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【コミカライズ開始】悪役令嬢にざまぁされたくないので、お城勤めの高給取りを目指すはずでした(Web版)  作者: うり北 うりこ@ざまされコミカライズ開始
第三章

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許すとか許さないとか その後②

更新、遅くなりました。

申し訳ありません。


 教室に入れば、一斉にクラスメイトが私たちを見る。


「ハオトレさん、大丈夫だった?」

「とてもたくさん血が出ていたから、心配していたよ」

「…………え?」


 クラスメイトたちに囲まれ、戸惑った。

 たしかに最近は挨拶程度の会話をすることも増えていた。

 けど、何だろう。すごくモヤモヤする。


「あ、大丈夫です。ありがとうございます」


 どうにか笑顔を作るけれど、頬が引きつった。

 どうしよう。うまく笑えてるかな……。

 そう思っていれば、レフィトが私を背に隠すように前に立つ。


「はいはーい。心配ありがとぉ。でも、仲良くもないのに集まってくるのは、どうなんだろうねぇ」

「──っ。俺たちはただ心配なだけで」

「うん。その心配ってさぁ、誰のため?」


 まずい!

 レフィトの後ろから足を踏み出す。見上げれば、琥珀色の瞳が男子生徒を冷たく刺している。

 止めないといけない。

 分かっているのに、私の心を代弁するかのような言葉に、声が出ない。


「レフィト様、心配とは相手のためであり、自身のためでもありますわよ。大丈夫だと聞いて、安心したいですもの」

「レア、話に割り込むのは──」

「いいえ、ゼンダ様。言わせてくださいまし。レフィト様の言いたいことは分かりますわ。普段は遠巻きにしているくせに、こういう時だけ近づくなということですわよね?」

「そうだよぉ。だから、止めないでほしいんだけど」


 冷たさは残るものの、アザレア相手だからかな。

 いくらかレフィトの雰囲気が和らいでいる。

 けれど、クラスメイトたちの顔色は悪い。


「レフィト、ちょっと殺気を抑えて……」

「んー? すごく我慢してるから、これ以上は無理かなぁ」


 へらりと笑いつつ、レフィトに頭をポンとなでられる。

 優しい手だ。

 いつだって、私には優しい手なのに……。


「レフィトが皆に勘違いされちゃう。私のために敵を増やさないで」

「大丈夫だよぉ。誰もオレには勝てないからぁ」


 そうじゃない。そうじゃないんだよ。

 勝ち負けとかじゃなくて……。


「レフィトが悪く思われるのが嫌なの」

「うん。オレもだよぉ。カミレが軽く扱われるのが許せないんだぁ」


 レフィトは再び、男子生徒へと視線を向ける。

 けれど、その間にアザレアが入り込む。


「私、まだ話が終わっていませんわ」

「アザレア嬢は終わってなくても、オレの方はもう話すことないんだぁ」

「なら、私の話だけ聞いてくださいまし! レフィト様のしていることは、カミレちゃんのためになりませんわ!!」


 アザレアは叫んだ。

 猫のような眼がレフィトをまっすぐに見上げる。


「カミレちゃんを閉じ込めないでくださいませ! 心配なら、皆様には私を通していただきますわ」

「…………はぁ?」

「私がまず用事をお聞きして、カミレちゃんに話しかけても良い内容か判断いたしますわ」


 ……ん? 何で?

 マネージャーとアイドルか何かなの?


 自信満々に言い切ったアザレアに、教室内は何とも言えない空気に包まれる。


「レア、意味分かんねーよ。とりあえず、そこをどこうな」

「え? 何故ですの?」

「悪かったな。続けてくれ。レアには言い聞かせておくから」


 ゼンダ様はアザレアの手を引っ張り、クラスメイトの輪の外へと連れて行った。

 教室の外から、アザレアとゼンダ様の言い争う声がする。


 続けてと言われても、この状況、どうすればいいの?


「えっと、ご心配していただいたことは感謝いたします。また、お騒がせして申し訳ありませんでした」

「──っ。カミレが謝ることじゃないって」

「うん。でも、血がたくさん出たのを見て、怖い思いをさせたのは事実だから」


 好奇心だけで話しかけてきてくれたのでは、ないのだろう。

 純粋な心配だけでもないだろうけど。


「頭は三針縫いましたが、直に包帯も取れます。日常生活に支障はありません。なので、もうご心配には及びません」


 ニコリと笑い、境界線を引き直す。

 レフィトが普段から笑っている理由が身に染みる。笑顔は防御だ。

 仲良くなるのにも有効だけれど、距離を詰めさせないことにも役に立つ。


「そ、そうか。なら、良かった……」


 ぱらぱらとクラスメイトたちが離れていく。

 クラスメイトたちと仲を深めるチャンスだったと思う。だけど、クラス全員と仲良くしたいのかと聞かれたら、そうでもないのだ。


 今のままで、十分なんだよね……。


「カミレちゃん、ゼンダ様が話になりませんわ!」


 バタバタとアザレアが戻ってくる。


「それは俺のセリフだ。もう二度と、無理やり話に突っ込んでいくなよ」

「だから、何度も嫌だと言ってますわ! カミレちゃんは私が守るんですの。もう絶対に痛い思いなんかさせませんわ!」


 アザレアがゼンダ様を睨みつける。

 気持ちは嬉しいけど、ゼンダ様の気持ちを考えると、複雑だ。


「アザレアちゃん。ゼンダ様はアザレアちゃんのこと心配してるんだよ」

「……それは、分かっていますわ」

「うん。それなら、ゼンダ様の話をもっと聞いてあげて」


 この怪我は、アザレアの心に大きな傷を与えたのだろう。

 それからしばらく、三学期が終わるまでアザレアは学園で私にべったりだった。



 

悪役令嬢にざまぁされたくないので、お城勤めの高給取りを目指すはずでした@comic

の第5話がコミックシーモア様にて、昨日5/1に先行配信しました。

今回もとても面白いので、よろしければ是非!

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