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アノニマス||カタグラフィ  作者: 和泉宗谷
Page.7 死神と落ちこぼれ
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×××.sideG:創恋記

最終章更新開始いたします!少年たち(たまに少女たち)の行く末を、どうぞ最後まで見守って頂けますと幸いです。

「あんたって、旦那さんとか欲しいとか思わないの?」

突拍子もない話に、私はぱちりと瞳を瞬く。森林の奥深くの、静寂に横たわる湖の透明なオパール。

「次はどういう暇つぶし?」

「いや、橋で門番をやってるとね、色んな魂を見るじゃない。その中で伴侶の事を想うものも多いのさ」

ざっくばらんにいう友人に、隣の私は膝に顎を載せる。

「考えたこともないわね」

「ほほう、巨人族一の美貌の持ち主は言うことが違いますな」

「揚げ足取らないで。そうじゃなくて、旦那さんが欲しいとか、そういう気持ちを持ち合わせていないだけ」

だって生命は死ぬものだ。それは草木や動物、人間や妖精、そして神ですら平等に与えられる結末。その結末をどうせ迎えるのに、なぜ生命は他を求めるのか。

手に入れたものはいずれ、その手を離れてしまうのに。

それを近くで視ることがでるから、なおのことそう思う。

冷めた私の返答に、しかし友人はニタリと笑う。一応女型の身体なのだから、そういう表情はやめた方がいいと言っているのに。

「じゃあ、そういう気持ちが湧いた相手となら一緒になる?」

「それは、」

言いかけてふと気づく。この意地悪な友人の口車にまんまと乗せられている、と。

「もう、また私で遊んだわね?モーズグズ」

「あんたのそう言う疑わない無垢な精神は貴重よ?だから美人さんなのかね」

「…もう」

この友人のこういった言葉遊びは毎度の事ながら、それに全て引っかかる私も私だと思う。それでも相手を憎いと思ったことは無いのだから、やっぱりこれからも関係性は変わらないだろう。

頭を切りかえて、先程の問いかけを反復する。問われたからには答えないと、それが私の私への向き合い方だ。

何も変化のない、閉じられた楽園。これが理想郷だと知りながら、なんの刺激もない平和の中で感情が死んでいく、せめてもの抗いだ。

憂いを帯びたオパールを、ゲルズは考えるように少し臥せながら。


「でもそうね。そんな相手がもし現れたら、私はきっと、焦がれるような恋をするのでしょう」

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