96/132
×××.唐紅は闇に笑う(終章)
ようやく5話、終了しました~!ようやくこの話をかきあげることができました;;;
次回から最終章突入ではありますが、リアルの関係で少々お休みを頂こうかと思っております。バックグラウンドでストック作業ができればと思いますので、お待ち頂けますと幸いですっ
遠い地の底の胎動を感じて、目を覚ます。
もう夜の帳も更けた深夜。月光は秋の空気で冴え渡り、満月がそのまま落ちてくるのではないかと思うほどに間近に感じる。
その月光の色は。――藍白。
普段のそれとは僅かに色彩の変化した光を一身に浴びて、寝室からバルコニーにそのまま出てきた少年は天へ手を伸ばす。
――ようやく。ようやくこの時が来た。
約束を果たすときが。
永きにわたって願い続けた瞬間が、ようやく訪れた――!
その事実に身を震わせて、少年は歓喜のあまり頬を濡らしながら、震える口で。
「ようやくこの時が来たね。今迎えに行くよ。――お母様」
黒曜の髪に銀色の散った唐紅の双眸を濡らしながら、少年は呟いた。