表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空色のサイエンスウィッチ  作者: コーヒー微糖派
怪鳥との決闘編
78/464

反社組織の影が見えてきた!

隼の叔父も関わる反社組織、大凍亜連合。

 おっちゃん達が突如乱入してきたせいで、玉杉さんの店も本日は急遽閉店。

 お客さんにも帰ってもらい、看板も取り下げる。

 店内も一通り片付けたが、アタシもタケゾーも店内に残り、少し話を聞かせてもらうことにした。


「ねえ、玉杉さん。さっきの牙島って名前の迷彩コートの人って、大凍亜連合の構成員なの?」


 目的はアタシに乱暴してきた不気味関西人、牙島についての話を聞くため。

 玉杉さんも店内の片づけが落ち着くと、アタシ達が腰かけていたテーブルにやって来て、話の続きをしてくれた。


「フルネームは確か、牙島(きばしま) 竜登(たつと)。今は大凍亜連合に所属してるはずだが、正式な構成員ではねえはずだ」

「所属してるのに構成員じゃないの? それってどういうこと?」

「所謂、用心棒みてえなもんだ。牙島は昔から、ヤクザや半グレといったいろんな反社組織で、臨時の鉄砲玉をやってるんだ」


 とりあえず、あの牙島って人も今は大凍亜連合に所属しているとのこと。タケゾー父からも話に聞いていた組織だけど、まさかあんなバケモノまで従えてるとはね。

 鉄砲玉ってのは確か、あっちの世界で言う殺し屋だよね? 確かにあの人、何人か殺してそうな気迫を纏ってた。

 いくら空色の魔女と言えど、本当に人を殺す人間を相手にするのは怖い。


 それにしても、玉杉さんが『ヤクザ』とか『鉄砲玉』って言葉を使うと、なんだか妙にしっくりくる。

 だって、人相がまんまあっちの世界の人だもん。失礼なのは分かってるけど、いっそ任侠物映画の俳優にでもなった方がいいんじゃないかな?


「玉杉店長は随分とそういった事情をご存じなのですね。やはり人相でしょうか?」

「人相は関係ねえ――と、言いたいところだが、俺も副業で金貸しをやってるからか、あっちの業界に関与する機会もあってな。実際、この人相の悪さも金貸しの仕事では役に立ってる」

「……本当に人相が関係あったのですね。なんだか失礼しました」

「このタイミングで謝るな、洗居。かえって惨めになってくる」


 そう思いながら洗居さんと玉杉さんの話を聞いていると、どうにも玉杉さん自身の人相の悪さは、本当にあっちの世界と関わるうえで関係のあるものだった。

 まあ、仮にも金貸しなんかして、借金取りもやってるわけだからね。人相も使いようだよね。


 ――これもある種の才能なのかな?


「あの、話が少し逸れてますけど、実際に牙島って男はどういう奴なんですか? 俺も気になってるんですけど、反社組織の鉄砲玉を請け負ってて、今の今まで無事に生き残れるものなんですか?」


 アタシも思わず玉杉さんの人相の方に意識が行っちゃったけど、タケゾーが話を戻してくれる。

 そんなタケゾーが気になった点を述べるのだが、何と言うか警部の息子らしい見解だ。

 普通に考えて何人も殺してる人間が、この現代社会で普通に出歩いてるというのもおかしい。

 アタシはよく知らないけど、いろんな組織で鉄砲玉なんてやってると、そこら中の組織から狙われたりしないのかな?




「牙島は特殊なんだよ。いや、異常と言うべきか? あいつはこれまで鉄砲玉として乗り込んだ先で、標的となった組織を一人で完全に壊滅させてる。狙われた組織からの報復さえも起こらねえよ」

「え……!? そ、そこまで……!?」




 そんな疑問についても、玉杉さんは分かっていることを教えてくれた。

 だが、その話はいくらなんでもぶっ飛んでる。

 一人で組織を壊滅させるって、そんなのゲームの中のファンタジーじゃん。本当に人間なの?


 ――でも、あの牙島って男ならできても不思議じゃないかも。

 アタシが首を絞められた時に感じた感触だって、とてもじゃないけど人間のそれじゃない。


「牙島は色々と噂は出回っていても、その正体についてはいまだに不明な奴だ。素顔を見たことがある奴もいねえって話だ」

「それってもしかして『顔を見た奴は全員死んだよ』……みたいな?」

「実際、そんなところだ。普段はずっとあの迷彩コートとかで、素肌さえも見せねえらしい」


 そんな人外的脅威、牙島の伝説はまだまだあるようだ。

 それってつまり、顔を見たら死ぬってことじゃん。あの人、メデューサか何か? 男だけど。


「そんなとんでもない人間が大凍亜連合にいたなんて……。しかも、そんな組織と鷹広のおっちゃんが繋がってるってこと?」

「姪っ子の隼でさえも知らなかったんだよな。どうにもあの叔父さん、かなり危ない橋を渡ってるみたいだな」


 タケゾーとも顔を合わせながら話すが、同時に気になるのはそんな人外伝説と鷹広のおっちゃんが一緒にいたということ。

 最後の方で口論はしてたけど、あの二人は明らかに手を組んでる様子だった。仲間同士とまではいかずとも、協力関係にはあると見ていい。

 それに牙島が大凍亜連合の用心棒なら、おっちゃんも大凍亜連合に関わってるってことだよね?


 ――これまでも色々と苛立つことはあったけど、一応はアタシの親族だから心のどこかでは信じたかった。

 でも、実際に反社組織と関わりを持っているとなると、姪っ子のアタシも悲しくなってくる。


「それともう一つ気になるのは、あの叔父さんがどうして今になって『隼の工場を取り戻そうと考えたのか?』ってことだな」

「それはUSBメモリのことなんじゃない? あれが欲しかったから、アタシにエリートとの縁談を持ち掛けてまで、急いで取り戻そうとしたとか」

「そうかもしれないが、だったらまず勝手に隼の工場を売り飛ばして、借金の返済を急ぐ必要もなかっただろ?」

「それはそうかもしれないけど……。だったらタケゾーはどう思うわけよ?」

「俺の勘だけど、あの叔父さんも大凍亜連合に動かされてるんだろうな。あの時は借金の返済を優先したけど、今は大凍亜連合の命令で工場に隠されていたUSBメモリを狙ってたとか」


 タケゾーは他にも気になった点を語りつつ、自らの推理を述べてくれる。

 なんだか、妙にタケゾーの頭がキレてないかな? 流石は警部の息子だ。

 アタシは工業系に関しては自信あるけど、こういう思惑だの何だのには弱いし、ここは頼れる彼氏様を頼らせてもらおう。


「話を聞く限り、俺が隼ちゃんの工場にあったUSBメモリの話を誤魔化したのは正解だったな。下手をすれば、大凍亜連合の手に渡ってた可能性だってある」

「うん。あの時は本当に玉杉さんもグッジョブだったよ」

「隼ちゃんの両親も大層な技術者だったんだろ? そんな人達が遺した技術が大凍亜連合の手に渡れば、それこそロクな話にならねえ。あのUSBメモリとデータは、隼ちゃんがしっかりと管理しときな」


 いずれにせよ、不幸中の幸いなのはおっちゃんや大凍亜連合の狙っていたUSBメモリがアタシの手にあり、いまだそのことを知られていないことだ。

 あそこに入っていた研究データはかなり高度なものだが、裏を返せば毒にも薬にもなる。

 今はアタシが空色の魔女の能力として役立てられてるけど、大凍亜連合なんて反社組織が手にしてしまえば、どれほどの害が及ぶかも分からない。

 これは本当にアタシが責任を持って管理しないとね。


「ただこうなってくると、こっちも待ち構えてるだけってのは、なんだか面白くないよね。いっそのこと、こっちから仕掛けてみる?」

「仕掛けるって……どう仕掛けるつもりだよ?」

「大凍亜連合の事務所に潜入捜査とか」

「やめとけ。危ないし、そもそもどうやって潜入する気だ?」

「……空色の魔女様による、正面から堂々突撃」

「それは潜入と言わない」


 そしてこれからのことなのだが、こっちから大凍亜連合に仕掛けてみたくもなる。

 普段は事件が起こった時に出撃する空色の魔女だけど、こういうのは事前にとれる対策はとっておきたいよね。

 ただ、その方法についてはタケゾーからダメだしされてしまう。


 ――うん。アタシも分かってます。まず潜入するルートがないよね。

 これで逆に事を荒立ててしまえば、正義のヒーロー空色の魔女の面目が丸つぶれだ。




「潜入捜査……ですか。私も危険なので勧めたくはありませんが、一つ方法があります」




 そうこう意見を述べていると、洗居さんが顎に手を当てて思慮深く口を挟んで来た。

 何か提案してくれるみたいだけど、いくら超一流の清掃用務員と呼ばれる洗居さんでも、大凍亜連合なんて組織は専門外でしょ。むしろ、そっちは玉杉さんの出番じゃない?


 そう考えていると、洗居さんはアタシにも渡してくれたシフト表を取り出しながら、その提案を述べてくれる。




「明日訪問予定のこの企業なのですが、ここは大凍亜連合のフロント企業となっています」

以前も言ってましたが、洗居さんは「ヤクザの組事務所の清掃業務」もしたことがあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ