1話 騎士と魔術師
こちらは、私が暇つぶしに書いたものです。また、初心者ですので、誤字脱字や矛盾など読みにくいところがあるかもしれません。その様な場合は、ブラウザバックするか、レビューや感想等で教えていただければ幸いです。批判も私の成長につながるので、思ったことをどんどん書いていただいて構いません。
以上のことを踏まえ、お読みください。
「相変わらず、凄い人数ね」
隣国ウェスタン王国との最前線の地、そこには、貴族の私兵や騎士、傭兵、挙句の果てには、荒くれ者である冒険者の姿もある。
「それだけ、今回の戦が大きいってことだろ」
「あ、アルフレッド! あなたも来てたんだ!」
アルフレッドは、赤髪に金色の瞳、大柄の冒険者で、よく戦場で背中を合わせて戦っている。
「おう、まあ、俺は、報奨金が欲しいからな。そういうお前も、また、武功を上げにきたのか?」
「うん! 今日こそは、敵の大将首を取ってみせるわ!」
「それじゃあ、俺も負けてられねえな。お互い頑張ろうぜ!」
「ええ! 後・・・・・・絶対に生きて帰りましょう!」
ここサルザール王国は、隣国インガール帝国と世界の覇権をめぐり、およそ100年もの間戦争を続けてきた。
そして、今日、どちらが世界の覇権を握るかが、ほぼ確定するのだ。なぜなら、今私たちの向かっている地が、この世界の経済の中心地ジーム共和国の王都エルセンだからだ。
ここを取れば、世界の経済の流れを一気に牛耳ることができる。しかし、それは、敵も考えていることだろう。だから、こんなにも大規模な軍が編成されている。過去にも、何度かエルセンに軍を赴かせていたようだが、辿り着く前に壊滅させられているのだ。
その原因は、辛うじて生き残った軍の騎士が証言したらしい。魔術師の仕業、と。
「それにしても、やっぱ、戦は燃えるな!」
「はい! しかも、この戦いは、これまでの比にならないほど、重要です! 腕がなりますね!」
「おうよ! まあ、俺なら、何人だろうが薙ぎ払うけどな!」
「相変わらずの馬鹿力ですね」
アルフレッドを見ていると、不安なんてどこかへ吹き飛んでしまう。でも、今日は、どこか、まだ不安が残っている。なんだろう、すごく、嫌な予感がする。
『皆の衆! 今日この日まで良く我らについて来てくれた! ようやく、この長きに渡る戦いに終止符が打たれる! 次世代の子供たちのため、何としてでも、エルセンを取るぞおおおぉ!!』
皆んなが一斉に歓声をあげる。しかし、本当にこれで良いのだろうか。確かに、私も、武功を上げて将軍になり、落ちこぼれと私を馬鹿にした人たちを見返したい。でも、今しようとしていることは、間違っているのではないかと、考えてしまう。
「あれが、王国最強の騎士ドルトか、やはり、只者ではないな」
「ええ、団長は、私たちとは格が違うわ」
「・・・・・・いや、あれぐらいなら、追い越せないことはないと思うがな」
「団長の剣裁きを見ても同じことが言えるかしら?」
王国最強の騎士、王の剣とまで言われたドルトさんの強さは本物だ。たとえ、相手が魔術師だろうと、団長なら倒せるだろう。それ程までに、剣技が精錬されている。その速さは、すでに人間よりも遥高みへと至っているだろう。
「ドルト団長、やっぱり、格好いい!」
「あ! リサちゃんも来てたんだ! 気付かなかったよ〜」
「? なーんだ、誰かと思えば、あなただったの。まあ、足手纏いにだけはならないでよね」
相変わらず、彼女は毒舌みたいだね。変わってなくて良かったよ。もしも、変わってたら、復讐するとき、心が痛んじゃうもんね!
「何だ、お前、同僚と上手くいってないのか?」
「アルフレッド、いや、そういうわけじゃないわ。ただ、私が騎士として見習いだから、みんなから信頼されてないだけよ」
「それを上手くいってないって言うんだが、まあ、お前が良いなら、俺は、それ以上何も言わない」
アルフレッドは、本当に優しい。見た目がもう少し、優しそうだったら、絶対男女共に人気出ると思うのに、見た目のせいで、確かみんなから怖がられてるんだったわよね。
「!? アルフレッド、伏せて!」
「!? な、何だ!?」
これは、爆弾!? いや、爆弾ならば、それを投げた人も近くにいるはず、でも、ここには、私たち以外、誰もいない。
「おいおい、一体、何だったんだ、この爆発は!?」
「!? ねえ、アルフレッド、もしかしたら、魔術師がエルセンにいるのかも」
「こら、こんな時に、冗談言うなよ! 魔術師なんか、本当にいるわけないだろ?」
「いや、でも、そうじゃないと、この爆発は、説明がつかない!」
「・・・・・・きっと、遠隔の爆撃か、何かだろ!?」
そんな訳がない。そもそも、そんなものを作れる技術力は、私が知っている限り、エルセンには、存在しない。
「クッ! これは、やばいぞ。俺たちは、何とか助かったが、他の奴らは、もう・・・・・・!?」
「諦めないで! 必ず、活路はある! 私たちしか残っていないのなら、私たちだけで活路を切り開くしかないわ!」
「!? アイリス・・・・・・分かった! 2人で、切り抜けよう!」
しかし、その時、私たちの目の前に、黒いローブを纏った女の人が現れた。この感じ、どうやら、間違いなく、魔術師のようね。
「ご名答、騎士さん。私は、最後の魔術師ヘル、短い付き合いだろうけど、よろしく」
「ヘル! どうして、こんなことを!?」
「どの口がそんなことを言うの? そもそも、あなたたちが、私の寝ぐらを荒らそうとしてたから、私も迎撃せざるを得なくなったのよ」
「クッ! アルフレッド! 私が一緒に、あいつを!」
「グッ! くそおおおおおおおぉ!!!!」
「!? だ、だめ! 突っ込んで行ったら・・・・・・!?」
「もう遅いわ。破壊魔術デストロイ」
アルフレッドが跡形もなく消滅してしまった。こんなの、一体どうすればいいの?
「・・・・・・あなたが、最後、ね?」
「・・・・・・」
「なぜ、こうなったのか、知りたい?」
そんなこと知りたくない。知っても、死んだ人たちが生き返ることなんてないのだから。
「それは、あなたが、役立たず、だったからよ」
分かってる。私は、落ちこぼれで、いつもみんなの足を引っ張ってばかり、私がもっと上手く立ち回れていたなら、きっとアルフレッドも死ぬことはなかった。
「・・・・・・あなたに、機会、チャンスをあげるわ」
「・・・・・・え?」
「これから、私が、時間を巻き戻す。だから、あなたは、私の使う魔術の流れを読み取り、己の糧としなさい、良いわね?」
「・・・・・・は、はい・・・・・・」
「・・・・・・時間魔術バック・イン・タイム」