表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/141

悪役令嬢にざまぁされないために、自分みがきを始めましょう③


 どこか悪い顔をしたレフィトに、何を企んでいるの? と聞こうとした時、ちょうど馬車が学園へと到着した。

 なんて、タイミングの悪い……。


 今では、当たり前のようになった、本当だったら当たり前ではないレフィトからのエスコート。

 レフィトからエスコートをしてもらっている私に向けられる視線は、今日も冷たい。


「あーぁ。いい加減、オッケー出してくれないかなぁ」

「駄目だよ」


 何を、とは言わなくても、それが噂のことだと分かっている。

 オッケーを出したが最後、倍返しでは済まないことも。

 人の噂も七十五日。それまでの辛抱だ……と思いたい。


 思いたかったんだけど……、そんなことを思った馬鹿は、どこのどいつだ?


 なぜか、たった二日の休日の間に噂がレベルアップを遂げていた。

 噂に尾びれと背びれがつき、手足が生え、羽も生えたような状態だ。このペースだと、噂に牙も生えて、火でも吹くんじゃないないだろうか。

  

「まさか、八つ当たり?」

「だろうねぇ」

 

 マリアン御一行に正体がバレていたとしたら、噂ではなく、確実に罪を問いかけてきたはずだ。それも、公衆の面前で。

 つまり、私たちの変装がマリアン御一行にはバレてないということ。

 そのことに安堵しつつ、こそこそと囁かれる噂に思わず笑ってしまいそうだ。

 行き過ぎた内容を真剣な顔で話すの、どうかと思うんだよね。



「カミレ、テンポ遅れてるよぉ」

「う……、ごめん」

「はい、イチ・ニー・サン。イチ・ニー・サン」

 

 レフィトが口ずさんでくれたリズムに、どうにか足のステップを合わせていく。

 

「あ、ごめっ!!」

「大丈夫だよぉ。ほら、足元見ちゃ駄目だよぉ」


 レフィトの言葉に慌てて顔を上げてステップを踏むのだが……。

 

「ぎゃっ。ごめん……」

「気にしなくていいから、背筋伸ばしてぇ」


 周りからは嘲笑が聞こえてくる。

 頭では足を動かす順番が分かっているのに、上手くいかない。

 

「ごめっ……」

「謝らなくていいよぉ。大丈夫だから。顔を上げてぇ」


 ヒールで何回もレフィトの足を踏みつけてしまう。それなのに、レフィトは笑顔で気にしてないように振る舞ってくれる。

 まだまだ修行が必要だ。もっともっと、上手くならないと。

 少しでも早く上達しないと、そのうちレフィトの足に穴が開いちゃうかもしれない。



「ごめんね。痛かったでしょ……」


 次のグループに交代となり、レフィトと部屋の隅っこに座る。

 隅っこに座るといっても、床に座る……なんてことはなく、椅子がきちんと用意されているあたり、流石貴族のための学園だ。


「全然、痛くないよぉ。ダンスの授業って、カミレとくっつけるから、好きなんだぁ」


 私が気にしないように言ってくれるレフィトの優しさに、言葉が詰まった。

 泣きたくなる気持ちを抑え、お礼を言う。


「大丈夫。少しずつ上手になってるよぉ」


 手を繋ぎ、優しくかけられた声。温かい手。

 泣くのを我慢しているのに、優しいことを言うのやめて欲しい。我慢するのが、難しくなるじゃないか……。

 ズッと鼻をすすり、涙がこぼれないように上を向く。

 すると、隣に誰かが立った。


「レフィト様のおっしゃる通り、上達されてますわよ」

「えっ……」


 話しかけてきた相手に驚きすぎて、涙も引っ込んだ。

 

「努力はきちんと形になってきていますわ」

「あ……りがとうございます」


 動揺しながらも、お礼を言う。

 優しい言葉をかけてくれたのはアザレアで、その隣にはクラスの男子もいた。

 えっと……、確か…………。


「余計なこと言うな。お節介なのは、おまえの悪いところだ」

「うるさいですわよ。ゼンダ様は黙っていてくださる?」


 あぁ、そうだ。ゼンダ様だ。

 センダだか、ゼンダだか、いつも混乱するんだよね。

 前世の職場にいたのよ、千田さん。一言多いけど、悪い人ではなかった。一言多いだけで……。


「えっと……、おふたりはどういう関係なんですか?」

「残念なことに婚約者ですわ」

「残念なのは、こっちのセリフだ、馬鹿」


 おぉう。仲が悪いのか……な? その割には、一緒にいるけど。

 ダンスのパートナーを、同じクラスに婚約者がいるのに別の人と組むと外聞が悪そうだし、一緒にいる感じかな?


「カミレさんのダンスですけど、自信がないからと動きが小さくなっているのがよくありませんわ。最初は間違えるのも、踏んづけるのも当然ですもの。遠慮なく、踏むといいですわよ」

「お前は未だに踏むけどな」

「わざとに決まってるでしょう? そんなことも気が付きませんの?」


 もしかしなくても、アザレアは私を励ますために、近づいてきてくれたのだろうか。


「アザレア様、ありがとうございます。優しいんですね」

「れ、礼には及びませんわ! 私、頑張っている人を笑う人が、大っ嫌いですの。理由はそれだけですわ」


 頬を染め、アザレアはツンとそっぽを向いてしまった。

 これは、ツンデレってやつだろうか。


「アザレアもたまには良いこと言うな。それは、俺も同感。努力してるヤツを笑うヤツ、その時の自分の顔を鏡で見たことあんのかね? 化粧だ、オシャレだ言う前に、性格直した方が良くないか? 人の悪口言ってる時って、すんげぇブサイクじゃん」

「ゼンダ様も、私の悪口を言うところ、直したほうがいいですわよ」

「俺が言っているのは悪口じゃなくて、事実だ」


 ふたりは、ギャーギャーと喧嘩を始めた。

 こういうのをケンカップルって言うんだっけ?


「とにかく! 私が言いたいのは、周りを気にすることはないってことですわ!! ゼンダ様が余計なことを言うから、話がそれてしまったじゃありませんの!! 他にお聞きしたいこともありましたのにっ!!」

「他に聞きたいことですか?」

「えぇ、噂のことですけ──」

「まさか、信じてるのか? 馬鹿だなぁ」


 そう言ったあと、嬉々としていじめだしたゼンダ様の顔を見て、私は確信した。

 ケンカップルというより、たぶんあれ(・・)だ。


 ゼンダ様、精神年齢が小学生男子と一緒なのだろうか。

 それとも、恋愛方面にだけ?


「もう、ゼンダ様なんて大っ嫌いですわ。ついて来ないでくださいまし!!」


 目に涙を溜め、アザレアは逃げ出した。

 そして──。


「またやっちまった……」


 全力で落ち込むゼンダ様だけが、私たちの前に取り残された。

 

いつもお読み頂き、ありがとうございます。

誤字報告も助かってます。ありがとうございます。


寒い季節になってきましたね。

暖かくして、互いに風邪に負けないようにしていきたいですね!!

皆様の一日が素敵なものになりますように!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『悪役令嬢にざまぁされたくないので、お城勤めの高給取りを目指すはずでした』予約開始です✧◝(⁰▿⁰)◜✧ 書籍の方も、是非よろしくお願いいたします。 青字のところを押していただけますと、各サイトに飛べます。 ❁TOブックス公式サイト❁☆Amazon☆♡BOOK☆WALKER
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ