コンテストが始まる!
こんな事してる間にも空はどんどん暗くなっていく。
確かにエウロスが言っていたが日食は神秘的と言えなくもない。遥か彼方の向こうにある月と太陽が重なるなんて。それも龍神祭の日に
でもそろそろコンテストが始まってしまう。
オレはさびのツーンとした名残りを抑えてわたあめを買い、早めにステージのある会場に向かった。オレら審査員の席は客席の真ん中あたりに散らばっている。他にも村長であるおばばや、学校の先生などが審査員を務める。
わたあめを近くにいたフェンディに渡し、用意された机にドラゴンのぬいぐるみを置いた。フロストにもらった水と氷だ。
いよいよ始まるって時には薄暗くなってしまった。
まだ昼間だぞ!それもお腹の空いてるヤツがまだいるような真っ昼間!
今年の司会はオレらの兄貴分ウィローだ。
前回はフェンディだったな。子どもたちに花を持たせようと毎回司会はオレら学生から選ばれる。
「さあ、日食で夜のように暗くなってきましたが、ここからが龍神祭のメインイベント!
歌うまコンテスト~!」
普段は穏やかな兄さんだが、司会にもピッタリだな。安心して審査に集中出来るとホッとした。
前回のフェンディの緊張しすぎにも」ハラハラしたが、前々回のレビンは執拗にオレに絡み、イライラとヒヤヒヤが重なり審査に集中できなかった。
さあ、いよいよ始まるって時にはもうすぐ太陽と月が重なる頃だ。
「ちょうどいいですから、日食の開始を待ってからコンテストの始まりにしましょう!」
「皆さん気になりますよね~かくいう僕も気になって司会に集中出来そうにありません!」
「ワハハ」
「いいぞー!」
兄さんが盛り上げるのも上手いなんて初めて知った。オレもワクワクしながら空を見上げていた。
その時、斜め後ろの席に座っていたフロストがそっとオレにくっついてきた。
「ん?どうした?」
「なんだか、怖い。嫌な予感がしてるんです。」
「嫌な予感?」
フロストは青い顔をしながらどこかを見て怯えている。
手が氷みたいに冷たくて相当怖がっていることがわかった。
どんどん太陽と月は近づいていき、辺りは更に暗くなっていく。
ちょうど重なる場所が龍の噴水の真上ってのもドキドキしてきた
フレイアは舞台袖からブスッとしている
目立つ事が好きな奴だ。皆の注目を奪われて悔しいんだろうな~
真っ暗になると、フロストと一緒に座っていたフェンディがもう片方からくっついてきた。
オイオイ。何だよこの姉妹。両手に花かよ。オレだって怖いっつの。ドキドキとほのかに柔らかさといい匂いを感じながら待っていた。
その時、完全に太陽と月が重なった。
ピシッピシッ!
暗闇の中で何かが割れる音がする。
噴水の方か?確か、エウロスがじっと見ていたが、大丈夫か?ってこの状況で動けねー!
ピカーッ!
ザッパーン!
強い緑の光の後に水の音がして、飛沫が飛び散った音がした。