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アノニマス||カタグラフィ  作者: 和泉宗谷
Page.7 死神と落ちこぼれ
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2-2.招集(ⅱ)

「僕は全然ダメなやつなんだ…」

「…だいぶ面倒くさい方向に入ってしまっているな」

「ちょっと、人の弟になんてこと言うの」

そんなことを言っても、たった1杯のレモン水で泥酔した大人のような雰囲気とセリフを吐いた少年をほかにどう形容しようか、とオリバーは非難の声を聞きながら小さく嘆息する。

『タキオン』総司令部、その中に多数ある作戦室に隣接される形で備えられた休憩室の一室で、オリバー含め3人の青少年はしばしの休息に興じている。

と言っても本格的に休息が必要なのは、注がれたレモン水が半分干されたコップを片手に机に突っ伏している、レグルスと同じ顔をした双子の弟だろうが。

ここひと月の防衛戦の立役者のアデルの活躍は、オリバーも目を見張るほど目覚しいものだった。

アルベルトの居なくなった『タキオン』を瞬く間にまとめあげると、アデルは参謀のミアと共に防衛戦の指揮を率先して執った。副団長以下4連隊はもちろんのこと、中小関係なく迷宮区に駐屯する全ての調査団への連絡網を確立し、綿密かつ高度な連携を以て市街への迷宮生物の流出を今日の今日まで抑えきっているのだ。

自らは決して表に立たないのに、まるで戦場にない全てを俯瞰した作戦展開は、アデルの『現在視』の異能があってこそのものだろうが、その全てを客観視し判断を下すのは彼自身の指揮管制能力の高さゆえのものだろう。

そんな彼は今の今まで作戦室にこもりきりで、状況がようやく落ち着いてきたからと休むよう進言したミアの言葉も無視して立ち続けようとしたアデルを、アーサーの根回しでこうしてレグルス(とその時偶然一緒にいてしまったオリバー)が強引に引き摺って下がらせて現在に至る。

「義父さまならもっと効率よく作戦運用ができるはずなのに…」

「はいはいアデルはよくやってると思うよ、オレは」

さっきはああ言ったくせに、自分だってあやし方がだんだん雑になってきていないか?という文句はさすがに大人気ないので飲み下して、オリバーは座っている椅子に深く腰掛け直す。

自分はと言うと、医者から絶対に安静にしていろとここひと月言いつけ通りにこの本部から1歩も外に出ていない。

あれからレグルスに担がれて戦々恐々の病院へと向かったが、患者で溢れた院内に入ることさえ結構な時間を要してしまった。ロビーを駆けずりまわる看護婦をようやく捕まれられた頃には、焼け爛れた左腕は消し炭同然で、痛みすら感じなくなっていた。

そんな左腕を見た看護婦はそのままその場で卒倒、何事かと駆けつけてきた先輩っぽい看護婦と医者は目玉をひん剥いて、その形相に唖然とするレグルスをひっぺがしてオリバー本人は手術室に放り込まれた。

『あんた馬鹿じゃないの!?』

道中と施術前の説明の後あびせられた医者と看護婦の容赦のない罵詈雑言が少しトラウマになった。そんなに言わなくてもいいだろう。

施術自体は問題なく終了したがそれでも回復に時間がかかるからと、術後起きたオリバーに何を思ったのか、向かって開口一番に。

『少しでも激しく動いたら殺す』

とても医者の口から出た言葉とは思えなかったが、その殺気にオリバーは頷くしか無かった。

しかしいつまでも元気(比較的の話)な病人を収容できるほどの余裕は今の病院にはなくすぐに追い出され、宿舎へ戻ろうとした所をレグルスにみつかりここへ強制連行されてしまった。

曰く。

『目を離したらまた何かやらかすでしょ』

お前は俺を一体なんだと思っているんだ。

と言いたかったが、よくよく己を省みて行動全てが物語っていたのでやっぱり何も言えなかった。不可抗力のものもあるのに。

ということでこのひと月は大人しくしているわけで。まぁ包帯ぐるぐる巻きでさらにギブスでガッチガチに固められて三角巾でぶら下げられた左腕をもってして何かをしようという気すらさすがに起きなかったので、外では死闘が繰り広げられているというのにただただ手持ち無沙汰にしているしかなかったわけで。

引け目を感じないわけでは全くないが、やっぱりこの腕で何ができようものかと大人しくしていた次第である。あと医者の殺気が怖かった。

しかし今は、正直言って居心地が悪い。

理由は至極簡単で、今まさに話題の渦中にあるアデルの存在だ。

アデルは今は亡き義父のアルベルトに変わり『タキオン』の総団長として指揮を執っているが、その義父と相対し今の彼の現状を作り出したのがほかならない自分だから。

それがオリバーに与えられた命令だった。『代行者』として自分に与えられた、暴走した『執行人』という名の圧政者の排除が。

命令だったからと、最終的に手を下したのは自分ではないからと割り切れるほど軽い話ではい。少なくともオリバー自身はそう思っているし、割り切りたくない。

だからと言って責任を取って自害する選択肢もなくて、伝える言葉も見つからなくてアデルの忙しさにかまけて今まで何も言わずに来なかったのだが。

……そうも言ってられないよな。

レグルスもそれはわかっているから何も言わなくて、変に気遣う雰囲気を感じながら口を開きかけたところで、スラックスのポケットで震える携帯端末。

「何?」

「……ようやく剣が仕上がったようだから取りに行ってくる」

画面に表示された文字を目線だけで読み上げてオリバーは席を立つ。返答までの間が気になるのか怪訝そうに眇られた白銀から逃げるように、足早に総司令部の正面門を抜ける。

ハロウィンに折られてしまって今はない、自分用の新しい剣が仕上がったという話は本当で、その点に関しては全く嘘はないけれど。

――まさかあの人が来るとは。

メッセージの差出人欄に記された名前を見て、滅多に見ることないものだったからこそオリバーは1人で向かうことに決めた。

このひと月の間に多くの破壊が行われた市街地の荒れ果てた街路を足早に抜けた先。迷宮区―旧ヴァチカン市国のちょうど境目の今は開け放たれた外門の向こう側に、目当ての人物は冷然と立っていた。

「早かったな」

「貴方が来るとは思いませんでしたから。ルイ兄上」

オリバーの呼びかけに、長兄であり次期ロングヴィル家当主筆頭ルイ·L·ブルームフィールドの鷲紫色の双眸が一瞥する。

西洋人の同世代としては頭一つ抜けて長身の高みから見下ろしてくる、突く様な視線は猛禽類のそれ。青灰色の髪はオリバーや他弟妹に比べ些か以上に魔法適正が低いことを何よりも表しているが、そうして見下すものは彼を知る人間の中には誰一人としていない。

長く続くロングヴィル伯爵家の、その中の誰よりも卓越した剣技を持つと言われる、歴代最強と謳われる彼のことを、嘲る愚か者などは。

彼は滅多なことでは出張ってこない。堅物で偏屈な彼はオリバーの前にすらあまり顔を出すことはなく、夏に一度帰った時もすれ違うことすらなかった。本邸を離れ今は数ある別邸のうちの一つを占領して必要最低限以下の使用人の元、実父からの業務を淡々とこなす日々。

10以上も年が離れた長兄の存在は、幼かったオリバーに少なくない印象は今も根強く脳裏に刻まれていて、その厳格な性格故に実の兄弟であるはずなのに当主であるグエナヴェルより相対する時緊張する。

オリバーの言葉に何を思ったのか、ルイは軽く鼻をならす。

「手が空いている者が居なかったからな、こんなことになって」

暇だったのは辺境に住む俺くらいだと皮肉して、無言で差し出された包みにくるまった長剣をオリバーは受け取ろうとして。

――刹那、その長剣が横薙ぎに振るわれた。

抜かれていないとはいえ鉄の塊、直撃すれば打撲では済まされない。咄嗟に半身をずらして避けようとするも、治りきっていない身体はそんな動きにすら対応しきれず崩れた石畳の上に倒れ込む。

「己の宿命から解放されて日和ったか、愚か者が」

高みから吐き出された、凍てついた氷よりも冷えきった言葉。傍目から見てもけが人とわかる弟を見下ろして、隠す気の欠けらも無い侮蔑に光る鷲紫色の双眸。

「なんだその体たらくは。『代行者』が聞いて呆れる、ロングヴィルの名を汚したいのか」

裏稼業で名を立てようとする愚か者の、その全ての抑止力である『代行者』。悪を裁く必要悪は誰よりも強者でなければならない。そうでなければ抑止力の意味が失われるから。

だからルイは誰よりも力をつけて、それ故に誰よりも強い力を手に入れた。オリバーのように蓄積された魔力炉もない、ただの男として生まれた彼がその努力のみで手に入れた名声。

借りものの、紛い物の力で『代行者』となった自分とは、全く真逆の在り方。だから彼がいつもこう当たるのも分からない訳では無い。

でも――。

「――何してんのさ、おじさん」

その場で聞こえるはずのない、しかしどこかでやっぱりなと思ってしまった声が背後からかけられたのはその時だった。

殺気、とまでは行かないが敵意丸出しのつり上がった白銀を、一度も会ったことのないルイの訝しげに眇られる鷲紫色。

「なんだお前は」

「こいつの剣だよ」

間髪入れずに返された返答に、ルイはさらに眉をひそめて周囲を見回す。まるでいつもあるのが今日は見当たらないことに気づいて、それを確認するように。

「…あぁ。リュカオンの代わりか。死んでからさほど経っていないのに手が早い事だな」

従者が――リュカオンが先の作戦時に死亡したことは既に本家には伝えていて、それを思い出しての皮肉だと気づいて、レグルスは無表情を貫く。

「それで?刃物だけでは主は守れんぞ」

「では盾は僕ということで」

レグルスの背後からにじみ出るようにするりと姿を現したのはアデルだ。

「貴方が如何に名のある貴族だとしてもここは迷宮区、『執行人』が与る場所です。勝手は謹んで頂かないと」

無邪気な、それでいて凄みのある笑みを浮かべた少年は、紛うことなき『タキオン』新総団長としての顔。その彼と隣の瓜二つの小さな従者を値踏みするようにルイは睨めつける。

双方が双方の出方を探るように静止し、その間でおいてけぼりを食らう渦中の本人はどうしたものかと悩んでいると。


「素直に心配してるっておっしゃればいいのに、この堅物さんは」


門の支柱に潜んでいたのか、第四者の声が聞こえたかと思うと音もなくルイの隣に立ち、その腕を豊満な胸に抱き寄せる。背後の双子と同じく足音がほとんどしない、自然な足運び。

滅多に自国を出ないルイが当主の命令だとしてもたった1人でこんな場所へ来るはずもないことを今更ながら思い出して、それに引きずられるように会話に入ってきた人物のことを思い出す。

確か名前は。

「……エレナ。人前であまりひっつくなと」

「貴方がいつまでも素直にお成にならないから、私が翻訳して差しあげているのですよ」

嫌がるルイもそのままに女性――エレナはオリバーに手を差し伸べながら。

「お久しぶりです、オリバー様。まずはご無事で何よりです」

「えぇ、お久しぶりですエレナ。確かジャネットの誕生日以来でしたか」

「敬語はいらないと言っているのに、貴方様もやっぱり堅物ですわね」

腕を引いて立ち上がらせてくれるエレナは苦笑して、西洋人の同世代の平均的な背丈のオリバーと同じ高さで細められる白銀の瞳。リュカオンのそれよりも混じり気のない燃えるような深緋の髪はひとつにまとめられ、後頭部にリボンでまとめあげられている。女性としては長身の肢体は華美なドレスではなくパンツスーツを纏い、腰には施しのされた剣が1本吊られている。

その時ふと気にった。最後に会っときには気づけなかった、どこか見覚えのある白銀の双眸に。

「あんたは?」

「ご挨拶が遅れました。私はエレナと申します」

警戒の残るレグルスの誰何に、気分を害した様子もなくエレナは略式的に礼をする。

「僭越ながらここにおわすルイ様の従者を務めさせて頂いております。お二方のお言葉を借りるなら、剣であり盾であり、そして、」

匂わすようにわざと言葉を切って、ルイの腕をさらに押し付けて強調しながら。


「――この人の奥方をさせて頂いておりますっ」


「「……」」

無言でこっちを見ないで欲しい。

どういうことか、と言うよりもどう反応したら良いかと避難げな白銀の双眸2人分を、オリバーは言いたいことはわかるとぎこちなく頷いて。

「ジャネットには会っては行かれないのですか?」

「一応今日は仕事ですので。よろしくお伝えしていただいても?」

「構いませんよ」

「って無視するなよ!」

とりあえず放置することにして話を進めるオリバーだったが、何かを思い出したらしくエレナがあっと声をあげる。

「そういえば聞きましたよ、ジャネットってばもう意中の殿方がいらっしゃるとか。もしかしてあの御二方のどちらかなのでしょうか?」

「余計な話はするな。用事は済ませたから帰、」

「この人ったら気が気でなくて」

「か え る ぞ 」

一応妻であるはずのエレナの襟首をむんずと掴んで引き剥がし、手に持っていた長剣を包みごとオリバーに投げ渡す。

「話は以上だ。死なないよう気をつけることだな」

「オリバー様、またお会いできる日を楽しみにしております。それと、」

言いさして、しかし本当のことは飲み込むように開きかけた口を結ぶ。視線はオリバーの背後の、自分と同じ色の双眸をした2人の少年に向けられて。

「レグルスさん、アデルさん。また改めてご挨拶させてくださいませ」

母性を感じさせるような慈愛の眼差しで深く一礼し、それを最後に先を行くルイの背中を追うようにエレナは振り返らずに去っていった。

まるで嵐が去ったかのような静寂に、残された3人はしばらく立ち尽くしたまま。

「…オレ、名乗ったっけ」

「あれじゃない?ジャネットから聞いたとか」

「なるほど」

「それで。どうしてここにいるんだ君たちは」

とりあえず一応は聞いておくかと口にして、そしてやっぱり双子は当たり前のように。

「「だってまたなにかやらかされたら面倒だと思って」」

「声を揃えるな」

わざとらしく大きくため息をこぼして、両手はふさがっているから剣の柄を額に当てながら。

「まぁ、百歩譲ってレグルスは分かるが。…アデルは、私を気にかける理由はないだろ」

義父を処罰しようとした自分のことを、血は繋がっていないが息子の君には。

『アマデウス』はレグルスの姓で、しかしこれも本当の姓では無いから呼べない。かと言って『サリヴァン』とも呼びにくくて、仕方なく名前で呼んでから改めて気づく。

そうか、自分は1度もこの少年のことを呼んだことがなかったのか、と。

当の本人はこてん、と首を傾げて。かと思ったら勢いよく人差し指を突きつけてきた。

「勘違いしないでください!義父さまが本気を出したらこの程度の怪我ではすみません!今頃死んでます!」

大声でなんてことを言い出すんだこの少年は。

そんなオリバーにも隣でちょっと驚いているレグルスにも。ついでに言うとこの様子を始まりから遠巻きに観察している市街の民衆の視線もお構いなしに、どこか偉そうに腰に手を当てながらアデルは高らかに続ける。

「あなたは義父さまの情けで生きているのです!だから義父さまは負けてないし、貴方が手にかけたわけでもありません!」

――だからくだらない自責はしなくていいのだと、言外にそう言って。

「お、横暴…」

レグルスらしからぬボソリと呟かれた感想は、果たして本人に届いているのか否か。

珍しく声をあげるアデルはどこか吹っ切れたような清々しい顔をしていて。だからオリバーもそれにつられてつい笑ってしまう。うじうじと考えていたのは、どうやら自分だけだったらしい。

「そうだな。あの偉大な方が負けるはずないな」

「そうですとも。義父さまは最強です」

「うーんあまりイメージわかないなぁ…」

「そろそろいいだろうか」

「「わぁっ!?」」

突然のまた新たな闖入者の声に、揃いも揃って飛び上がる双子。その光景を視界の端に映しながらもオリバーは声の方向に視線をむける。

金色の髪はオールバックに固められ、その下のペリドットの硬質な双眸。おそらく対面するのは初めてのはずだが、彼の人間ではない特有の雰囲気はよく知っている。

射止めるような紫の視線をものともせずに、ステイは至って自然に淡々と。

「急な話で悪いが、主が呼んでいる。同行を願いたい」

場所は違えど同じ存在のフローズと同じ言葉を告げた。


*****


「声はかけなくてよかったのか」

隣の、頭一つ分ほどの高さからかけられた声に、エレナはその気遣いに擽ったさを覚える。ぶっきらぼうで仏教面の、彼なりの不器用な優しさ。

彼の優しさは如何せん伝わりにくい。先程の弟君への対応もそうだ。本当は叱咤激励をしたいのに年の離れすぎた弟にどう接したら分からずに、あんな冷たい態度に結局なってしまう。始末に負えないのは本人がそれを改善する気が一切ない事だ。

「自分たちを捨てた売女に、今更母親を名乗る資格はありませんから」

イタリア貴族の純血の、生まれた時から決められた婚約の果てになした子供。『双子は災いを呼ぶ』だとか古臭すぎる法螺話を本気で信じるほどに魔法に心酔した血統だったから、追い出されたあとも一族を上げて追い回されて。

――女ひとりで幼子ふたりを守りきることは、とても出来なかった。

もう二度と会うことは無いと手放した子供たち。記憶の中の子供たちはまだ女ひとりで抱えきれるほどに小さな命だったはずなのに。

「この状況下では、もう二度と会えないかもしれないぞ」

生き残れないかもしれない。自分も、あの子たちも。もしかしたら世界そのものが消えてなくなってしまうかも知らない。

遠慮容赦のない彼の率直な言葉も、欲にまみれた世界を生きたエレナは好きだ。

あの外界嫌いがこんな時に限って出張った理由がこれとは。本当に不器用な人。

ルイの言葉を反芻する。彼の言葉通りになるかも、明日にはもう生きていないかも。

だけど。

「私はあの子たちを手放した時。そしたあなたに救われる前にとっくに死んでいるのですよ、ルイ様」

追っ手をまくためにわざと手放して囮になって。

捕まった箱入り娘が最底辺の娼館に売り飛ばされて、生きるためにはなんだってした時に。

――エレナ·マリアーノは既に2度死んでいるのだ。

だからなのか分からないけど、今回もきっと。

「あの子たちは生き残りますよ。今までもそうだったように、これからも2人で」

これまでの人生で、想像もできないような苦しい出来事があったはずだ。辛いと、もう死にたいと思ったこともきっとあるはず。

それでもこれまで生きてきて、今日目の前に立っていた。私なんかがいなくてもあの子たちは二人で力強く生きていく。今は仰ぐべき御旗もある。その事がどこか嬉しいようで、やっぱり寂しいけれど。

その様子をどう思ったのか、ルイは珍しく微笑して。

「では、次にあった時は名乗れるな」

「その時はジャネットをお嫁にくださいますか?」

「絶対やらん」

どこまでも意固地な彼に意趣返しのように返して、エレナは再会し成長した双子と同じ色彩の双眸を細めた。

ようやく次回更新から主人公しゃべります!

…といったところでストックがなくなったので亀足更新に戻ります。すみません…

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