホワイトドードーの骨付きもも肉のグリルを見る。

 確かに美味しそうだが、マナミの言う「喰った」という言葉が何を指しているのか全く見当がつかない。

 ジェイクさんがすかさず机に乗り出してきて耳打ちしてくれた。

 

「ヴィヴィオラさん、その食ったじゃないですよ」

「え? 違うの? 私何か変なもの食べてるの?」


 私はさらに困惑し、混乱しながら聞き返すとジェイクさんは苦笑しながら「アレの事だと思いますよ。神斗様とーー」と言った。

 

「え? あぁぁぁぁぁアレ!?」


 私の脳裏に一つの出来事が閃くと同時に思わず叫んだ。

 心臓が一気に跳ね上がり、体中の血が逆流するような感覚に襲われた。

 神斗君と裸でベットに……いただけの事!

 あの日の夜の事は、城から居なくなった私を、居なくなってませんよとごまかすための演技で嘘ということを伝えることはーーーーできない。

 ここには多くの人の耳がこちらに集中しているからだ。

 広まっちゃうとなんでそんなことをしたのかと問われかねない。

 それにどうせなら喰ったじゃなくて、喰われたにしてくれないかな?

 もしかして、この二人のうち、どちらかが。

 いや二人とも神斗君のことが好きなのかもしれない。

 なんか申し訳ない。

 そして、あとで神斗君に謝らないと……。

 そして、なんか背筋が寒いんですけど? 私は刺すような視線を感じて無意識に身震いした。


「神斗は私のいうことは何でもするの」


 ん? そうなんだ。

 何でもって、その自信怖い……。


「でも、昨日関わりあうなって言った」

「はい?」

「神斗はそんなこというなんて、なんかしたんだろ!」

「へ?」


 君たちの話は、全くと言っていいほど知らないなぁ?

 昨日、スライム討伐の夜は、ちょっと話をして配信部屋に向かうためにすぐ自室に戻った。

 神斗君も疲れてそうだったしね。

 

「神斗に何したの?」

「え? 私、何もしてないですけど……」

「嘘つくなよ! 神斗があんなこと言うなんておかしいだろ!」

「いや、だから本当に何もしてないって……」

「信じられない。その身体で篭絡したわけ?」

「本当だって、神斗が言ったんだよ。寝たって!」


 淡々と怒るミカ怖い。

 それに話を聞いてくれない。

 寝た……普通に睡眠しただけって思ってくれないかな?

 バキバキッ!!

 私の後ろで何かが割れる音がするが今は振り向けない。

 木が割れるような鋭い音が響き渡り、食堂のざわめきが一瞬静まり返り、緊張感が漂う。

 そして、口々に「異世界人様たちは何してるんだ?」「やべぇ、テーブルの端を砕いた」「キャットファイトかぁ」「片方は魔人族だから異世界人じゃない」「勇者はやりたい放題だな」「俺、寒くなってきたわ」と囁きが広がる。

 寝たとか身体で篭絡したとか大変な事になってきた……。

 巷では神斗君と寝た事になっている……けど、それと関わりあうなと言われた事と関係あるかなぁ?

 

「あの、ちょっと待って。本当に心当たりがないよ」

「あんたのせいで、神斗が私たちに関わらないでくれって!」

「神斗とは小学校からの付き合いなの」

「はい……」

「高校から」

「はい?」


 やだもー、この子達。

 なんのマウンティングが始まったの……。

 私の混乱がピークに達し、思わずため息が出そうになる。


「他の人と関わらせないようにしてたのに、高校は勝手に決めるし。弱み持っている人を探すの大変だった」

「「弱み!?」」


 マナミと声が合わさる。

 いや、なんで一緒に驚くの?

 

「人間って弱みを掴まれると何でも言うことを聞く。点数の改ざんとか、内申点だって。賢ければ楽に生きれる」

「裏口入学って事? そんなこと言ってもいいの?」

「もうここでは関係ないでしょ?」

「確かに……」

 

 マナミさんは「うちらの高校って裏口あるのか……」と呟いている。

 突然の裏口入学カミングアウト……。

 そうよね、ビックリするよね、わかるぅ。

 そこまでして神斗君と一緒にいたかったのかーーーー。

 ミカはどちらかというと支配欲なのかな。

 マナミはわからない。

 周りの人々が興味津々にこちらを見ているのがわかる。

 その人達は「なんか寒いな……」「お前も?」「あっちはファイト中だけどな」「アハハ…さむ」と。

 確かに、先ほどから暖かい食堂がひんやりとしているように感じる。

 ジェイクさんが、チラチラと何かを見ては顔が青くなっていく。

 ジェイクさんも寒いの?

 私はますます困惑し、どうにかしてこの状況を切り抜けたいと思った。


「あ、あのね。ともかく、えぇとほんとにやましいことはないかなぁぁあぁん!!!」


 なんとか弁解しようとしたが、その瞬間、ロング副団長に担がれた。 ロング副団長の大きな手は冷たく、しかし力強く私を肩に持ち上げる。

 よし、逃げれる! ラッキー!!

 ここぞとばかりに「あぁ、訓練始まるみたい。ごめんねーー」と私は叫んだ。


 ロング副団長の足取りは重く、歩く度に私の胃が揺れる。

 ホワイトドードーが口から出そう。

 しかし、強引とはいえこの場を離れられたことは幸いだった。

 これ以上の追及を免れたのだから。

 食堂から離れる際、私はちらりと先ほどの席を見た。

 ジェイクさんたちが「食器片づけておきますねーー」と声をかけてくれる。

 彼らのやさしさに、思わず涙がこぼれそうになった。

 ミカとマナミの顔は怖くて見れなかったが、彼女たちの表情が頭の中で鮮明に浮かんでいた。

 ミカの冷ややかな眼差しと、マナミの怒りが混ざった表情。

 きっとどこかでまた説明しなければならないだろう。

 神斗君に対しても謝らないといけない。

 こんな状況に巻き込んでしまったのだから。

 その思いを抱えつつ、ロング副団長に担がれたまま、私は食堂を後にした。


 午後は、短剣よりはましだけど上達していない弓の訓練である……。

【★大切なお願い★】

こんにちは、配信者のヴィオレッタです。

最後まで目を通していただきありがとうございます。


少しでも

「また読んでやるか」

と思っていただけましたら、


広告の下にある【いいね】や【☆☆☆☆☆】ポイントを入れてくださるとめっちゃ喜びます。


最後に誤字や言葉の意味が違う場合の指摘とかもお待ちしております。

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