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悪徳令嬢、ドバトになる  作者: カメメ
6章 結婚式、本番
21/28

1話 結婚式

 時は飛ぶように過ぎていき、あっという間に結婚式の日になった。


 義親はトハエイの街中にある式場を推していたが、わたくしはポポ山の式場がいいと訴えた。


 ポポ山は、ピジン副隊長が好きな山だ。


 あの山でやれば、ピジン副隊長の気持ちも多少は和らぐかもしれないと考えての配慮だった。


 あの式場なら、親戚一同呼んだだけで満員になり、わたくしを馬鹿にする女性たちを呼ばなくて済む、なんて理由もあるにはあったが。


 式場のスタッフは、しきりにわたくしを褒めたたえる。


「リルイア様のドレス姿、本当にお似合いですわ!」

「ありがとう」


 適当に礼をいって、鏡に視線を向ける。


 心労でしんどい時期が長かったが、せめてピジン副隊長に恥をかかせたくなかったので、スキンケアや体形の維持には気を使っていた。


 その上、一流の美容師に化粧をさせ、髪を整えさせ、一流のドレスを身に着けているのだ。似合いでないはずがない。


 しかし、わたくしの晴れ姿をみたピジン副隊長は、ちらりとわたくしを見ただけで、何の反応も示してくれなかった。


 分かってはいたが、ここまで無反応だと、傷ついてしまう。


 気を取り直して、わたくしはピジン副隊長の服装をこっそり盗み見る。


 スーツを着てくると思ったが、彼は警備隊の制服を身に着けていた。ピジン副隊長なりに、結婚式に反対しようとする意思表示かもしれない。


 それでも、髪型はぴしっときめていて、ついついわたくしの心がきゅんとしてしまう。


 やっぱり、ピジン副隊長はかっこいい。


 しみじみと思っていると、ピジン副隊長が口を開いた。


「一つ、聞きたいことがあります」


 彼は透き通るような青い目を細める。


「なぜ、あなたは私と結婚しようと考えたのですか」


 仕方ないとはいえ、結婚式をあげる直前のカップルとは思えない会話だ。


 わたくしは前もって決めていた回答をすらすらと言う。


「あなたはわたくしを助けてくれた、命の恩人ですから。それに、誘拐されかけたせいで、殿方がわたくしから距離をとられてしまったのです。あなたなら、偏見なくわたくしを受け入れてくれると思いまして、結婚を申し入れました」

「……」


 ピジン副隊長は黙りこむ。


 何を考えているのか分からないが、納得はしていなさそうだ。


 二人の間に微妙な空気が流れる。


 何か質問したほうがよいのか、いや逆によくないかもしれない。


 スタッフがおそるおそる部屋に入ってきてくれたおかげで、ぴりぴりとした空気がどうにか和らいだ。


「あ、あのー、……時間、です」

「……」


 ピジン副隊長は無言で立ち上がる。


 わたくしも、彼のあとに続く。


 スタッフたちは、わたくしたちが複雑な新郎新婦だと気づいているらしく、気まずそうに先へいく。


 スタッフの後ろ姿が遠くになると、ピジン副隊長は、ぽろりと言う。


「あなたが嘘をついているのはわかります」

「……」


 わたくしはうつむく。


 批判されると覚悟していたが、彼の一言は、意外なものだった。


「……あなたが評判通りの悪い人ではないことは、わかっていますよ」

「……へ?」


 彼は先へ行ってしまい、もう一度話を聞くことはできなかった。

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