悪役令嬢にざまぁされないために、自分みがきを始めましょう①
第二章開始です。
よろしくお願いします!!
悪役令嬢が主人公の、ざまぁされるヒロインに転生をした。
推しも、攻略対象とのランデブーも、すべて諦めて、せっかくハイスペックに生まれたのだから、お城勤めの高給取りを目指すことにしたのだけど、現実はそう上手くいかないらしい。
物を盗んだという冤罪からはじまり、マリアンの取り巻きだった騎士団長の子息であるレフィトに興味を持たれて婚約。
更に、敵陣のお茶会に招待され、反抗したら学園中に私の悪い噂が広まった。
気が付けば、いつも隣で助けてくれるレフィトを私は好きになり、レフィトは何でかヤンデレへと進化を遂げた。
そんな中、レフィトとのデートで向かったサーカスに、マリアン御一行も遊びに来ていた。そこで、取り巻きの婚約者のひとりが冤罪をかけられていたから、首をつっこんだんだけど──。
「これ、どうしよう……」
デートの翌日、いつも通りレフィトの家の馬車で学園へと向かいながら、届いた手紙にため息が止まらない。
「行く必要ないよぉ。差出人不明なんて、怪しいって」
「でも、大切な話かもしれないでしょ? それに、変装がバレてるなら、口止めしないと」
「口止めしたところで、意味ないよぉ。味方なら黙っているし、敵なら王子たちに情報が行ってるはずだから。様子見って線もあるけど、そういうヤツは、自分の利益中心だから、裏切りやすいよぉ?」
「でも、弱みを握られちゃったわけだし……」
「同じ変装をニ度しなければいいだけだから、大丈夫。弱みじゃないよ。あいつらにバレても、知らないで突き通せば良いだけだし」
バレたところで、何も問題もないかように、レフィトは言う。
変装素人の私より、レフィトの言っていることの方が正しいのだろう。
頭では理解したけれど、気になってしまうのだ。
「私が行かなかったら、相手の人は待ちぼうけだよ?」
「そんなの、向こうだって承知の上だよぉ。一方的に手紙を送りつけて、呼び出しに成功する確率のほうが低いってぇ」
うーん、確かに。来たらラッキーくらいの気持ちで送られた手紙なのかもしれない。
でもなぁ……。
「正直に言うね。行きたいです!!」
あれこれ理由を言ってみたけど、単純に行きたいんだよね。
丁寧な文字で書かれたお礼が嬉しかったし、もしかしたら、協力関係に……あわよくば、お友だちになってくれるんじゃないかって、心のどこかで期待してる。
それが、高望みだって分かってる。
だけど、私だって友だちが欲しい。
だって、男女混合授業はいいけど、女子だけの授業になると、いつもひとりぼっちなのだ。
レフィトと一緒に行動する前は、ひとりでも平気だったのに、最近はレフィトと離れるのがさみしくて仕方がない。
危険だ。危険信号だ……。
このままだと依存してしまう。
それを回避するためにも、女の子の友だちが必要だと思うのだ。
心を許せる相手がレフィトだけだから、レフィトを求めてしまう。
きっと、心許せる友だちができたら、いつでも一緒にいたいという気持ちは薄らぐはず……。
「……危険な可能性があるから、行かせたくないんだよなぁ」
「お願い!」
手をパンッと合わせ、頭を下げれば、すぐに起こされた。
レフィトの琥珀色の瞳にのぞき込まれる。
「駄目だって言っても、行くんでしょぉ?」
その言葉に、視線が泳いだ。
最悪、こっそりひとりで行ってもいいとは思っている。だけど、確実にレフィトにはバレる。
そもそも、日時を既に知られていて、その日は用事がある……なんて言えば、バレない方がおかしい。
騙せたとしても、ログロスくらいなものだろう。
「駄目だって言われても、隠さずに堂々と行くよ」
うん。変に嘘をつくよりも、堂々と行く宣言をして行った方がいい。
何だか、最適解を見つけた気がしてにんまりと笑えば、今度はレフィトがため息をついた。
それなのに、私を見る琥珀色の瞳は、まるで面白いものを見つけたかのようにご機嫌だ。
「オレ、カミレのそういうとこ好きぃ……」
「へっ!?」
そういうとこ? どういうとこ!?
いったい、今のどこにレフィトの好きポイントが隠れていたのだろうか。
ストレートに伝えられた好きという言葉は嬉しい。
だけど、意味が分からない。
「好きだから、困っちゃうんだよねぇ」
「困るの?」
「うん。困るよぉ」
いったい、何で困らせたのか……。
手紙の件で、困らせている自覚はあるけれど、そういうとこと言っていたから、きっと違うのだろう。
本当によく分からない。
分からないことが分からないという、分からない迷子状態だ。
「……ごめんね?」
「謝ることじゃないから、大丈夫だよ。カミレには、ずっとそのままでいて欲しいなぁ。困るけど」
「困るのに!?」
「そうだよぉ。今のカミレが大好きだからさぁ。あ、もし変わったとしても大好きだよぉ? 心変わりは……許さないけどぉ」
あ、ヤンデレた。
ちょっとダークサイドに落ちかけて笑っているレフィトを見て、そんな風に思う。慣れって怖い。
自分のなかの基準がズレないように気をつけないと。
「心変わりの予定はないから、こっち側に戻ってきて」
「こっち側って?」
「へにゃって笑ってる、わんこみたいに可愛いいつものレフィトのこと」
そう言うと、レフィトは動きを止めて何回か瞬きを繰り返した。
そして──。
「わん!」
「────っ!!??」
か……可愛い!!
えっ、何? 何なの? 私の理性を試しているの?
私の肩に乗った両手のこぶしも、ちょっと上目遣いで見てくるイタズラを思いついたように輝く瞳も、イタズラが成功したって気付いたあとの、私にだけ見せるへにゃってした笑みも……、ぜんぶぜんぶ可愛いしかないんだけど!!!!
犬のまねをしたレフィトに、心臓を撃ち抜かれ、悶絶していれば、けらけらとレフィトは笑った。
「どう? いつものオレだったぁ?」
「…………可愛すぎて、心臓が止まるかと思った」
たぶん、一回止まったと思う。
可愛いって罪だわ……。
「そんな可愛いオレからのお願いなんだけど……」
「何?」
「行くなら、オレも連れて行ってねぇ? あと、カミレを守るためなら、殺すから。よろしくねぇ」
よろしくねぇ……って…………。よろしくしないで欲しいんだけど。
可愛い笑みのまま、まるで天気の話でもするかのように言うレフィトに、思わず顔が引きつった。
第二章もお読み頂き、ありがとうございます!!
今後は、火・木・土の週三回更新を予定しております。
よろしくお願い致します。




