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空色のサイエンスウィッチ  作者: コーヒー微糖派
想い続けた幼馴染編
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タケゾー「親父の手帳を整理してみた」

なんやかんやの初デート終了後。

本章の最終話。

「おふくろ。ただいまー」

「あらあらら~。意外と早かったのね~。隼ちゃんとは仲良くデートできたの~?」


 陽が完全に落ちるより前に、俺と隼はそれぞれの自宅へと戻っていった。

 俺が自宅に帰ってくると、早速襲い掛かるおふくろの質問攻め。

 隼にあそこまでのコーディネートを施したのも含めて、その後の展開が気になって仕方ないといった様子だ。


「まあ、色々あったけど、初デートにしては隼も喜んではくれた……のかな?」

「なんとも曖昧な息子ね~。どうせだったらそのままホテルに入って、明日の朝にでも帰って来ればよかったのにね~」

「そ、そういうの、俺はまだ早いと思う。じゅ、隼の気持ちだってあるし」

「我が子ながら、本当に草食系ね~……。お父さんが聞いてたら、きっとまた呆れてたわよね~」


 そんなおふくろなのだが、少々首を突っ込みすぎではないだろうか?

 気になるのは親として仕方ないとして、告白して交際を始めたのだって今日からの話だ。

 俺にも隼にも生活や仕事があるし、それなのにホテルだなんだなんて早すぎる。


 ――別に俺は逃げてない。本当に早すぎると思うだけだ。


「そうだ、おふくろ。前に俺が言ってたものなんだけど、やっぱり買おうと思ってて……」

「あらら~? もしかして、隼ちゃんとのデート用に~? そんなことなら、お母さんが買ってあげるわよ~」

「いや。流石に高額だし、駐車スペースの許可だけ貰えればいい」

「遠慮がちな子ね~。それぐらいなら、全然オッケーよ~」


 そんなおふくろの持ち出す話題はさておき、俺は今日のデートで考えていたものの購入について、おふくろにも話をしておいた。

 あれはかなり場所を取るが、我が家の敷地ならとりあえずは大丈夫だろう。

 購入資金については高額ではあるが、おふくろから借りる必要はない。俺だって、いつの日か購入することを考えて、あらかじめ資金は貯めてある。


 ――あれならば車に乗れない隼でも、俺と一緒にドライブできるはずだ。


「ところで、おふくろ。それは親父の遺品か?」

「ええ、そうよ~。武蔵も元気になって来たし、今後のためにも整理しておかないとね~」


 おふくろに駐車許可ももらったのだが、そんなおふくろが手にしていたダンボールの中身がふと気になった。

 軽く中を覗いてみると、亡くなった親父が仕事で使っていた手帳が詰まっている。

 親父は警察内部でも評判のいい警部だったが、そうなれたのは裏にこういう細かな努力があったからこそだろう。


「内容は全部、親父が取り扱ってた事件のことか。デザイアガルダとかいう巨大怪鳥の件を解決できなかったのは、さぞかし無念だろうな……」

「お父さんは本当に、警察官の鑑みたいな人だったからね~」


 俺もダンボールの中から親父の手帳を手に取って軽く読んでみるが、それだけでも捜査への執着心が見えてくる。

 最近の治安悪化の一因となっている反社組織、大凍亜連合を始め、多くの事件のことが記されている。

 そんな警察官の鑑たる親父を殺したデザイアガルダのことは今でも憎いが、それは隼だって同じはずだ。


 ――ただ、それで我を見失わないようにはしたい。

 もし必要な時は俺が隼を止める必要だってある。あいつはどこか猪突猛進なところがある。

 敵が強大である以上、深追いする前に情報も必要だ。


 そのためにこれらの資料が役に立てばいいのだが――




「ん? なんだこの手帳? この日付には覚えが……?」




 ――そうやって手帳を漁っていると、下の方にあった一冊の手帳が目に入った。

 表紙に日付が書かれているのだが、この日付は俺も何の日かよく覚えている。


 ――隼の両親が交通事故で亡くなった日だ。


「あれは事故だったけど、親父もやっぱり思うところがあったのか? ――って、これは……!?」

「ん~? 武蔵、どうしたのかしら~?」

「い、いや、なんでもない」


 思わず手に取ってその手帳を読んでみると、やはり隼の両親が亡くなった事故について書かれていた。

 ただ、その内容を読んで俺は思わず驚愕し、おふくろにも誤魔化すように返事してしまう。


 他の手帳に書かれているのは事件のことばかりなのに、何故この事故のことについての手帳が混じっていたのか?

 その理由については、中に書かれていた一文で理解できた。




 『空鳥夫妻の事故は大凍亜連合の関与により、意図的に起こされた事件である可能性がある』――と。

タケゾー視点による幕間はいったんここまで。

次からは隼に視点を戻し、本編新章の開幕です。

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