5話 二度目の、変化
夜もピジン副隊長は用事があるらしく、部屋から出ていってしまった。
さすがにトッキャ大臣たちも今日明日でピジン副隊長の罪をでっち上げやしないだろう。
だが、いつか、ピジン副隊長を消そうとしてくる。
ひとりぼっちの部屋で、私はポツリと呟く。
「……どうすれば、ピジン副隊長を助けられるのかしら」
ピジン副隊長に、彼の暗殺計画を正確に伝えられたとして、トッキャ大臣の陰謀を阻止するのは難しい。結局、ピジン副隊長は、トッキャ大臣よりも位が低い。
国王陛下がピジン副隊長とトッキャ大臣、どちらを信じるかと言われれば、……どう考えても、トッキャ大臣だ。
どうすれば、ピジン副隊長を助けられるか。
一つだけ、方法がある。
「わたくしが人間に戻って、陛下とお話ができれば、無罪放免になるわね」
トッハ国では、王の血縁は特権的な力を持っている。
特に、わたくしは自身の権力拡大のため、精一杯の努力をしていた。ただの王族よりは発言権がある。
わたくしなら、ピジン副隊長を助けられる。
けれど、わたくしは人間に戻れない。
……戻りたく、ない。
戻ってしまったら、わたくしは、わたくしを嫌う人たちの中で生きなくてはならない。
ピジン副隊長から、愛されなくなってしまう。
「……ふふっ、わたくしったら、本当に醜いわね」
ピジン副隊長が死んでしまうことより、自分が嫌われるのが怖いらしい。
「……なさけない女ね」
こんな自分が嫌いで嫌いで、ほろり、と涙が流れ落ちる。
そのとき、だった。
「……え?」
わたくしの身体が輝きはじめたのだ。
「な、な、なに、これ!?」
パニックになったわたくしは、必死に暴れまわる。
鳥かごの鍵が外れ、開いていた窓から飛び出す。けれど、わたくしはうまく飛べなかった。翼が外れたかのように、地面にぺたりと落ちる。
怪我でもしたのかと、わたくしは背中に手を伸ばした。
「……え?」
ハトの手は、背中まで伸びない。
手を、みてみる。
五本の指が、生えている。
頭をさする。
髪の毛が、生えている。
背中には、翼が生えていない。
「……まさか、」
そのまさかだった。
わたくしは、
……人間に、戻っていた。




