0.そのしきさいのいろは(序章)
本編第二話、開幕です~!
今回はW主人公・ヴァイス目線でお話を進めていこうかと思っておりますので、新キャラ共々宜しくお願い致します!(執筆中につき不定期更新になります)
――さいしょにみえたのは、ざらざらとしたちゃいろ。
ちゃいろ、というなまえもそのときはしらなくて。そもそもことば、というものもしらなかった。
ただ、とてつもなく『さみしい』というきもちから、そのままわけもわからずなきさけんだ。
まわりにだれもいないのが、こわい。
どんよりとした、せまいそのばしょが、こわい。
――なにもかにもかわらないのが、こわい。
だからないた。じぶんでもわからないくらいなきさけんだ。
ぼくはここにいるのだと、だれかにみつけてほしくて。
「――子供?」
どのくらいないていたのかわからない。
なきさけびすぎて、のどがからからで。なくのにすらつかれてしまうくらいの、じかん。
いままでなかったへんかに、ぼくはそちらをむく。そこにはちゃいろじゃないいろがたくさんあって。
しろ。
くろ。
あお。
そして――もえるほのおのような、あか。
そのあかいろは、ぼくがむいてすこしあしをとめたけど、すぐにちかよってくる。
「っカズキ、不用意に近づいたら、」
「問題ない、ちゃんと確認した。それに――」
あかいろはしゃがんで、おなじあかいろのふたつのがらすだまが、とどきそうなくらいちかくにあって。
「子供が、泣いてるだろ」
なら、安心させてやらないと。
そのことばのいみはわからないけど、うでがぼくのほうへのびてくる。
なにをされるのかわからなくて、ぼくはとっさにかみついた。
「いったぁ!?」
「!?そら見たことかっ。はやくそこを退け、化け物は全て排除しなければ、」
「ただ噛まれただけだっつーの。というかアル、おらがそんなにピリピリしてるから、怖がってるんだろ?これだから子供の世話をしたことが無い野郎共は」
かんだところから、あかいろとおなじあかいろがながれてくる。
そんなことはきにしないように、あかいろはつぎはゆっくりとうでをひろげる。
いっぽんしかない、うでをひろげて。
「こわくないぞ〜。さっきはびっくりしちゃったな、ごめんな。ほら、こっちだぞ」
ゆらゆらとゆれるあかいろのひかりに、めがはなせない。
きがついたら、ぼくははてとあしをぜんぶつかって、ひきよせられるようにちかよっていた。
のばしたぼくのては、えだのようにほそい。
あかいろをつかむようにのばしたそのてを、あかいろはやさしくつつんでくれて。
こわれないように、それでもちからづよく。
「もう大丈夫だ。俺はお前を、迎えに来たんだから」
そのために、ここまで来たんだ。
ぼそり、といわれたそのいみも、ぼくにはわからなかったけれど。
はじめてみたそのあかいろは、とてもきれいで。
――さいしょにみたそのしきさいは、わすれることはないだろう、とおもった。




