表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/110

103 配信するようです⑥

※□※※□※※□※1行×32文字で執筆中※□※※□※※□※

改行などで見辛くなる時はビューワー設定の調節してください

youLIVE-site314 LIVE


  [その村の話、何か裏付けがあるの?]


「裏付け……?」

 

 私は画面を見つめながら、思わずその言葉を口にしていた。

 今は、滞在しているルド村の話をしていた。

 その最中、常連のリスナーが書いた一件のコメントが、妙に引っかかった。


「裏付けって、村が山賊に襲われたということが本当かってこと?」


  [そう]

  [村人が嘘つくわけないだろ?]


「え……っと、宿に止まっているんだけど。宿屋の家族が全員攫われたって言ってて。実際、部屋の中は荒らされた跡があったんだよね。棚も空っぽだったし、鍵穴も壊されてたし」


  [ほな、山賊か]

  [<110円>疑われて村人可哀そう……]

  [いや、意外に山賊が村人にばけているなんていっぱいあるぞ。漫画で]


 村人と思った人が山賊だったってことがあるのか……。

 そう考えると、あの親しげな態度も演技だったのかもしれない。

 う~ん……コメント欄の声が頭の中で反響して、考えがまとまらない。

 山賊退治は強引な感じだったのは認める。

 でも、それは切羽詰まっているからなんじゃ?


「う~ん。そんなことがないと思うけどな……」


  [じゃあ、気になる事はなかった?]

  [なんでそんなに疑うんだ]

  [色んなパターンを考えとくのもいいかもな]


「気になることか……。あった! 気になることあったよ! 村長さんに『うちの息子の嫁にならんか』って言われてさ。まだ村人が助かってないのに、そんな話する? 気が早いっていうか。しかもその息子も攫われてるっていうし……なんか順番おかしくない?」


 言葉にしてみると、改めてその違和感がくっきりと浮かび上がった。

村人が攫われてる最中に、縁談の話って……普通、そんなタイミングで言う?


  [田舎あるあるなんじゃ……]

  [結婚はまだか? うちの息子どう?]

  [人が来たらすぐ縁談、みたいな]

  [助けたら結婚って、報酬のつもりなんじゃない?]


「田舎あるあるなら、違うね。あとは、半日くらいの距離に山賊がいるって話なんだけど、『他の方々に退治をお願いしたいのですじゃ』だって。私以外で……でもこれはウィルも勇者君も同じ意見だったしな――」


  [今日はアストラいないの?]

  [見知らぬ村に一人置いていかれるってヤバくない?]

  [どらにゃんがいない……]

  [絶対、一緒に行った方がいいって]

  [自分で戦えよって思うのは私だけ?]


「前回、カメラを氷漬けにしたからね……。アストラは勇者君と寝てるんじゃないかな? でも、明日はアストラとお留守番だから。一人じゃないっていいね」


  [前回、氷はいてたよね。ドラゴンって、寝るとき布団かぶるのかな]

  [寂しがりやでちゅね~]

  [勇者君、凍ってない?大丈夫?]


「凍ってるかもね~。一度、寝ながらブレスはいてたからね。――そう! ようやくレンギア王国からおさらばしたよ~」


  [おめでとん!]

  [8888(パチパチパチパチ)]

  [キャラバンと行動してたんだっけ?]


「隣の国に来たからもう自由だ! ちなみにルド村は隣の国の村!」


 カメラに向かってピースを作った。

 でも、自由って、ちょっと怖い。

 次に何が起こるか分からないし、誰を信じればいいかも分からない。

 それでも、選べるってことは、進めるってこと。


  [おめでとう! 自由だね]

  [隣の国ってどんなとこ?]

  [ヴィヴィたちの戦いはこれからだ!]


「もう! その『ヴィヴィたちの戦いはこれからだ!』って、打ち切りのセリフじゃん! 最終ページで急に終わるやつ! まだ続くからね!?」


 思わず笑いながらツッコんだ。

 コメント欄には[草][打ち切りエンド回避!][また見てくれよな][続いてくれてよかった!]なんて言葉が並んでいて、画面越しにみんなの笑顔が見える気がした。

 こうして冗談を言い合える空気って、やっぱりいいな。

 ルド村や山賊の話も、ちょっとだけ遠くに感じる。

 でも、配信が終わればまた現実に戻る。

 明日はアストラとお留守番。

 みんなが大変な依頼を受けている間、今日の夕食に出した肉団子は、保存分も含めてたっぷり作ったから、明日はそれを使って優しい味のシチューにしよう。

 そのまま、【収納(アイテムボックス)】に入れればいつでも温かいシチューが食べれるからね。


通知 入金<2,600円>サンクチャ代が入金されました

   残高<113,237円>


 村人が山賊説のことが少し気になりはじめているけど、それも明日になればわかることだ。

最後まで目を通していただきありがとうございます。

少しでも 「また読んでやるか」 と思っていただけましたら、

広告の下にある【いいね】や【☆☆☆☆☆】ポイントを入れてくださるとめっちゃ喜びます。

最後に誤字や言葉の意味が違う場合の指摘とかもお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ