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(二)‐8
それに昼間に工事をする現場であれば夜間に死体を埋めることは可能だった。しかし、うっかり仕事仲間が死体を見つけてしまうなんてことにもなりかねなかった。
野上は殺してしまった和葉が体を揺さぶられてもまばたき一つしなかったことを思い出した。やむを得ず再び穴を掘り始めた。取り返しのことをしてしまった以上、やるしかないのだと、野上は腹をくくった。
職業柄、穴を掘ることに慣れているとはいえ、自分一人で死体を埋めるための穴を掘るのは非常に大変であった。汗が噴き出し、そのせいでシャツが背中に貼り付いてしまっていた。
(続く)