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どうにもおかしな話な気がするぞ?

星皇社長も迎えがやって来たので、いったんはお別れ。

 アタシ達が話をしていると、やって来た車から一人の女性が降りてきた。

 いかにも男装の麗人といった海外出身っぽい人。赤みがかったセミショートヘアと、礼儀正しさが目立つ美人さんだ。

 見たところ星皇社長の秘書と思われる。


「空鳥さん。今は赤原警部の件もあるから、急いでの開発は禁物よ。じっくり熟考して、確かなものを作り上げなさい。……さあ、行くわよ。ゼノアーク」

「かしこまりました」


 ゼノアークと言うのはあの秘書さんのことなのだろう。やっぱり、海外の人のようだ。

 そんな秘書さんが言葉少なく星皇社長を車に案内すると、二人はそのまま走り去ってしまった。


 ――なんだか、絵に描いたようなやり手女社長の一幕であった。実際にそうなんだけど。


「……アタシもそろそろ、デザイアガルダの件でも動かないとね。そいじゃ、ちびっ子どももまたねー!」

「ジュンせんせー! さよならー!」


 とはいえ、アタシが今優先すべきはジェットアーマーの開発ではなく、タケゾー父を殺した仇敵デザイアガルダの方だ。

 どのみち、ジェットアーマーの開発も今は保留状態になっている。今回貰った脊椎直結制御回路の図面もいずれは役立つだろうが、今はとりあえず保管しておくことに留めておこう。


 園児達の元気な顔も見れたし、忙しいけど保育園を出て次の行動に――




「おいこらー! この保育園は俺らが占領したー!」

「ガキも大人もおとなしくしやがれー! お前らは重要な人質だー!」




 ――と思っていたら、保育園を少し出たところで、後ろから急に男二人の声が響いてきた。

 何事かと思って物陰に隠れながら様子を伺えば、どうやらタケゾーの保育園に乱暴な男達が乗り込んできたようだ。

 犯人は二人だけで、それぞれ覆面で顔を隠し、武器としてバールを持っている。目的は園児達を人質とした身代金か。


 正直、これまで相手をしてきた重火器を持った強盗に比べると、呆れるほどに見劣りしてしまう。

 とはいえ、そんなアタシの物差しは犯人にも被害に遭っている園児達にも関係ない。


「ひっ……! こ、こわいよー!」

「パパー! ママー!」

「お、お願いします! 子供達に乱暴な真似だけは……!」


 園児や保育士は完全に犯人に怯えている。普通は多少武装した男二人が押し寄せれば、ああなって当然か。

 どうにも、アタシも変なところで感覚が麻痺してよろしくない。


「だけど、あの犯人達も不運なこった。まさかこの場に空色の魔女がいて、しかもその保育園がアタシの馴染みとなれば、キツーいお説教を覚悟してもらうよ!」


 何はともあれ、ここで見過ごすことなどできない。タケゾー父の一件以来、思うところはあるものの、空色の魔女の出番というわけだ。

 隠れながら変身用のブローチを取り出し、胸元に当てて起動させる――



 カッ!



「空色の魔女! ただいま参上! 小さな子供達をいじめる輩は、このアタシが許さないよ!」


 ――そしてそのまま、デバイスロッドを構えながら犯人二人の前へと躍り出る。

 もっと空から急降下とかの派手な登場もしたかったけど、ここには園児もいるからね。危ないことはしたくない。

 軽い前口上だけ述べたら、速攻で決めさせてもらおう。


「ほ、本当に空色の魔女が来ちまったぞ!?」

「は、早くないか!?」

「なーにをブツクサ言ってんだい! ほら! まずはその危なっかしいものを捨てなっての!」


 対する犯人二人なのだが、よく分からないことを言っている。

 まあ、そんなことは関係ない。まずは腕時計型ガジェットからのトラクタービームで、武器として持ってるバールを奪うとしよう。



 ビビュイン!



「うおお!? 今のって、本当に魔法なのか!?」

「バ、バールが勝手に!?」

「アタシの能力に感心してる場合かい? 悪いんだけど、あんた達程度の相手にこっちも時間は使わないよ!」


 アタシがトラクタービームで離れた位置からバールを奪い取るのを見て、どちらかと言うと感心するような驚きを見せる犯人達。

 『そんな場合じゃないでしょ』とこっちが言いたくなってしまう。あんた達は犯罪者なわけよ? 武器を取られて追い詰められてるわけよ?


 なんだか調子が狂うけど、後はデバイスロッドを帯電させて――



 バコンッ! バコンッ!



 ――スタンロッドに変化させ、まとめて撃退。あわれ、犯人二人は何の見せ場もなく、地面にひれ伏してしまった。

 アタシが出てきてからも驚いてばっかだったし、どうにも拍子抜けだ。何をしに出てきたのか分からなくなる。


「すっごーい! ほんとうにそらいろのマジョさんだー!」

「あ、ありがとうございます! 園児達も無事です!」

「なーに。別にいいってことよ。ニシシ~」


 ともあれ、これにて事件は解決。園児も保育士の先生方もみんな無事だ。

 アタシにとってはどうってことのない一幕だったが、特に園児達は大はしゃぎだ。

 アタシも思わずVサインをしながら返事してしまう。


 ――こうやってると、もうじき空色の魔女もやめるつもりなのに、どこか名残惜しくなってしまう。

 まだアタシの心の中ではどうしても、人の役に立ちたいという気持ちが強いらしい。

 でも、それにもどうにか踏ん切りをつけよう。

 両親から引き継いだジェットアーマーの開発に成功すれば、それが巡り巡って人々を守って――




「こ、これで良かったのか?」

「そ、そのはずだぞ? あの鎧の男はどうするつもりだ?」




 ――などと考えていると、どうにも気になる言葉が耳に入って来た。

 今も感電したまま動けずに倒れ込んだ犯人二人が、何やら奇妙なことを言っている。


「ねえ? さっきの話って、どういう意味? アタシにも詳しく聞かせてくんない?」


 園児達へのアピールも中断し、アタシは倒れ込んでいる犯人二人に歩み寄って問い詰める。

 さっきアタシが戦った時の態度といい、どうにもこの二人は様子がおかしい。

 保育園を襲って人質をとってからの身代金目当てかと思ったが、本当の目的は別にあるのではないだろうか?




「お、俺達は頼まれただけなんだ! ひと騒動起こして、あんたを――空色の魔女をおびき寄せろって!」

さあ、この犯人二人の目的をお見せしましょう。

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