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悪役令嬢にざまぁされたくない令嬢の婚約者〜レフィトside〜①

短編であげているレフィトside、はじまります!!

少し内容が変わっています。よろしくお願い致します!!


 つまらなくて、つまらなくて、とにかく毎日がつまらなくって。

 少しでも面白いものを探していたら、出会ったんだ。

 誰よりも面白い彼女に──。


 彼女(カミレ)は、クラスメイトの物を盗んだという自身にかけられた冤罪に立ち向かう、勇敢な令嬢だった。

 相手が明らかに身分が上の人物でも怯むことなく、意見をハッキリと言う。向こう見ずでもあり、真っ直ぐな性格だと思った。

 ところが、学園から支給された物を卒業したら売ろうとしていたりと、思わぬ一面もあった。強かで、オレにはない発想が面白い。


 貴族なら誰もが持っていそうな価値観ではなく、別の価値観で行動しているように見えて、それが面白くって、オレの毎日を楽しくしてくれそうで……。

 カミレと一緒にいたいな……って思ったのが始まりだった。

 


 

「ねぇ、カミレ。今日のお昼は何なのぉ?」

 

 朝食を持っていくようになってから、お礼にと作ってくれるようになったお弁当。

 それが毎日の楽しみで、カミレの鞄の中を見ようとしたら、ぺちりと手を叩かれた。

 

「勝手に人の鞄の中を見るなんて、マナー違反ですよ」

 

 じろりと睨まれるが、そんな可愛い顔で睨まれても、まったく怖くない。

 代々騎士の家系で生まれ育ったオレにとっては、子猫がじゃれているようなものだ。

 

「お腹空いたんだもん」

 

 ぷくりと頬を膨らまして上目遣いで見れば、カミレは体を強張らせた。

 

「可愛こぶったって、駄目ですからね」

 

 そう言いながら、カミレは視線をそらす。耳が赤くなっていることに気付いてないのだろう。 そんな無防備な姿も可愛い。



「今日の帰りさぁ、カフェに行かない? 期間限定のストロベリーフェアやってるんだってぇ」

「えっ!! あー、ごめんなさい。また今度でもいいですか?」


 パアッと一瞬だけど、嬉しそうにしたということは、行きたいってことだよね? 断られた理由も、たぶんこの間と同じかな……。

 男性が奢ることは当たり前なのに、いつまでもそうは思わない。やっぱりカミレは変わっている。


「全種類食べてみたいから、カミレも手伝ってくれない?」


 こう言えば、きっと来てくれる。そう思ったんだけど──。


「いえ、このあと用事があって……」


 答えは、まさかのノーだった。

 行きたいけど、遠慮しているってわけじゃないらしい。


「ふーん。用事って、ひとりで行くのぉ?」

「ひとりですよ」

「オレもついて行きたいなぁ」

「すみません。人と会うので……」


 また断られたぁ。カミレと学園で仲良い人はオレだけだし、会うのは学園外の人ってことかなぁ……。


「何人で会うのぉ?」

「ふたり……ってことはないかな。うーん。三人? 四人? もっといるかもしれないですね……」


 人と会うのに人数が分からないって、どういうこと? 大人数ならともかく、そういうわけじゃなさそうだし……。

 曖昧な答えに、オレの勘がカミレを止めろと言っている。

 こういう時の勘って、馬鹿にできない。実際、何度も勘に従ったおかげで助かったことがある。


「心配だから、オレも一緒に行くねぇ」

「駄目です」


 決定事項のように言ってみたけど、やっぱり断られてしまう。


「オレたち婚や──」

「今夜ですか? 今夜は用事がありまして!!」


 ちゃんと周りに聞こえないように声を潜めて言ったのに、両手でオレの口を必死に押さえて、カミレは言う。

 確かに知られたら面倒なことにはなるけど、そんなに婚約を知られたくないのかねぇ? 

 

 うーん。面白くない。

 仕方がないとはいえ、婚約したのにオレとのことを隠したがることも、放課後のデートを断られたことも、予定を教えてくれないことも、ぜーんぶが面白くない。


「お願いだから、内緒にしてください。ざまぁされるじゃないですか……」


 ちょいちょい言ってくるけど、ざまぁって何?

 意味を聞いても、知らなくていいと教えてくれないのも、面白くない。


「手を離しますけど、絶対に言っちゃ駄目で────っっ!!??」


 バッと音が出そうなほど大きく、カミレは手を離して仰け反った。口を魚みたいにパクパクと動かして、全身がりんごのように真っ赤になっている。

 その反応に、心が満たされていく。


「なっ……なななななめっ…………なめたぁ……」


 ペロリとカミレの手のひらを舐めてみたけれど、しょっぱかった。

 カミレなら、もしかして甘いんじゃないかと思っていた自分がおかしくて、笑ってしまう。


「かーわいい。本当に何でこんなにいちいち可愛くて、面白いんだろうねぇ」

「からかわないでください」

 

 本当に可愛い。こんなに可愛いのに、あんな目でカミレのことを見るなんて、許せないよねぇ。

 確かに最初は面白いかも! って、マリアンに近づいたのはオレだけどさ、たったひとり減るのがそんなに嫌かねぇ?

 善意に見せかけた悪意が正解だったってことかな? 前なら、それが面白かったけど、不快だよなぁ。カミレにそんな目を向けて許されると思ってんのかなぁ。

 

「カミレ、次の授業サボっ──」

「サボりません。レフィト様、もう行きましょう。遅れちゃいますよ」

 

 カミレの監視役を買って出て、すぐに婚約してから三ヶ月。やっと一緒に行動することを当たり前だと思ってもらえるようになった。

 カミレの隣はオレのもの。学園を卒業したって、その場所を手放すつもりなんかない。

 だから婚約したのに、オレとの婚約をカミレは喜んでないんだよなぁ……。

 事あるごとに婚約解消しないか持ちかけられるし……。

 

 

レフィトの名前の由来

『朝顔』のヘブライ語、レフフィットから来ています。

朝顔の花言葉は、愛情、結束、明日も爽やかに、私はあなたに絡みつくなどです。


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