4話 ハトだからこそ、伝えられぬ思い
二人が去ったあと、わたくしは大急ぎでピジン副隊長の元へと飛ぶ。
「どうしましょう、どうしましょう!」
トッハ国において、謀反の罪が立証されたら、問答無用で死刑だ。
重い罪であるが故、決定的な証拠がなければ、いくら怪しいといえども罪に問われない。
逆にいえば、決定的な証拠さえあれば、謀反で死刑となる。
トッハ国で多大な権力を誇るトッキャ大臣なら、詳細な証拠をでっち上げるなぞ、朝飯前に違いない。
「ピジン副隊長に、お知らせしないと……!」
帰り道も迷わず、ピジン副隊長の部屋に滑り込めた。
「ハートフルレンジャー!」
まだ帰ってきていないと思っていたが、部屋にはピジン副隊長がいた。謁見から帰ってすぐだったためか、警備隊の制服をきっちり身につけている。
普段の私服とは違う姿に、キュンとしてしまうが、それどころではないと正気に戻る。
「ピジン副隊長、あの、」
「怪我はなかったか?」
優しく抱きしめると、入念に身体をチェックされる。傷がないと分かると、ピジン副隊長はほっと安心する。
「よかった。疲れたよね。ゆっくり休みな」
かごにもどした後、ピジン副隊長は「あ、そういえば、」といって、わたくしの足に括り付けていた手紙を回収する。
「バスに渡してくれたんだね。ありがとう。ハートフルレンジャーは天才だな」
たくさんナデナデしてくれる。
「これくらい当然よ。それより、ピジン副隊長! トッキャ大臣と警備隊隊長が、あなたを暗殺しようと企んでいるわ!」
必死に訴えるが、ピジン副隊長は不思議そうに小首をかしげるばかり。
「どうしたんだ? 興奮しているみたいだが」
「ああ、もう! いいわ。なら、書くものを下さる?」
文字で伝えようと、万年筆をくわえる。
紙を探していたが、ピジン副隊長に取り上げられてしまった。
「危ない! 誤飲したらどうするんだ」
「わたくしは飲み込みなんかしないわよ。そもそも、こんなに細長いもの、飲めないわよ」
苦言を呈するも、ピジン副隊長は硬い表情のままだ。
その後、いくら筆記用具を持とうとしても、すぐにピジン副隊長に回収されてしまった。
ついには、「危ないから」といって、鳥かごの中に入れられてしまった。
ピジン副隊長は困惑して、わたくしをのぞきこむ。
「どうしたんだい、急に……。やっぱり、久しぶりに外に出て、興奮しているのかい?」
「違うわよ! わたくしのことより、自分の身の安全を考えなさい! トッキャ大臣が本気をだしたら、あなたなんて、すぐに処刑されてしまうわ!」
精一杯鳴くが、ピジン副隊長にわたくしの言葉は届かない。
「早いけど、一旦休んでおこっか」
彼は布をかぶせる。
鳥かごの中が暗くなる。
「ピジン副隊長! ピジン副隊長!!」
いくら叫んでも、彼は心配そうにするだけで、話を聞いてくれる様子は見せてくれなかった。




