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空色のサイエンスウィッチ  作者: コーヒー微糖派
魔女と旦那の日常編
110/464

メイドさんとシスターさんが並んだ!

新キャラのシスター、フェリアさん。

洗居さんのお友達だ!

「あら~? もしかして~、栗阿(くりあ)さんとこの新婚夫婦さんは~、お知合いですか~?」

「そうです、フェリアさん。……ちょっと待ってください。空鳥さんとタケゾーさんが『新婚夫婦さん』というのは、どういう意味でしょうか?」


 どうやらこの教会の清掃業務をしていたらしい洗居さん。フェリアさんもそんな洗居さんに対し、笑顔のまま嬉しそうに話しかけている。

 てか、今さっきフェリアさんは洗居さんのことを『栗阿さん』って下の名前で呼んだよね?

 もしかして、この二人って仲がいいのかな? お互いにメイドとシスターの格好のせいか、本当に中世ファンタジーに出てくる友人同士に見える。


「あー……洗居さん。実は俺と隼なのですが、この度結婚しまして……」

「結婚……ですか? 同棲をするという話はタケゾーさんからも聞いていましたが、結婚までされたのですか?」

「うん、まあ……そうです」

「私にはよく分かりませんが、とりあえず結婚されたのは事実なのですね。おめでとうございます」


 そんな洗居さんが抱く当然の疑問――アタシとタケゾーの結婚。

 同棲のことは伝わってたけど、結婚のことは当然伝わっていない。だって、ついさっき決まったことだもん。

 それでも洗居さんはどこか納得した様子で、アタシとタケゾーに丁寧にお辞儀をしながら祝いの言葉を述べてくれる。


 ――意外とあっさりだよね。

 まあ、洗居さん自身が色恋で騒ぎ立てる様子なんて想像できない人だけど。


「ところでさ、洗居さんとフェリアさんって友達なの? 仲良さげだけど」

「友達……ですね。彼女とは以前から、コスプレイベントでご一緒させていただいてました。彼女の洗練されたシスターコスプレと私のメイドコスプレで競い合ったこともあり、その時はまさに『強敵(とも)』と呼ぶに相応しい相手でした」

「コスプレで何をどう競ったんだろ……? もうアタシには洗居さんの次元が分かんないや。前からだけど」


 それはさておき、アタシも気になる洗居さんとフェリアさんの関係。

 アタシにはよく分かんない世界だけど『昨日の敵は今日の友』みたいな感じなのかな?

 一応はアタシも洗居さんの部下だけど、この人にも交友関係はあったんだね。


 ――その生真面目すぎる性格のせいで『友達ゼロ人記録保持者』とか勝手に思ってた。ごめん、洗居さん。


「そんなフェリアさんなのですが、どうやら母国では本物のシスターだったようです。最近になってここの教会を取り仕切るようになったので、私もお掃除のお手伝いのため、度々足を運んでいます」

「この国では私の知り合いも少ないので~、栗阿さんのようなお友達がいると~、とっても安心できるのです~。こうやって栗阿さんが傍にいると~、私も心地よいのです~」

「そっか。洗居さんもフェリアさんも、本当に仲良しみたいだね。くっつきあって、仲睦まじいや」


 アタシのちょっとしたお節介な不安もなんのその。洗居さんとフェリアさんは揃ってとても仲が良く見える。

 洗居さんが事情を説明してくれる時だって、フェリアさんは洗居さんの片腕に引っ付きながら笑顔で満足そうにしている。


 ヤバい。メイドとシスターという容姿もあってか、二人の仲良しぶりが凄く絵になる。

 大人びたクールメイドな洗居さんと、無邪気さが残るキュートシスターなフェリアさん。このコンビに変な感情が沸いてきちゃう。

 成程。これが百合というものか。ガラにもなく萌えてしまう。


「タケゾーもこの二人を見て、色々と男として捗っちゃうんじゃない?」

「何の話をしてるんだか……。でも、俺には妙な違和感を感じるというか……」

「へ? タケゾーはこういうの嫌いなの? 男の人って、百合が好きなものじゃないの?」

「だから、何の話をしてるんだよ。つうか、隼の口から百合なんて単語が飛んでくるとは思わなかった」


 タケゾーにも意見を求めてみるが、どうにも腑に落ちない様子を見せている。

 どうにも、タケゾーにはあまりこういう趣味はないようだ。アタシはありだと思うんだけどね。

 まあ、そこは別に個人の感性だし、アタシが無理に強いる話でもないか。


 ――いざとなったら、タケゾーに女装をさせてアタシと疑似百合とかさせてみよう。

 その『いざという時』がいつなのかは知らないけど。




「……たまたま立ち寄ってみれば、ミス空鳥にミスター赤原までいらっしゃりましたか」

「あれ? その姿は……ゼノアークさん?」




 思わず百合の花園に見とれていると、教会に新たな来客のようだ。

 アタシも振り返って入口の方を見ると、そこにいたのは星皇社長の秘書を務め、いまだにアタシの中ではロボット疑惑が拭えないゼノアークさんが立っていた。

 何やら眉をひそめて気難しそうな顔をしている。この人、こんな表情もできるんだ。やっぱり、一応は人間みたいだね。


「あらあら~? あなたがここに来てまで~、私に何か御用ですか~?」

「フェリア様。申し訳ございませんが、彼女とその彼氏様とは、自分だけで話をしたく思います。どうかフェリア様のご友人様と一緒に、奥へ控えてくださいませんか?」

「おやおや~? どういう事情かは分かりませんが~、仕方ありませんね~。ささ~、栗阿さんは私と一緒に~、奥でお茶にでもしましょうか~」


 そんなゼノアークさんだが、フェリアさんともどこか知り合いのような会話をした後、席を外してもらえるように促してきた。

 どうにもアタシやタケゾーと話がしたいみたいで、フェリアさんは洗居さんの腕を引っ張りながら奥へと下がっていった。


 ――まあ、フェリアさんは洗居さんと一緒にいるのがいいみたいだし、そこについては大丈夫か。

 洗居さんも嫌がってる様子はないし、あの百合の花園に手を出すのはアタシもしのばれる。

 問題はこっちだよね。星皇カンパニーの幹部でもあるゼノアークさんが、アタシとタケゾーに何の話だろう?

 この人、洗居さんとは違うベクトルで真面目だからふざけられないのよね。なんだか『任務を必ず遂行する殺し屋』みたいな感じ。


「かしこまらなくて結構です。今回するのは、ただの世間話というものです」

「あっ、そうなんだ。ゼノアークさんがそういう話をするのって、なんだか想像できなかった」

「自分だってそういう話もします。本当はフェリア様の様子を伺うだけだったのですが、いい機会でしょう」

「フェリア……様?」


 そうは言っても、ゼノアークさんが本当に殺し屋なわけでもなし。教会にあった椅子に腰かけながら、アタシとタケゾーにも腰かけるように手招きしてくれる。

 ただそこで気になるのは、ゼノアークさんのフェリアさんへの呼び方。なんだか、凄く目上の人に対しての態度に見える。


「すみません。ゼノアークさんとフェリアさんって、どういうご関係なのですか?」

「同郷の出身です。ただあの方は本来、自分達の母国でも高貴な身分にあたるお方です。同郷出身ということもあり、自分もあの方のことは度々気にかけています」

「そんな人がどうして、この国でシスターなんて……?」

「気まぐれ……でしょうかね。あるいは、先程のメイドのお方が気に入り、傍を離れたくないといったところでしょうか」

「それって、ゼノアークさん達の国としては大丈夫なのですか?」

「一概に大丈夫とは言えませんね。同時に、自分では口を挟む余地もありませんが」


 タケゾーもアタシと同じように気になったのか、椅子に腰かけるとゼノアークさんへと尋ね始める。

 それでサラッと教えてくれたわけだけど、フェリアさんってそんなに凄い人だったんだ。

 星皇社長の秘書をしつつ、母国のお偉いさんなフェリアさんのお世話までするゼノアークさん。


 ――なんだか、裏で物凄い心労を抱えていそうだ。


「あっ。そういえばさ、アタシも気になってたことがあるんだけど、聞いちゃってもいいかな?」

「内容にもよります。自分にも立場がありますので、答えられる範囲でお答えします」


 そうこう少し話をしていると、アタシには一つ気になることが頭の中に浮かんできた。

 これまでは適当に流してたけど、フェリアさんも関わっているとなると、どうしてもこのことが気になる。


「ゼノアークさんとフェリアさんってさ、どこの国の出身なの? 欧米系? 欧州系?」

「……そのことですか。それぐらいならば、自分もお教えできます」


 タイプの違う美人揃いで、優秀な能力と身分を持つ人間を要する二人の出身国。

 どうしても気になっちゃうよね。アタシ的にはアメリカやイギリスっぽい感じがするんだけど、本当にどこの出身なのだろう?




「ウォリアールという国です。太平洋の真ん中にある、小さな島国になります」

さらに追加されるのは、隼はまだその正体を知らぬラルカ・ゼノアークの存在。

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