【とある連絡役の通信記録Ⅴ】
この章、最後のお話。
牙島達を背後で動かす一団。
◇ ◇ ◇
――社長、お疲れ様です。ラルカです。
大凍亜連合総帥、コードネーム『ターニングベヒモス』による時空間実験なのですが、こちらも聞いていなかった判断で動いていたようです。
イベントが行われていたドーム球場で、多数の参加者を巻き込んでの強行実験……これは社長の指示でしょうか?
――社長もご存じない……と。そうですか。
ですが、こちらも今回はウォリアールの王族まであわや巻き込まれかけたため、正直に冷や汗ものでしたよ。
まあ、あの方も相当な戦闘訓練は積んでいます。ミスター牙島とも対峙し、色々と好き放題にやってもいましたしね。
それで、今後はどうするおつもりでしょうか?
ミスター氷山地が警察に逮捕されてしまった以上、再度同じようなワームホールを展開できるのでしょうか?
――成程。では、計画を最終段階まで続けるということですね。
ミスター氷山地についてはそちらにお任せします。あなたの目的のためにも、まだ必要でしょうからね。
となると、残るは空鳥夫妻が遺した『魂を器に宿す』技術ですか。
器がほぼ完成し、過去に遡ることができても、あの精神転移技術が完成していなければ無意味でしょう。
そして、その鍵を握っているのは空色の魔女……。
――そうですか、かしこまりました。
では、このラルカ・ゼノアークも始動させていただきます。
ですが、ミスター牙島も今回は手酷くやられたため、戦線復帰には時間がかかります。
そのためこちらも本隊に問い合わせ、追加の戦力を投入させていただきます。
――まだ、彼女を巻き込みたくないと? ですが、彼女の方は意地でも食らいついてきますよ?
まあ、極力ご要望にはお答えできるようにしましょう。
――では、自分も準備がありますので、これにて失礼いたします。
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――ボス、お疲れ様です。右舷将、ラルカ・ゼノアークです。
先だってお話ししていた件ですが、艦首将と艦尾将をこちらに派遣願います。
左舷将、牙島 竜登は現在戦闘不能であり、自分でも手こずる相手です。
――そうですか。もう近海で待機させてくださりましたか。助かります。
前線指揮及び戦闘につきましては、自分が直接行います。
艦首将と艦尾将には援護をお願いいたします。
――ご安心ください。空色の魔女は超人ではありますが、人間には違いありません。
それならば、ウォリアールでも『最強の殺し屋』と呼ばれる自分が直接対峙しても、後れを取るつもりはありません。
サポートさえしていただければ、後は自分が作戦を遂行させます。
強いて難点をあげるなら、殿下がどうにも空色の魔女側についたような状態でして――ええ、そうですか。
まあ、ボスからもあの方には言伝願います。自分では立場上、強く言うことができませんので。
――では、こちらも援軍の到着をお待ちしたうえで、動かせていただきましょうか。
将軍艦隊の五艦将が一人。右舷将にして、コードネーム『ルナアサシン』ラルカ・ゼノアーク。
これより配下を率いて、作戦に本格参戦いたします。
◇ ◇ ◇
これにて「大凍亜連合編・承」はおしまいになります。
次話からはタケゾー視点による「日常と非日常編」になります。